157:京都の屋根の小さな守り神 『鍾馗さんを探せ!』
小沢正樹著
Kite 改め 小沢正樹 みちくさ学会より▼
鍾馗を尋ねて三千里
鍾馗博物館
愛知県在住の会社員、1961年生まれ。 週末のたびに関西方面へ遠征し、民家にひそむ鍾馗さんに望遠レンズを向けてます。 不審尋問には笑顔とポケット版鍾馗ファイルで対抗するも、追い払われることもしば しば。
淡交社
1,470
2012/02/10
『鍾馗さんを探せ!』を読む。この本はなかなか面白い!著者のこだわりも心地が良い!
鍾馗さんを探すため、名古屋から奈良に通われ、京都にも広げてゆかれたというから、尊敬に値する。
わたしなどは京都市内に生まれ育ったのだが、奈良に住み始めてから鍾馗さんを意識し始めた。
鍾馗(しょうき)とは (ウィキペディアより)
鍾馗(しょうき)は、主に中国の民間伝承に伝わる道教系の神。日本では、疱瘡除けや学業成就に効があるとされ、端午の節句に絵や人形を奉納したりする。また、鍾馗の図像は魔よけの効験があるとされ、旗、屏風、掛け軸として飾ったり、屋根の上に鍾馗の像を載せたりする。
鍾馗の図像は必ず長い髭を蓄え、中国の官人の衣装を着て剣を持ち、大きな眼で何かを睨みつけている姿である。
本書により、鍾馗さんの特徴や多くの顔形があると知る。
なかなか誇らし気で男前の鍾馗像も多い。
逸品ものは少なく、瓦やさんが型取りで大量生産されるという。
但しこの方法、型が摩耗するので百体くらいしかできないそうだ。
鍾馗さんといえば上にも書いたように、魔除け厄よけを思い浮かべる。
奈良の大和文華館で掛け軸を三軸同時に見たことがある。
確か、黒の鍾馗絵二軸、赤の鍾馗絵一軸だったように思う…
会場展示説明によれば、【赤の鍾馗絵は疱瘡除け】とあった。
お軸の鍾馗さんもなかなかりりしくて良いものだ。
以前、京都祇園祭宵山の夜、八坂神社で島根県 石見神楽(塩祓、天神、大江山、恵比寿、鍾馗、大蛇)を拝見させて頂いたことがある。
島根県 石見神楽『鍾馗』写真のみ
登場人物 :鐘馗(しょうき)・疫神(えきしん 鬼)
「千早ぶる荒ぶるものを払わんと 出で立ちませる神ぞ貴き」
この演目は能楽「鍾馗」「皇帝」の物語と、須佐之男命と蘇民将来との「茅の輪」の故事が合体したらしい…
茅の輪とは (大辞泉より)
夏越(なご)しの祓(はらえ)に用いる。チガヤまたはわらで作った大きな輪。
くぐると疫病をまぬがれるとされる。あさじのなわ。すがぬき。《季 夏》
「子を連れて―を潜る夫婦かな/大江丸」
蘇民将来 写真
蘇民将来 ちまき 京都
蘇民将来門飾り 京都
蘇民将来門飾り 伊勢
上でも書いたが、『鍾馗さんを探せ!』は興味深い。大変ユニークで、好きな方にとっては、眺めてはうっとりとする…☆
本書写真は、京都の懐かしい裏通りなどが結構多いのも魅力のひとつ☆
鍾馗さんは本書によると、関西一円に多いという。
奈良では立派な鍾馗さんが多いとのことなので、顔を斜め上に見上げて、転ばぬように気をつけながら歩きたい(*^D^*)
よし!楽しみがひとつ増えた☆
と、ほくそ笑む………☆