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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 78 三十三丁裏 三十四丁表 三十四丁表 と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 77 三十三丁裏 三十四丁表 三十四丁表 と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

富田高至 編者

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

下 78 三十三丁裏 三十四丁表 三十四丁表

 

三十三丁裏

◯をかし、鷹師の娘、おハしける、嫁入して、七ケ日のいわひ

安穏にしけり、鵜師藤瘤(コフ)のなにかし、其祝云に

 

三十四丁表

参りて、かへさに、山崎のせむしの子のゐられける山崎の家に

滝おとし、水ハしらせなとして、面白くつくられたるに

まいりて、「年頃よそにてハ、鵜つかへとも、つかひて

御目にかけす、今宵、爰にて見せ申さん」と云、この子

悦て、夜る(ママ)の物なとかりてけり、さるに、かの鵜師出て

蔑(サケスミ)けるやう、「家見のハじめに、たゞ何をか参らすへき

三條の大路に、紀の國、木綿有けり、いとおもしろき

筋たてませり、大雪の後買たりしかハ、いらて有

けれハ、味噌にかへたがりけるを、嶋このみゐふ人なり、この

木綿奉らん」と思ひて、みづし女して、とりにつかハす、

いくばくもなくて、もてきぬ、此木綿聞しより、見る

はすされり(ママ)、是をたゞに(ママ)まいらせんハ、錫(スヾ)なともそゆへし

 

三十四丁表

とて、歌よむ人によませける、右の鵜師の子也ける

人のをなん、青ききさみたはこをつゝみたる

紙に紙にかきつきつけまいらす、

     ●あかねとも へにともかつて色みへぬ

      心さしてふ よしのなけれハ

 

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊       

  ●あかねとも へにともかつて色みへぬ

   心さしてふ よしのなけれハ

  

『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

   あかねども 岩にぞかふる色見えぬ

   心を見せむ よしのなければ

 

鷹師

 岩波古典文学大系では、鷹匠

鵜師

 岩波古典文学大系では、鵜匠

 

藤瘤(コフ)

 岩波古典文学大系では、藤こぶ

瘤(こぶ)

 『仁勢物語』和泉書院影印業刊では、

   やまいだれに貝貝、女

 

祝云

 祝言

 

かへさに、

 帰さに

 

蔑(サケスミ)ける

 蔑みける

『仁勢物語』和泉書院影印業刊では、糸偏に田、糸

 

いらて

 使い道がなかったので、

 

嶋このみ

 縦縞(織物)好み

 

みづし女して、

 水仕女して、

 下女

水仕女

 台所で水仕事をする下女。

 みずし。

 みずしおんな。

下女

 雑事をさせるために雇った女。

 女中。

 

とりにつかハす、

 取りに遣わす。

 

いくばくもなくて、もてきぬ、

 幾ばくも無くて、持て来ぬ。

 

見るはす(ママ)されり

『仁勢物語』和泉書院影印業刊では、

 見るにまされり(見るに勝れり)

 

是をたゞに(ママ)まいらせんハ、

『仁勢物語』和泉書院影印業刊では、

 只参らせんは、

 

錫(スヾ)(すず)

 錫製の徳利

錫  (ウィキペディア)

 スズは鉄などと比較すると融点が低いため比較的加工しやすい金属材料として、また鉛などと比較すると害が少ない比較的扱いやすい金属材料として、スズ単体、または、合金の成分として古来から広く用いられてきた。

日本での錫の用途

 日本には、スズそのものの加工品としては奈良時代後期に茶とともに持ち込まれた可能性が高い。

 今でいう茶壷、茶托などと推測される。

 金属スズは比較的毒性が低く、酸化や腐食に強いため、主に飲食器として重宝された。

 現在でも、大陸喫茶文化の流れを汲む煎茶道ではスズの器物が用いられることが多い。

 日本独自のものには、神社で用いられる瓶子(へいし、御神酒徳利)、水玉、高杯などの神具がある。

 いずれも京都を中心として製法が発展し、全国へ広まった。

 それまでの特権階級のものから、江戸時代には町民階級にも慣れ親しまれ、酒器、中でも特に注器としてもてはやされた。

 落語『御神酒徳利』の語りの発端となる御神酒徳利は、スズ製という設定である。

 京都、大阪(大阪浪華錫器)、鹿児島(薩摩錫器)に、伝統的な錫工芸品が今も残る。

 近年では日本酒用以外にビアマグやタンブラーなどもつくられるようになった。

 また、一部の比較的高級な飲食店では日本酒の燗に、こだわりとして高価であるスズ製ちろりを使用するところがある。

 科学的には定かではないが、錫製品は水を浄化し雑味が取り除かれ、酒がまろやかになると言われている。

 近年では、錫の軟らかい性質を利用した錫製品や作品が、富山県を中心に製造されている。

 他にも第二次世界大戦中にチャフとして使われた。

 

 チャフ  (ウィキペディア)

 チャフ(電波欺瞞紙、英: chaff、独: Düppel)は、電波を反射する物体を空中に散布することでレーダーによる探知を妨害するもの。

 電波帯域を目標とし誘惑と飽和を任務とした使い捨て型のパッシブ・デコイである。

 chaffとはもみがらの事で、穀物に見せかけたまがい物という意味がある。

 

青ききさみたはこをつゝみたる紙に

 青き煙草を包みたる紙に

青き煙草〘名〙  (日本国語大辞典)

 (タバコはtabaco) タバコの葉を細かく刻んだもの。

 キセルにつめて吸う。

 きざみ。

 仮名草子・仁勢物語(1639‐40頃)下「青ききざみたばこを包みたる紙に書き付け参らす」

 

 


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