恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 74 三十二丁表 と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9
富田高至 編者
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
下 74 三十二丁表
三十二丁表
◯をかし、男、女をいとう恨て、
よこねふみ 唐瘡やみもあらねとも
あハぬハおほく こよひわたるかな
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
よこねふみ 唐瘡やみもあらねとも
あハぬハおほく こよひわたるかな
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
岩ねふみ 重なる山にあらねども
逢はぬ日おほく 恋わたる哉
唐瘡やみ
唐瘡病み(とうがさやみ)
《唐人が伝えた病気の意》
梅毒(ばいどく)。〈日葡〉
岩ねふみ
岩ねふみ 重なる山にあらねども
逢はぬ日おほく 恋わたる哉
大きな岩を踏んで上る重なり続いた険しく深い山ではなく、逢いに行くのは簡単なはずなのに、逢わない日が多く、恋焦がれている。