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『疱瘡心得草』19 18丁裏 19丁表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』19 18丁裏 19丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

国立国会図書館所蔵
18丁裏

する事を禁(きん)じ、疹子(はしか)出(いづ)る時(とき)、元(もと)より腹痛(はらいたみ)泄瀉(せつしや)し、

或(あるい)ハ自利(じり)といふて、大便(だいべん)覚(おぼ)へず通ずるもの有(あり)、もし

くハ赤白(しやくびやく)の痢病(りびょう)を兼(かぬ)るもの有(あり)、是(これ)皆(みな)悪性(あくしょう)なり

急(いそ)ぎ良医(よきゐ)の療治(りやうじ)を受(うく)べし、疹子(はしか)出(で)る時(とき)吐(と)きやく

をするものなり、小児(せうに)なれば乳(ち)をあますものなり

然(しか)れども、はしか出(で)つくせバ、吐(と)も自(おのづ)から止(や)むものなり

又(また)出(いで)尽(つく)しても吐(と)、やまぬ症(せう)も有り、悪症(あくしゆう)也、慎(つつし)むべし

疹子(はしか)出(いで)て色紅(いろくれ)ひなるハ吉症(きつしやう)也、又 紫黒色(むらさきいろ)ともに

死症(ししやう)也、たゞ保養を第一とす、兎角(とかく)風寒(ふうかん)をいとふ

べし 軽(かろ)きものハ四十九日を待(まつ)て禁忌(どくいみ) を捨(すつ)べし

 

咳嗽(しわぶき)

 咳き(しわぶき)[名](スル)

 1 せきをすること。また、せき。「病室から軽い咳きが漏れる」

 2 わざとせきをすること。せきばらい。「メエルハイムは―して語りいでぬ」〈鴎外・文づかひ〉

 嗽(うがい うがひ)

 [名](スル)水や薬液などを口に含んで、口やのどをすすぐこと。含嗽 (がんそう) 。「食塩水で嗽する」「嗽薬」

泄瀉(せつしや)  (せっしゃ)

 下痢の中で、水を流すように下り、腹痛をあまり伴わない症状のことです。

 瀉(しゃ) シャ・そそぐ・はく

 瀉(しゃ)

 [1] 〘自サ変〙 しゃ・す 〘自サ変〙① 水などがそそぐ。ながれくだる。② 下痢(げり)をする。くだる。

 [2] 〘他サ変〙 しゃ・す 〘他サ変〙① 水などを流す。まき散らす。② 腹の中の食物などを吐き出す。吐く。   痢病(りびょう)  激しい腹痛や下痢をともなう病気。おもに赤痢の類。 「今はただ-のみ仕れば/宇治拾遺 12」

吐(と)きやく

 吐き薬

いとふ 厭う

 ①いやがる。

 ②〔多く「世をいとふ」の形で〕この世を避ける。出家する。

 

 ③いたわる。かばう。大事にする。

禁忌(どくいみ)(一般的に、「きんき」と読む)  ( 名 ) スル

 ① 忌みはばかって、禁止されている事柄。  ② ある薬の使用や治療法が、その病院に悪影響を及ぼすから用いてはいけないという事。 「 -症」

 



国立国会図書館所蔵

19丁表

重(おも)きもの七十五日又は百日を待(まつ)べし、何(いづれ)も痘(いも)の禁(きん)と
おなじ

 

 

 

 水痘(へいない)の心得(こゝろえ)の事

水痘(すいとう)ハ、へいないも、といふ 痘(いも)に似て出るにやすく かせ

安(やす)し、始(はじめ)て出(いで)る洗(さき)潤(うるほ)ひて、水(みづ)を持(もつ)て有(ある)ゆへに、水痘(すいとう)と

いふ、惣身(そうしん)ほとおり、二三日をまたず、始終五六日にして、

其瘡(そのかさ)水膿(みづうみ)ばかりにして収(おさま)る、療治(りやうじ)禁忌(きんき)の事、痘(いも)

疹(はしか)にかわる事(こと)なし、其内(そのうち)痘(いも)疹(はしか)は一生涯(いつしやうがい)に一度する

ものにて、水痘(ついないも)は両三度もするもの有(あり)、痘(いも)ハござうの

中(うち)より起(おこ)り、麻疹(はしか)、水痘(ついなもの)、たゞ六腑(ろくふ)より發(おこ)る

 

水痘(へいない)       水痘はヘルペスウイルス科に 属する水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus, VZV)の初感染による臨床像です。VZVは接触感染、飛沫感染、空気感染で感染します。通常 250~500 個ほどの様々な段階の皮疹が出現し、その後痂皮化します。水痘感染の回復には、NK 細胞、抗体、 特異的細胞性免疫などが関与しています。細胞性免疫が低下した人では、水痘は重症化 し、時には死亡することがあります。成人は小児よりも水痘肺炎を合併し、重症化する リスクが高いです。

 感染した VZV は、血行性または知覚神経を逆行して知覚神経節に到達し、知覚神経節 サテライト細胞に潜伏します。がんや加齢などの原因により、VZV に対する特異的細胞 性免疫能が低下すると、潜伏していた VZV が再活性化し、知覚神経を通って皮膚に到達 し、そこで増殖します。再活性化したときの臨床像が帯状疱疹です。(http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-120815.pdf)

「へいない」「へいないも」 水痘(へいない)

 本書個別題名では水痘を「へいない」と読ませている。

洗(さき  先) 当て字  

 

     

『疱瘡心得草』読了^^v   『疱瘡心得草』20 19丁裏 20丁表(布)志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』20 19丁裏 20丁表(布)志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

国立国会図書館所蔵

19丁表

 水痘(へいない)の心得(こゝろえ)の事

水痘(すいとう)ハ、へいないも、といふ 痘(いも)に似て出るにやすく かせ

安(やす)し、始(はじめ)て出(いで)る洗(さき)潤(うるほ)ひて、水(みづ)を持(もつ)て有(ある)ゆへに、水痘(すいとう)と

いふ、惣身(そうしん)ほとおり、二三日をまたず、始終五六日にして、

其瘡(そのかさ)水膿(みづうみ)ばかりにして収(おさま)る、療治(りやうじ)禁忌(きんき)の事、痘(いも)

疹(はしか)にかわる事(こと)なし、其内(そのうち)痘(いも)疹(はしか)は一生涯(いつしやうがい)に一度する

ものにて、水痘(ついないも)は両三度もするもの有(あり)、痘(いも)ハござうの


19丁裏

事(こと)を弁(わきま)へて、軽(かろき)重(おもき)を分別(ふんべつ)すべきことなり、

 

疱瘡(ほうさう)心得(こゝろへ)草(ぐさ) 終

 

寛政十年

  戌午の春業行

 

 平安 書林    

         寺町四条上ル町

            蓍屋善助

 

20丁表(布)

 

 

 

 

            柴田甚之助

              印

           

流行病をふせぐ意得(こゝろゑ)(ashiki yamai o fusegu kokoroe)  早稲田大学 古典籍総合データーベース

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流行病をふせぐ意得
ashiki yamai o fusegu kokoroe

早稲田大学 古典籍総合データーベース

[千葉県] : 久保田日亀, 明治19[1886]
chibaken : kubotanichiki

 

読んでいる資料『流行病をふせぐ意得』

(上段)

●流行(悪しき)やまひをふせぐこゝろ絵(こゝろゑ)

 

およそ世にめでたきものゝ第一としいへば、まず其身(その身)/\の

安穏無事 息災に踰(こ)したる楽しみより外にはあるまじく、打(うつ)てか

ハりて、厭(いと)ハしきものゝ第一ハ、地震、雷鳴、失火(くわじ)等と、それにハ澤山(たくさん)

恐しかるべきこともあれど、何を除いても命寿(いのち)ありての物種な

れバ、永の病気や、またハ 急病、速死、頓死、早世、天死(きうびやう、そくし、とんし、はやじに、わかじに)、たとへ年老(としたけ)たり

とて、仕合せ悪く流行病に犯されて、親類縁者の看護(みとり)もならず、徒(あだ)

に,此世を過ごしてハ空(むなし)く、一片の烟(けふ)りを消失(消えうそ)る、その死ぬるといふ

大敵に附込(つけこ)まるゝほどの、忌ま/\しき苦しみよりほかに、大ひな

る悩みはなかるべし、家財道具家財道具や金銭ハ一担損失しても、またと

得ちるゝことも有れども、命寿(いのち)ばかりハ掛替(かけがえ)のなき重宝(おうほう)なり、箇様(かよう)

なとは誰も承知なれども、餘りに承知を仕過ごして、遂にハ油断大

敵となり、流行病の大軍に、吾本陣を攻落され取りて返せぬ後悔

を引招ぐなる、よしや敵ハ外(ほか)より来らずとも、病ひの賊ハ内具(うちわ)

にありまして、今時外(そと)よりハ責寄せんとし、内よりハ裏切らんと

する有様、内と外と合体して難なくこの大切なる身体を生贄に

(そふ)るに立至るべし、其時憐(あは)れといふも、早詮(すべ)なし、されバ 平生清(ふだんしやう)

浄(じやう)と不浄(ふじやう)との差別(へだて)をよく/\こゝろがけあるべし、政府(おかみ)のお世

話を容易のことにあらず、人の命を全ふし、安心にこの世の過さ

せんとの厚き恵なるにも、意注(こゝろづ)かず、憂鬱(うっとう)しくおもふものもあら

んが、大ひなる了簡(りょうけん)違ひなり、我宗(わがしう)の信者にハ決してさる人ハな

き筈なり、心清けれバ身も清く、身清けれバ土地清しとて、心穢れ

てハ、中々に身体の衛生(ゑいじやう)も思束(おぼつか)なし、身体の衛生(ゑいじやう)を思(おもは)ぬ程の人な

らば、衣類、食物、居所の注意も、思案のほかなるべし、夫故(それゆえ)おろそかにな

(下段)

らぬハ、第一の心なり、心をおろそかにせぬとは、心を清く持つな

り、心を清く持つとは、信心(しん/″\)清く正けれバ、身体も居

所も必ずおろそかにならぬと、こゝろづくべし、法花経(ほけきやう)一部八巻

二十八品も此事を説きかゝせ たまへり、されば、祖師大菩薩は八

萬四千(しせん)の法門は、我身一人(にん)の日記文章とも仰(あふ)せられ、経文にハ此

経は持ち難しと説ひてあり、これまた祖師の仰(あふ)せに依らば、此身

は持ち難しといふことにて、前にもいふ如く、此身は決しておろそ

かにならぬ筈なれども、兎角おろそかに しやす期は、信心(しん/″\)なき人

の習ひなれば、態(わざ)と此身ハ持(たも)ち難しとのたまひし なるべし、各々

ハ朝夕神に誓ひ、佛に頼るも何と祈り玉ふや、若持法華経(にやくぢほけきやう)甚

身甚清浄と繰返さるゝなるべし、若(も)し題目を唱へ、法華経を持(たも)つ

程の心清き信者ならバ、其身、したがつて、甚ハだ清浄(しよう/″\)なりといふ

ことなり、其信者を守護せらるゝ鬼子母大善神ハ受持法華(じゅぢほつけ)名者福

不可量とて、佛前の御契約あらせたまへり、それもこれも但、これ

まず信心(しんもく)の水清けれバ、神佛感応の月影の恵みも豊か成るべし、

法度に背き、衛生に怠りなバ、いかに慈悲深き神佛なりとも縁な

き衆生(しゆじやう)として、却て現前の御罰あるべし、先(まづ)は流行病をふせがね

ばならぬこゝろ得までを、聊(いさゝ)か陳(のべ)て衛生の一助に添ふ、若しその

ふせぎの箇條は粗諸君が疾(と)くに意得(こゝろゑ)あるべければ、これは略し

置くなり、明治十九年七月東京小伝馬町村雲別院境内において

自山宝庫安置鬼子母神大善神開扉中(かいひちう)しるして、施余す南無妙法連

華経 若熱(にゃくねつ) 病若(ひやうにゃく)一日若(にゃく)二日乃至(ないし)夢中、亦、復莫(ふくまく)悩(なん)

 

 

  正中山貫主  久保田日亀

  しやうちうざんくわんじゆ   くぼたにちき

 

(上段)

安穏無事(あんのんぶじ)

 変事もなく、穏やかで安らかなさま。社会や暮らしなどの穏やかな様子をいう。▽「安穏」は穏やかな様子。「穏」は「おん」とも読む。  句例  安穏無事を祈る、安穏無事な生活、安穏無事に暮らす  用例  安穏無事に過ごせるはずの晩年を奪われた不遇さが、分からぬわけでもない。<城山三郎・乗取り>

 

徒(あだ) 

[形動][文][ナリ]

  1 実を結ばずむなしいさま。無益なさま。むだ。「せっかくの好意が徒になる」

 2 浮ついたさま。不誠実で浮気っぽいさま。

 「―なる恋にはあらで、女夫 (めおと) の契を望みしなり」〈紅葉金色夜叉

 3 一時的ではかないさま。かりそめ。

  「なかなかに―なる花は散りぬともまつを頼まぬ人のあらめや」〈為頼集〉

 4 いいかげんなさま。粗略だ。 

  「まだしき時に方さまの御心づかひゆゑと、それはそれは―に存ぜぬに候」〈浮・文反古・五〉

(下段)

祖師

 ①開祖。宗教界で一宗一派を開いた最初の人。禅宗の達磨(だるま)、浄土真宗の親鸞(しんらん)、日蓮(にちれん)宗の日蓮など。 

 ②学統や流派などを作り出した偉人。また創始した人。

 ③物事の始め。もと。元祖。

 ④日蓮宗で、日蓮の尊敬語。   法門  〔真理へ向かう門の意〕  ① 仏の教え。真理の教え。  ② 修行方法などの教義によって区別された仏教の教派の分類。   祈り玉ふ  祈り給う   若持法華経(にやくぢほけきやう)  若持とは  (法話集:http://www.nichiren-aomori.net/houwa/h2709_kidachichikou/index.html)  荒行僧が腹の底から唱える水行肝文。「若持法華経 其身甚清浄 不染世間法 如蓮華在水 得聞此経 六根清浄 神通力故 増益壽命」。これは世間の煩悩や欲望の泥水に心を染められず、泥中にあって    法華経とは 『法華経』(ほけきょう、ほっけきょう)は、大乗仏教の代表的な経典。大乗仏教の初期に成立した経典であり、誰もが平等に成仏できるという仏教思想の原点が説かれている。聖徳太子の時代に仏教とともに日本に伝来した   神佛感応    呪咀秘法奥伝 : 神仏感応 佐々木高明  国会デジタル図書 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/759872/1 がある。   衆生(しゆじやう)  《(梵)sattvaの訳。音写は薩埵》仏語。生命のあるものすべて。特に、人間をいう。有情 (うじょう) 。 衆生(しゆじやう)  サンスクリットのサットバsattva,ジャントゥjantu,ジャガットjagat,バフジャナbahujanaなどの訳。とくにサットバの訳語として用いられることが多い。サットバとは存在するもの,また心識をもつものの意で,有情(うじよう),含識(がんじき)などとも訳される。古くは衆生と漢訳し,唐代の玄奘以後のいわゆる新訳では有情と訳されている。またいのちあるもの,存生するもの,いのちをもって存在するもの,生きとし生けるもの,一切のいきもの,一切の人類や動物,とくに人間,人々,もろびとなどというように,さまざまな意味がある。   復莫(ふくまく)  腹膜炎           ●流行(悪しき)やまひをふせぐこゝろ絵(こゝろゑ)     (1)何を除いても命寿(いのち)ありての物種  

(2)家財道具家財道具や金銭ハ一担損失しても、またと

得ちるゝことも有れども、命寿(いのち)ばかりハ掛替(かけがえ)のなき重宝(おうほう)なり 

        

 

     (上は、明治時代の日本の疫病に対する一文症例)

 

             日本国の冷和時代におけるコロナウイルスに対して

 2020年7月22日より、日本国では「go toキャンペーン」が 始まる。

           今や日本というより、日本国というのが妥当な気がする。

 

 

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 1   表紙 仮名手本胸之鏡 通油町 蔦十版 巳未春

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表紙 仮名手本胸之鏡 通油町 蔦十版 巳未春

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

 

 

山東京伝

(1761~1816) 江戸後期の戯作者・浮世絵師。本名、岩瀬醒さむる。通称、伝蔵。江戸の人。浮世絵を北尾重政に学ぶ。黄表紙・洒落本作者として著名。江戸読本創出者としても知られる。晩年は考証随筆に傾注。著「江戸生艶気樺焼えどうまれうわきのかばやき」「通言総籬つうげんそうまがき」「骨董集」など。

 

歌川豊国

 初代 歌川豊国(しょだい うたがわ とよくに、明和6年〈1769〉 - 文政8年1月7日〈1825〉)とは、江戸時代の浮世絵師。本名は倉橋 熊吉(くらはし くまきち)、後に熊右衛門。一陽塞(いちようさい)と号す。

 

蔦屋 重三郎

 江戸時代の版元である。山東京伝らの黄表紙、洒落本、喜多川歌麿や写楽の浮世絵などの出版で知られる。「蔦重」ともいわれる。狂歌名を蔦唐丸(つたのからまる)と号し、歌麿とともに吉原連に属した。

 

黄表紙

 草双紙くさぞうしの一。江戸後期、黒本・青本に次いで安永(1772~1781)頃から文化年間(1804~1818)の初期まで江戸で流行した黄色い表紙の絵本の称。1775年刊の恋川春町作「金々先生栄花夢」以降のものをいう。一冊五丁、普通、三冊からなる。書型は半紙半截はんせつ。絵題簽えだいせんに出版工夫がみられ、内容も従来の草双紙の幼稚なものから脱し、成人向けの読み物となった。文化初年頃より敵討ち物が全盛となり文化年間に合巻に移行した。代表作は、恋川春町の「鸚鵡返文武二道」、朋誠堂喜三二の「文武二道万石通」、山東京伝の「江戸生艶気樺焼うわきのかばやき」など。

 

 

 

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 2  一丁表

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仮名手本胸之鏡 上 2  一丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

かゞみ  の  むね  ほん  て  な か  ←

鏡之胸本手名仮

 

しはゐのきやうげんハ

くわんぜんてう こへを

もとゝし、ものゝわきまへ

なきわらんべにも

仁義(じんぎ)五常(ごじやう)のあら

ましをしたため

且(かつ)古人(こじん)の姓名(せいめい)を

おぼへ、いにしへの

治乱(ちこん)をしるハ益(ゑき)

あれども、そ

やうあしけ

れバ、みだれがハ

し、きこゝろざしを

おこし、害(がい)もまた

すくなからず、

このさうしハ

きやうげんをかゞみのおもてとし、これを

ゑにうつし、おもてうらあわせて

てのほんいうをしらしむ、かくのごと

く、こゝろをつけてみるときハ、きやう

げんといへども、大小ゑきあるべし、

雲-顧(ノ)君-子 須(下 り)

認(テ 二)-印信(ヲ 一)為(す 上レ)真(ト)

雲顧ノ君子ハ須ベカラズ

印信ノ真ト為スヲ認ムベし

    醒世(世浪浪人(せいぜい老人京傳子)

        寛政十一年に未び早春  印

 

 

かなてほんむねのかゞみ

仮名手本胸之鏡

芝居の狂言は

勧進帳、声を

元とし、物わきまえ

無き童(わらんべ)にも

仁義(じんぎ)五常(ごじやう)のあら

ましを認(したた)め

且つ古人の姓名を

覚え、古(いにしへ)の

治乱(ぢこん)を知るは益

有れども、素

養悪しけ

れば、乱れ交わ

し、き志を

起こし、害も又

少ななからず、

この草子は

狂言を鏡の表とし、これを

絵に写し、表裏合わせて

手の本云うを知らしむ、如此(かくのごと)

く、心を付けて見るときは、狂

言と雖も、大小益有るべし、

雲顧ノ君子ハ須ベカラズ

印信ノ真ト為スヲ認ムベし

    醒世(世浪浪人(せいぜい老人京傳子)

        寛政十一年に未び早春  印

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 3  一丁裏 二丁表

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仮名手本胸之鏡 上 3  一丁裏 二丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 3  一丁裏 二丁表

 

人のざい、一につゝ

しむべきハしきよく

なり、むかし

よりこのた

めに、いへを

やぶり、みを

ほろぼせし

人、うそへつく す

べからすこと、たとへバ

おんなのゑくぼのうち

より

まよひ

のくも

といふわる、きくも

あらわれいでゝ

おとこの

心の名月(めいけつ)

をおほひ

かくす

しるとき

ハ、おとこの

そめし人

 

やみとなり、たちまち

ぼんのうのいぬ、わがむねより

とびいでゝ、わがみをくらふ、

これをこひのやみといふる也

 

 

   おかめ八目といゝて、おかめから

   みることきハ、八ツの目(め)ありて、これ

   をあしきことゝ、名人ごと、わがみに

   なりてハ、もろともに、恋の

   やみにまよふなり、つゝしむ

       べし

 

 

       名月(座る男の画)

                (立って男を見る女の画)

    

 

   ほんのうのいぬほたる

   「はなにあそばゞ

    ぎをんあたりの

二丁裏

     いろぞろへ

      わん/\の

       わん、とさ (犬がなく画)

 

二丁裏  (丸枠に立つ女に文を渡す男と、覗く男の画)

 

     しきよくのかがみ

     色欲の鏡

女色(じやじやく)のために、人を

そこなひ、そのみを

ほろびし、いへとかし

のうことハかゞみに

うつる、きやうげん、ゑの

ごとし

仮名手本胸之鏡 上 3  一丁裏 二丁表

 

人の財、一に慎む

べしは しき 良く

也、昔

よりこのた為

に、家を

破り、身を

滅ぼせし

人、嘘へつく す

べからす事、例えば

女の笑窪(えくぼ)の内

より

迷い

退くも

と言うわる、聞くも

あらわで出(いで)て

男の

心の名月

を覆い

隠す、

知る時

は、男の

染めし人

 

闇と成り、たちまち

煩悩の犬、我が胸より

飛び出でて、我が身を喰らう、

これを恋の闇と云うる也

 

 

   岡目八目と云いて、岡目から

   見る如きは、八ツの目有りて、これ

   を悪しき事と、名人ごと、我が身に

   成りては、もろともに、恋の

   闇に迷うなり、慎む

       べし

 

 

       名月(座る男の画)

                (立って男を見る女の画)

    

 

   煩悩の犬蛍

   「花に遊ばば

    祇園辺りの

二丁裏

     色添えへ

      わん/\の

       わん、とさ (犬がなく画)

 

二丁裏  (丸枠に立つ女に文を渡す男と、覗く男の画)

 

     しきよくのかがみ

     色欲の鏡

女色(じやじやく)の為に、人を

損なひ、その身を

滅ぼし、いへとかし

のう事は、鏡に

写る、狂言、絵の

如し

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

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仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

二丁裏上

いうほどはらのたつことにても

とくとあとさきをかんべんし

こゝろときハたいていの

なるものなり、はら

のたつまゝにふんべつ

もなく、ことをはる

らへバ、のちにうならず、

くやむことあり、

 

   二丁裏下

  「たちへバはらのたつときハ、わがむねのうちより短(たん)

   鬼(き)といふ おに あらわれいでゝ、わるさをかいせんと

   す、そのとき  けたいのうちに ちうぎな

   るものありて、むねのう

   ちより  正気(しようき)

   大人(たいじん)

   といふ

   ひろき

   こゝろをいだし

   りやうけんして

   いふけんをもち

   て、かの短気(たんき)

   をおひ

   しり

   ぞ

   く

   しる

   ものな

   くんば

   はなはだ

   あやう

   き

   なり

 

   三丁表

  「それハ大きな

   たんきたるむらざや、

   人のあたまをうたじ

   つくしとハ

    あやまり/\

   

二丁裏上 画 立つ男と座る男

正気(しようき)

  大心(たいしん)

    短鬼(たんき)

 

   三丁表

   短気之鏡(たんきのかゞみ)

 

   たんきなる人、けらいの

   よきりやうけんにて

   あやふきをのがるゝ事

   此かゞみにうつす、きやう

   けんのごとし、たんきハ

   そんきといふ事、ちがい

   なし

   

仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

 

二丁裏上

言う程 腹の立つ事にても

とくと後先を勘弁し

心時は大抵の

成るもの也、 腹

の立つままに分別

も無く、事をはる

らえば、後に唸らず、

悔やむ事有り、

 

   二丁裏下

  「例えば腹の立つ時は、我が胸の内より短気(短鬼たんき)

   と云う鬼 現れ出で、悪さをかいせんと

   す、その時  懈怠の内に 忠義な

   る物有りて、胸の内

   より  正気(しようき)

   大人(たいじん)

   と云う

   広き

   心を出だし

   了見して

   有権を持ち

   て、かの短気(たんき)

   を追い、

   尻

   退

   く、

   知る

   物 無

   くんば、

   甚だ

   危う

   き

   也

 

   三丁表

  「それは大きな

   短気たる むら鞘、

   人の頭を打タジ、

   尽くしとは

    あやまり/\

   

二丁裏上 画 立つ男と座る男

正気(しようき)

  大心(たいしん)

    短鬼(たんき)

 

   三丁表

   短気之鏡(たんきのかゞみ)

 

   短気なる人、家来の

   良き了見にて

   危うきを逃るる事

   此鏡に写す 鏡

   剣の如し、短気は

   損気と云う事、違い

   無し

   

 

短鬼(たんき)

 短気

けたい 懈怠懈怠

1 《近世ごろまでは「けだい」》なまけること。おこたること。怠惰。「懈怠の心が生じる」

2 仏語。善行を修めるのに積極的でない心の状態。精進 (しょうじん) に対していう。

ちうぎ

 忠義

りやうけん

 了見

 

 

仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

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仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

三丁裏上

人のつゝしぶべきハ、よくのかハなり、

人おほくハ、よくのためにみをうし

のうなり、きん/″\ハたれも

ほしがる

ものにて

たつとき

ものなれ

ども、また

きん/″\の

ために

わきに

ひおこり、

人をかいする

こと、すくなからず、

みにあたわぬよくを

かハくなはだハくはだなは、だあるく

「いかにどぶにんそうなる

 ものも、かねのいくわう

 にてハ、たちまち わらふ

「いひつなりなるものへ

 うつしてみるときハ

いかほど、ぶにんそうなる

 ものもかねのいくわう

 にてハ、たちまちわらふ、

「いひつなりなものへ

 うつしてみるときハ

 いうほどみにくき

 おとこもいろおとこに

 みゆる、これみな、かねに

 まよふ人、ごくろなり

   

 

 三丁裏中

 ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう

   ゐくりやう 画:小判人間(異形) ゐくりやう

 ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう

 

 

   画:婆様  笑い

    わたくしがむすめ

    でござります

    とうぞ

    おめかけ

    られて

    くだ

    さり

    ませ

 

四丁表上

男女   徳差万左衛門

  奉公人

 

  四丁表下

  晋(しん)の魯嚢(ろほう)が銭神論(せんしんろん)に

  ぜにハあやふきをもやすからしむべし、

  心するもいかさ表むべしといへること

  あり、うべなるかな、きん/″\をもつて

  人をまどわし、いちめいにおよぶ

  べきわざハ、ひもしりぞくること

  此かゞみにうつすきやうげんの

  ごとし、人のりよくにまよふ

  こと、こゝをもつてさとるべし、

 

四丁表下 丸(鏡)の中に、役人と力持つものの利権、癒着の画の題

   りよくのかゞみ

   利欲の鏡

   

仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

三丁裏上

人の慎むべきは、欲の皮也、

人多くは、欲の為に身を失し

のう也、金銀は誰も

欲しがる

物にて

尊き

物なれ

ども、又

金銀の

為に

脇に

引き起こり、

人を回する

事、少なからず、

身にあたわぬ欲を

かわくはだはくはだなは、怠く

「如何にどぶ人相なる

 者も、金のいくおう

 にては、たちまち 笑う

「言いつなりなるものへ

 写してみる時は

 如何程、ぶにんそうなる

 者も金のいくおう

 にては、たちまち笑う、

「言いつなりな者へ

 写してみる時は

 言う程見にくき

 男も色男に

 見ゆる、これ皆、金に

 迷う人、ご苦労なり

   

 

 三丁裏中

   幾両   幾両   幾両   幾両

   幾両    画:小判人間(異形)  幾両

   幾両   幾両   幾両   幾両

 

 

   画:婆様  笑い

    私が娘

    でございます、

    とうぞ

    お目かけ(妾)

    られて

    下

    さり

    ませ

 

四丁表上

男女   徳差万左衛門

  奉公人

 

  四丁表下

  晋(しん)の魯嚢(ろほう)が銭神論(せんしんろん)に

  銭は危きをもやすからしむべし、

  心するもいかさしむべしと言える事

  有り、うべなる哉、金銀を以って

  人を惑わし、一命に及ぶ

  べき技は、ひもしりぞくる事

  此鏡に写す狂言の

  如し、人の利欲に迷う

  事、ここを以って悟るべし、

 

四丁表下 丸(鏡)の中に、役人と力持つものの利権、癒着の画の題

   りよくのかがみ

   利欲の鏡

   

 

だハるく

 怠く

かわくはだはくはだなは、

 、、、

どぶ人相

 どぶ(排水のために設けたみぞなどで、汚れた水がとかく淀(よど)みがちな(小さい)流れ。)

 人相

 ① 人の容貌。 「 -の悪い男」  ② 顔面に表れた、その人の性質や運命。また、それによってその人の運命・吉凶などをうらなうこと。 「 -を見る」 「相人にてよく-するおぼえありき/愚管 5」  ③ 近世、遊里で客のふところ具合をうらなうこと。 「一もの前やふたもの前おくれたとて-することはねえ/洒落本・玉の幉」   ゐくりやう(幾両)    いくら?と、問うている。   晋(しん)  ①周代の侯国 前1106〜前376
 ②六朝時代の統一王朝
 ③五代の王朝の一国 936〜946
山西が中心。周の武王の孫,燮 (しよう) のとき晋と称した。前7世紀後半,文公が春秋の五覇のひとりに数えられたが,権臣の韓・魏・趙 (ちよう) (三晋)に滅ぼされた。
西晋(265〜316)と東晋(317〜420)からなる。西晋は三国の魏の権臣司馬炎(武帝)が魏を滅ぼして建てた国。ついで呉を滅ぼして天下を統一(280),洛陽に都し,占田法を施行するなど治績があがったが,八王の乱と五胡の侵入によって衰え,匈奴 (きようど) の劉曜 (りゆうよう) に滅ぼされた。東晋は一族の司馬睿 (しばえい) (元帝)が江南に移り,建業 (けんぎよう) (現在の南京)に建てた国。淝水 (ひすい) の戦い(383)で前秦の苻堅 (ふけん) を破って江南を確保し,華北から移住してきた貴族と土着の豪族の上に政権の基礎をおき,流民の処置にからんで土断法をしいた。貴族文化が栄え清談が流行したが,宋の劉裕 (りゆうゆう) に滅ぼされた。
通称後晋 (こうしん) または石晋 (せきしん) 。石敬瑭 (せきけいとう) が遼 (りよう) の助けをかりて建国。遼に滅ぼされた。   魯嚢(ろほう) 〔魯褒ろほうが「銭神論」を著して「人が孔方(=銭)に親しむさまは、まるで兄に親しむのと同じようだ」といったという「晋書魯褒伝」の記事より〕  銭ぜにの異名。孔方。   銭神論(せんしんろん)  中国,西晋の風刺文学。魯褒の著。司空公子,き母先生という架空の人物の問答を通じて,銭がこの世のなかで万能であることを皮肉な調子で述べたもの。      

 


仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

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仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

 

 

 四丁裏上 立ち姿の女の持つ「堪忍」の袋(画)から出た言葉

      堪 忍

四丁裏上

人のいつしやう、まもる

べきものハ、かんにんの

二字なり、ものにかん

にんををせざれバ、ばんじ

につけて、そのみにわざ

わひ、おほしたとへバ

わがみ一てふのいかりに

のりて、かんにんぶくろを

きり、人をあやめるハわが心に

じやねんのてがはへて、

わがみをがいすがごとし、

ゆへにかんにんの忍(にん)の

しハ心のうへに

やいばと

いふもんじ

をかく

なり

かへす

/″\も

やぶるまじ

きハかん

にんの

なり

      堪 忍 は逃げていく 画

 

 

    四丁裏上 「堪忍」の袋を持つ立ち姿の女の言葉(画)

   「これハいかな

    こと、かんにん

    ぶくろのをが

    きれました、   

 

  四丁裏中 心に喉を掻っ切られ、立ちすくんだ男の言葉

 「かんにんふく

  ろのをが

  きれけれバ

  いまゝでみを

  まもりたる、かん

  にんども、いづくけか

  たちたる

 

      四丁裏中 心に喉を掻っ切られる男は錨(いかり)に乗って立ちすくんでいる

    いかりに

    のつてハ

    こゝろの

    おちつかぬ

    ものじや

    あゝめが

    まふ/\

 

 

五丁表 吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる姿を写す鏡の文字

     は   の かゞみ

     破忍之鏡

  

 

    五丁表下

    かんにん袋をきりて

    いへをうしなひ、みをほろ

    ぼすこと、此かゞみにうつす

    きやうげんのごとし

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

右画 四丁裏

   歌舞伎『義経千本桜』「渡海屋」

   平知盛 (碇知盛(いかりとももり))を思い浮かべる^^

左画 五丁表 (鏡の中)

   歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』三段目松の廊下事件

   吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる^^

    かんにん袋をきりて

    いへをうしなひ、みをほろ

    ぼすこと、此かゞみにうつす

    きやうげんのごとし

 

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

 

 

 四丁裏上 立ち姿の女の持つ「堪忍」の袋(画)から出た言葉

      堪 忍

四丁裏上

人の一生、守る

べきものは、堪忍の

二字なり、ものに堪

忍を押せざれば、万事

に付けて、その身に災い

多し、例えば

我が身一丁の錨(いかり)に

乗り手、堪忍袋を

切り、人を殺(あや)めるは、我が心に

邪念の手が生えて、

我が身を害すが如し、

故に堪忍の忍(にん)の

忍(し)は心の上に

刃と

云う文字

を書く

也、

返す

返すも

破るまじ

気は堪

忍の

なり

      堪 忍 は逃げていく 画

 

 

    四丁裏上 「堪忍」の袋を持つ立ち姿の女の言葉(画)

   「これはいかな

    事、堪忍

    袋の尾が

    切れました、   

 

  四丁裏中 心に喉を掻っ切られ、立ちすくんだ男の言葉

 「堪忍袋

  の尾が

  切れければ

  今まで身を

  守りたる、堪

  忍ども、何處けか、

  たちたる

 

      四丁裏中 心に喉を掻っ切られる男は錨(いかり)に乗って立ちすくんでいる

    錨(いかり)に

    乗っては

    心の

    落ち付かぬ

    ものじや、

    あゝ、目が

    まうまう

 

 

五丁表 吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる姿を写す鏡の文字

     は (にん)  の かがみ

     破忍之鏡

  

 

    五丁表下

    堪忍袋を切りて

    家を失い、身を滅

    ぼす事、此鏡に写す

    狂言の如し

 

錨(画 いかり)

 怒り

破忍

 忍を破る

堪忍

 1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁。「悪かった、堪忍してくれ」

 2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐。

「且 (かつ) 力を尽し且―して時節を待つ可きなり」 福沢諭吉『学問の進め』

 

 

今日は、本来なら祇園祭巡行の予定でした・・・・・(2019年巡行と、宵山の祇園祭 綾傘鉾 棒振り囃子)

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 写真は2013年7月17日 綾傘鉾 棒踊り 

 

 

 コロナの影響で、祇園祭の巡行は中止された。

 幼い頃、毎年父に連れたれて楽しんだ、祇園祭。

 

 綾傘鉾の棒振り踊りも、その所作は厄払いと言われている。

 棒にせよ杖にせよ、これらには魔力があると柳田國男氏が記されている。

 

 祇園祭  長刀鉾の音曲は、若干能楽のカケリ部分に似ているような気がしないでもない。

 慣れ親しんだリズムに合わせて体を動かし、ユーチューブを楽しんでいた。

 

 

 綾傘鉾 棒振り囃子 2019年7月17日naponapo111様からお借りしました、ありがとうございます。

 

 祇園祭 綾傘鉾 棒振り囃子 (2019/7/16)  

 【聞いて学べる京都セミナー】(5) 「祇園祭 前祭山鉾巡行&神幸祭」

 2019/7/17をお借りしました。ありがとうございます。

 

   

 

仮名手本胸之鏡 上 読了^^v  7  五丁裏

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仮名手本胸之鏡 上 読了^^v  7  五丁裏

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 7  五丁裏

 

 

五丁裏上 立ち姿の女出た言葉  色

「はやのかんぺい、わかげのあやまり

 といへるハ、うべなるかな、わかきとき

 けつきさだまらず、いまはむる事

 たとへちうぎの心ある人もいろに

 まよえば、たちまちこいのふちに

 はまりて、その身をほろ

 ぼす、あゝ、つゝしむべし

 

五丁裏中

「たとへみにちうぎをいだい

 ても、このふちへはまり

 てハ、いゝぢはなひぞ

 

立つ男に、硯(離縁状)を渡す、座る女を写す

   迷いのかゞみ

   迷之鏡

 

鏡忠義を重んじ、女から逃げる男  忠義

「こいのふちへ、くびたけ

 はまつてハ、どぶもうかみ

 あがることがならぬ

    かなしや/\

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 7  五丁裏

右画 

 女 おかる

 男 勘平

仮名手本胸之鏡 上 7  五丁裏

 

五丁裏上 立ち姿の女出た言葉  色

「はやの勘平、若気の誤り

 と言えるは、諾(うべ)なる哉、若き時

 血気定まらず、いまわむる事

 たとへ忠義の心ある人も色に

 迷えば、たちまち恋の淵に

 はまりて、その身を滅

 ぼす、ああ、慎むべし

 

五丁裏中

「例え身に忠義を抱い

 ても、この淵へはまり

 ては、いいぢは無いぞ

 

立つ男に、硯(離縁状)を渡す、座る女を写す

   迷いのかゞみ

   迷之鏡

 

鏡忠義を重んじ、女から逃げる男  忠義

「恋の淵へ、首たけ

 はまつては、溝(どぶ)も浮かび

 上がる事がならぬ

    悲しや悲しや

 

 

 

うべ 諾 宜(うべ)

 [副]《平安時代以降は「むべ」と表記されることが多い》肯定する気持ちを表す。

 なるほど。いかにも。むべ。

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 読了

仮名手本胸之鏡 上 中 下

 

 

映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」

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以前にも楽しんだ映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」をみる。

話は覚えていたが、楽しくて大笑い。

話すの展開がアップテンポで、どんでんがえしに次ぐどんでんがえしに次ぐどんでんがえし

うまい役者の勢ぞろいで、見ている側は、嬉しくてたまらない。

 

江口洋介と竹内結子 のやり取りは、「ランチの女王」を幾度となくあたくしにとっては、歌舞伎でいうならば考玉で、見ている側の唇がデレリと垂れ下がる。

江口のしてやられたりの、男の悪の美学ような溢れる笑い笑いは魅了的。

また竹内結子の、男前なトーンから入る台詞の言い回しは、見ている側を虜にする。

 

ラスト、江口のしてやられた500億のブルーダイヤをより精密に作る宝石技師は、小栗旬。

またまたこの作品でも、重要の締めの部分で、小栗旬が出演。

なりきりに彼は、さんしょはピリリと辛いと言った役柄を、何の迷いもなく、違和感なくやり遂げられていた。

うまい!!!

 

2回目ではあるが、楽しい時間を過ごさせていただいた。

映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」、この作品は、私は好きだな!!!

 

【監督】
田中亮

【脚本】
古沢良太

【音楽】
fox capture plan

【主題歌】
Official髭男dism「Pretender」(ポニーキャニオン/ラストラム・ミュージックエンタテインメント)

長澤まさみ 東出昌大 小手伸也 / 小日向文世
織田梨沙 瀧川英次 Michael Keida / 前田敦子 佐津川愛美 岡田義徳 桜井ユキ
生瀬勝久 山口紗弥加 / 小池徹平 佐藤隆太 吉瀬美智子 石黒賢
竹内結子 三浦春馬 江口洋介 小栗旬

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

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仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

 

中 一丁表上  色

うつくしき女、ひとたび

わらへバ、くにをかたむけ、

しろをかたむくるとハ、うべ

なるかな、うつくしき

女のゑくぼ

より

わら

いづる

ときハ、たち

まち わざわひを

いだす、此かゞみにうるるやう

    りんのご

      とし

 

      中 一丁表中 立ち姿の女出た言葉

      こうおかしくてハ

    どのようなわざわひを

    引き出だそうもしれぬ

    おゝさ そこだ/\/\

 

鑑の絵の下

        かゞみ車を引く女二人と車(リアカー)

    けいその鑑

 

車を引く女二人と車(リアカー)

    女 笑

    女 笑

      車の荷台  禍

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

 

中 一丁表上  色

美しき女、一度(ひとたび)

笑えば、国を傾け、

城を傾くるとは、うべ

なるかな、美しき

女のえくぼ

より

出づる

時は、たち

まち災いを

出だす、此鑑に写るよう

    りんの如し

 

      中 一丁表中 立ち姿の女出た言葉

      こうおかしくては

    どのような災いを

    引き出だそうもしれぬ

    おおさ 、そこだ、そこだ、

 

鑑の絵の下

        かがみ車を引く女二人と車(手引き車)

    けいその鑑

 

車を引く女二人と車(手引き車)

    女 笑

    女 笑

      車の荷台  禍

 

 

 

うべ 諾 宜(うべ)

 [副]《平安時代以降は「むべ」と表記されることが多い》肯定する気持ちを表す。

 なるほど。いかにも。むべ。

此鑑に写るよう りんの如し

 この鑑に写るよう りんの如し

 ようりん ×

 氷輪(ひょうりん)氷のように冷たく輝いている月。冷たくさえた月。 ×

 

 様 「りん」の如し

「りん」

リン酸(phosphoric acid)はリンのオキソ酸の一種で、化学式は H3PO4 の無機 酸である。オルトリン酸(orthophosphoric acid)ともよばれる。

リンは、生体中のさまざまな化合物を構成しており、生物にとって不可欠な元素で ある。リン酸カルシウムは骨 歯をつくる。リンそのものもDNAなどの遺伝物質を つくるのに欠かせない。そして生体内のエネルギー源としてはたらくATPもリン酸 の化合物である。ATPのエネルギーを使うことで、私達の筋肉は動いている。

リン化合物の出発原料はリン鉱石であり、リン鉱石(phosphate ore)は、リン酸塩 鉱物を主成分とした鉱石である。リン鉱石は、その成因によって、無機質と有機質リ ン鉱石とに分けられる。無機質リン鉱石は、マグマ 火成岩の生成、活動によってで きる鉱物であり、代表的な鉱物にリン灰石(アパタイト)がある。その主成分は、リン 酸三カルシウム(Ca3P2O8)で、化学組成は 3Ca3P2O8・Ca(Cl,F)2 である。有機質リン鉱石 は、魚類 脊椎動物の遺骸が海底で堆積し、地殻の変動・隆起により陸化してリン灰 土(phosphorite)となったものをいう。

 

けいその鑑 

 ケイ素 

 ケイ素は、「珪素」「硅素」「シリコン」とも呼ばれる物質で、岩石や土壌の主成分として酸素に次いで2番目に多く自然界に存在しています。

 その中でも、無色透明で六角柱状の美しい結晶したものを水晶(クリスタル)と呼びます。

 クリスタルシャワーは、天然水晶を2,000℃で8 時間加熱し、ガス化してケイ素の結晶を作りケイ素成分を99.9%抽出しました。

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

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仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

 

中 一丁裏上  

たんりよこうをなさずとハ

むべなるかな、あとさきのかん

べんなくはらのたつまゝに

ことをやぶる人ハ、わが心の

     つるぎをもつて

     わがあしにていへをふみ

     つぶし、つまや子に

     なげきを

かけ、けらい、めしつかひ

にハ、ひしよくに

はなれしめ

なんぎをさする

こと、みなこれ

一人のたんりよ

しりおこるなり   

中 一丁裏上 真ん中家を左足で抑え、刀を持ってたつ男

その左に刀男の腹を持って振り返る男

衣という頭の白生き物をきて去る左上の男

 

中 二丁表中右

 「さむさにむかつて

  きもの はな

  するとハ

  なんたる

  いんぐわだ

 

中 一丁裏上 右女の目から

     泪

     泪

 

中 一丁裏右下

 「にようぼうの

  目より、なみだの

  たま はしりいづる

 「わがあしにて、わが

  いへをふみつぶす

 

中 一丁裏右下座る男が、二丁表ご飯頭の男に声をかける

 「しよく

  にはなれて

  □すがら

  何にしやう

丸鏡の中の絵

仮名手本忠臣蔵 塩谷判官(えんやはんがん)切腹の場

仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

 

中 一丁裏上  

たんりょうこうをなさずとは

むべなる哉、後先の勘

弁無く、原野たちままに

事を破る人は、我が心の

     劔を持って

     我が足にて家を踏み

     潰し、妻や子に

     嘆きを

掛け、家来、召使

には、被食に

離れしめ

難儀をさする

事、皆これ

一人の胆力

知りおこる也   

中 一丁裏上 真ん中家を左足で抑え、刀を持ってたつ男

その左に刀男の腹を持って振り返る男

衣という頭の白生き物をきて去る左上の男

 

中 二丁表中右

 「寒さに向かって

  着物 離

  するとは

  なんたる

  因果だ

 

中 一丁裏上 右女の目から

     泪

     泪

 

中 一丁裏右下

 「女房の

  目より、涙の

  玉 は知り出(いず)る

 「我が足にて、我が

  家を踏み潰す

 

中 一丁裏右下座る男が、二丁表ご飯頭の男に声をかける

 「食

  に離れて

  □すがら

  何にしよう

仮名手本忠臣蔵 塩谷判官(えんやはんがん)切腹の場

(文化デジタルライブラリー https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc21/himotoku/d4/2a.html)

 上使は、石堂右馬丞(いしどううまのじょう)と、高師直 (こうのもろのう)と懇意の薬師寺次郎左衛門(やくしじじろうざえもん)。塩谷判官(えんやはんがん)は切腹、領地は没収との上意が申し渡されます。判官は既に覚悟を決めており、死装束を整えていました。切腹の支度が粛々と進みます。切腹の座についた判官は、一目だけでも大星由良助(おおぼしゆらのすけ)に会いたいと到着を待ちわびますが、もはや猶予は許されません。ついに、刀を腹に突き立てます。

 そこへ由良助が駆け付けました。判官は苦しい息の下、「無念」と伝えこと切れました。由良助の手には、判官が形見と告げた腹切り刀。由良助は、判官の最期の言葉を噛みしめます。

判官の亡骸は、泣き崩れる顔世御前(かおよごぜん)と家臣達に付き添われ、葬送のため菩提寺光明寺へ向かいました。

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

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仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

 

中 二丁裏上  

とかく人ハ心にくろしやうぞくを

きせ、はぢをしのばざれバ、忠臣(ちうし)」の

ろうにおさめたる大功(たいこう)とたから

ものハゑがたし、むせう向きの

みじかき人ハ、いつしやう大(たい)

功(こう)ハさてぞかし

 

中 二丁表中央 算盤を持ってたつ男の言葉

黒装束の顔に 心 

    胸に 大功

 

「かうはぢを

 しのんでハたれ

 ことさとら

 れることでハ

 ねへ、大ぐわん

 じやう しゆハ

 まだゞ/″\、うつた

 

中 二丁表中央 右下の座る男

    手ぬぐいに 気 の文字

 

  なるほど

  うらぎが

  みしかく

  てハ、てぬ

  ぐひにも

  ならぬ

 

中 二丁裏中央 左下の座る男

    手ぬぐいに 気 の文字

 

中 三丁表中央 左下の座る男

   い

   きとくしる

   きもみし

   かうこざる

 

中 三丁表中央 丸鏡の下

    たいこうのかゞみ

    大功の鏡

 

  はぢをしのひ

  いかりをこしへて

  大功をたつる人ハ

  此心のみにうつるきやう

  げんのごとし

仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

 

中 二丁裏上  

とかく人は心に黒装束を

着せ、恥を忍ばれざれば、忠臣(ちゅうしん)の

楼に納めたる大功(たいこう)と 宝

物は、得難し、むしょう向きの

短かき人は、一生 大(たい)

功(こう)は、さてぞかし

 

中 二丁表中央 算盤を持ってたつ男の言葉

黒装束の顔に 心 

    胸に 大功

 

「こう 恥を

 忍んでは、誰、

 事悟ら

 れる事では

 ねへ、大勘

 定 しゅうは

 まだだ、まだだ、売った(打った)

 

中 二丁表中央 右下の座る男

    手ぬぐいに 気 の文字

 

  なるほど

  裏着が

  短く

  ては、手ぬ

  ぐひにも

  ならぬ

 

中 二丁裏中央 左下の座る男

    手ぬぐいに 気 の文字

 

中 三丁表中央 左下の座る男

   い

   きとくしる

   気(着)も短

   こうこざる

 

中 三丁表中央 丸鏡の下

    たいこうのかゞみ

    大功の鏡

 

  恥を忍び

  怒りを越し経て

  大功を達つる人は

  此心の身に写る狂

  言の如し

くろしやうぞく

 黒装束

 

 

 


仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

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仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

 

中 三丁裏上  

あくをなすときハ

てんとうさま、たち

まちわざわひを

くだしなふこと

いつわりならす

さるによりて

てんとう さま

あくにんをほう

ぼさんがためてん

のみちのすぐなる

つりざほのさきへ

いんゑんのいとをつけ

与兵衛をつりばり

こし しまの

さいふをゑさ

とし、かん

平がてつ

ぷう、玉

をおもり

とし----------右男の垂れる釣り糸に「し」が続く画

さた九郎

 

 

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人

 釣竿の先には、金の入った巾着が釣り上げられている。

 「こゝまで

  ござれ、此かね

  しんじよ

    

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人の

 釣り上げた巾着の金を取ろうとする、海に中の男

 「うをハ悪さある事を

  しつて、はりある

  ことを

  しじず

  さた九郎

  ハ、五十 

  両

   の

 中 四丁表下

  かねあること

  をしつて、まへに

  てつぼうある

  ことをしら

  ず、人 

   じや、

  みな

  かゝの

  ごと

  し

 

 鏡に中には、定九郎がまさにおかるの父を殺すところ。

 此の後、お軽の身受けの金、五十両を盗む。

    鏡の下 

       あくのむかふかゞみ

       悪報鏡

 

中 四丁表下

  せんをなせバ

  天さいはいを

  くだし、なひ

  あくをなせば

  天わざわひを

  くだしいふ

  みなこれ此かゞみ

  にうつる、きやう

  げんのごとし

 

 

仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

 

 

中 三丁裏上  

悪をなす時は

天道様、たち

まち災いを

下しなう事、

偽りならず

去るに依りて

天道様

悪人をほう

ぼさんがため、天

の道のすぐなる

釣竿の先へ

因縁の糸を付け

与兵衛を釣り針

こし 嶋の

財布を餌

とし、寛

平が鉄

砲玉

を重り

とし----------右男の垂れる釣り糸に「し」が続く画

定九郎

 

 

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人

 釣竿の先には、金の入った巾着が釣り上げられている。

 「ここまで

  ござれ、此金

  しんじよ(しんぜよう)

    

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人の

 釣り上げた巾着の金を取ろうとする、海に中の男

 「魚(うお)は悪さある事を

  知って、はりある

  事を

  信じず(しじず)

  定九郎

  ハ、五十 

  両

   の

 中 四丁表下

  金ある事

  を知って、前に

  鉄砲ある

  事を知ら

  ず、人 

   じゃ、

  皆

  かかの

  如

  し

 

 鏡に中には、定九郎がまさにおかるの父を殺すところ。

 此の後、お軽の身受けの金、五十両を盗む。

    鏡の下 

       あくのむかふかゞみ

       悪報鏡

 

中 四丁表下

  せんをなせば

  天災は、いを

  下し、内

  悪をなせば

  天、災いを

  下し、いう

  皆これ此 鏡

  に写る、狂

  言の如し

てつぼう

 鉄砲

 歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』では、二つ玉の場面。

 芝居では二度。鉄砲を放つ音がする。

 鉄砲の打ち手は、寛平。

 勘平はイノシシを追うのだが、一発目は外れ、二発目は金を奪った定九郎にあたる。

 此の後、家に運ばれた定九郎の懐から嶋の財布が出てき、勘平は義理の父親を殺めたと勘違いし、自害。

 妻のおかるは身を売り、回り回った因果。

 なんとも切ない場面である。

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

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仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

 

中 四丁裏上  

しゆじんに

ちうをつくし

おやにこうを

つくし

おつとこ

に、ていせつ

をなすハ

人のみち、

女のまもる

べきみち也

かんへいがつま

おかるがごときハ

ちうぎ、ていせつの

こゝろハ 一ツにて、しゆ

人のため、おつとの

ためにみをうるハ

うらざを二ツにわり

たるがごとし

 

中 四丁裏上 右戸口から、おかるの母

中 四丁裏上 真ん中に、柱で鼻を打つ、鼻血の出たおかるの手には

   忠

   貞

中 四丁裏上〜五丁表 おかるを見てたつ男

 

中 四丁裏下

   「いかにあきら

    めても、さす

    が、出る

    おつと

      の

    わかれを

    かなしと

    て、きハあ

        れ

 

   「どばついて

    けづしやんな

 

中 五丁表上 鏡の下の文字

     ていじよのかゞみ

   貞女之鏡

 

中 五丁表上 鏡の下の文字 

   はんじの事、二ツなから

   まつさき事ハできがた

   きものなれども、それも

   思ひをつくしみをすつる

   ときハ忠貞(ちうてい)まつたく

   なさすなり、此きやう

   げんハまことに、ていちよ

   のからみあり

 

仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

 

中 四丁裏上  

主人に

忠を尽くし

親に孝を

尽くし

夫・子

に、定説

をなすは

人の道、

女の守る

べき道也、

勘平が妻

おかるがごときは

忠義、定説の

心は 一つにて、主

人の為、夫の

為に身を売るは

裏座を二つに割り

たるが如し

 

中 四丁裏上 右戸口から、おかるの母

中 四丁裏上 真ん中に、柱で鼻を打つ、鼻血の出たおかるの手には

   忠

   貞

中 四丁裏上〜五丁表 おかるを見てたつ男

 

中 四丁裏下

   「いかにあきら

    めても、さす

    が、出る

    夫

     の

    別れを

    悲しと

    て、極め

        れ

 

   「どばついて

    けづしやんな

 

中 五丁表上 鏡の下の文字

     ていじよのかゞみ

   貞女之鏡

 

中 五丁表上 鏡の下の文字 

   判事の事、二つながら

   松崎事はでき難

   き物なれども、それも

   思いを尽くしみを捨つる

   時は忠貞、全く

   なさす也、此狂

   言は誠に、貞女

   の絡みあり

 

けづ

 (いけづ、か? 京都弁 意地悪)

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中読了^^v  仮名手本胸之鏡五丁裏 12 六丁表

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仮名手本胸之鏡 中 12 五丁裏 六丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 12 五丁裏 六丁表

 

中 五丁裏上  

さけハ人をよハ

しむる

ものなれども

こゝろさだ

まりたる

人をよハしむる

こと、あたわず

いろハ人をま

よハしむるもの

なれども、一心の

たゞしき人をまよハ

しむる事あたハず

 

中 五丁裏右 本心の着物をきて立つ男の手から、

座る男二人に火売り投げられた球は

       色

       酒

 

中 五丁裏下

「大ぼしハ、酒といろ

 とをもつて、かたきの

 めつぶしに うち

 かたきのまなこをくらます、

 

「大ぼしハ

 ちうぎのほん

 しんをばちやんと

 ふところへおさ

 めて、人にみす

 ること

   なし

 

鏡の中の画(大星は人中から酒を飲んで阿呆で怠惰を装い、周りの動きを探っている)の下

    人のかゞみ

 

中 五丁裏下

ばんない

「いやはや、とんときち

 がいのようで、ござるはへと

 いふが、すなわち、めつぶしを

 うたれたるゆへなり、

 

 

鏡の中の画

大星は人中から酒を飲んで阿呆で怠惰を装い、周りの動きを探っている。

 

仮名手本胸之鏡 中 12 五丁裏 六丁表

 

中 五丁裏上  

酒は人を酔わ

しむる

物なれども

心定

まりたる

人を酔わしむる

事、与わず

色は人を迷わしむるもの

なれども、一心の

正しき人を迷わ

しむるしむる事あたはず

 

中 五丁裏右 本心の着物をきて立つ男の手から、

座る男二人に火売り投げられた球は

       色

       酒

 

中 五丁裏下

「大星は、酒と色

 とをもつて、仇の

 めつぶしに 打ち

 仇のまなこをくらます、

 

「大星は

 忠義の本

 心をば、ちやんと

 懐へ納

 めて、人に見す

 る事

   無し、

 

鏡の中の画(大星は人中から酒を飲んで阿呆で怠惰を装い、周りの動きを探っている)の下

    人のかゞみ

 

中 五丁裏下

伴内

「いやはや、とんと気狂い(きち

 がい)の様で ござるはへ,と

 言うが、すなわち、めつぶしを

 打れたるゆへなり、

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中読了^^v

 

仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

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仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_02946/he13_02946_0054/he13_02946_0054.html

仮名手本胸之鏡 下

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

 

下 一丁表

これハうすから

でたまことにて

ちとこじつけなり

 

下 一丁表右に立つ臼をつく女

臼から 扇を持った男 まこと

 

由良助は手紙を読む、その手紙を、縁の下に隠れて、

盗み読む斧九太夫(おのくだゆう)の画が写る鏡の下

          かゞみ

      のべ鏡

 

うそからでたまことで

なすれバなハとげぬとハ

 むべなるかな、よの中にハ

      うそから

      でたうそ

      おほし

      まこと

      ある人ハ

       すけ

       なき

       もの

       なり

 

「わたしとちつとの

 うち、ざひしよにおらん

 でたとや、ばゞんつれて

 と、むぎつきかたも、

 すこしハおぼへて

   いやんす

 

 鏡の中の画  由良助は手紙を読む、その手紙を、縁の下に隠れて、盗み読む斧九太夫(おのくだゆう)。      大星力弥(おおぼしりきや)が、亡君・塩冶判官(えんやはんがん)の妻・顔世御前(かおよごぜん)からの手紙を持って来る。手紙を読む。  と、そこへ塩冶判官の家老、家老・斧九太夫(おのくだゆう)が来る。九太夫は高師直と通じている。  由良助に仇討ちの意思があるか確かめようとした。    由良助が去り、師直の家来・鷺坂坂内(さぎさかばんない)がくる。  由良助に仇討ちの意思なしとしる。  九太夫は更に手紙が気になり、縁の下に隠れる。    由良助は顔世御前の手紙を読む。  縁の下では九太夫がそれを透かし読み、落ちた端切れを懐に隠す。    二階には寺岡平右衛門の妹であり早野勘平(はやのかんぺい)の妻の、遊女おかるが。  その手紙を覗き見していた。  おかるが簪(かんざし)を落とし、覗かれていたことに気づいた由良助も気づき、手紙を閉じて    はっつ!    ↑  此処、見せ場の一つ!^^!    由良助、おかるを口封じに殺すしかないと決意。  おかるに遊郭から請け出そうと申し出、金を払ってくるから待っているよう言って去るが、云々。    あぁあ〜、  芝居が見たい!!!

 

仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

 

下 一丁表

これは臼から

出た誠にて

ちとこじ付け也

 

下 一丁表右に立つ臼をつく女

臼から 扇を持った男 まこと

 

由良助は手紙を読む、その手紙を、縁の下に隠れて、

盗み読む斧九太夫(おのくだゆう)の画が写る鏡の下

          かゞみ

      のべ鏡

 

嘘から出た誠で

なすれば、名は遂げぬとは

 むべなる哉、世の中には

      嘘から

      出た嘘

      多し

      誠

      有る人は

       少

       なき

       物

       也

 

「私とちっとの

 内、在所に居(お)らん

 出たとや、婆ん連れて

 と、麦つき方も、

 少しは覚えて

   いやんす

 

 

これハうすから

でたまことにて

ちとこじつけなり

 臼から出た誠 → 嘘から出た誠

 

とって!?も大切。今日も良い日を過ごさせていただいた。

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 長年、そう、長年すぎるくらい使っているビタクラフトの

ミルクパンの大きい方の取っ手が、壊れてしまった。

 コロナウイルスの影響でデパートに行くことは、ちと怖い。

 仕方がないので、ビタクラフトで検索すると、

鍋が古すぎて、とってのデザインが少々変わっている。

 

 次に、少し消えかけた鍋ナンバーを入力すると、

 新しいデザインの取っ手でよかったのだが、

「只今、品切れ中」

とあり、予約も何もできない状態。

 

 途方にくれた乱鳥は無い知恵 絞り、購入デパートに電話をしてみた。

 電話の向こうでは、たいそう丁寧な方が優しく受け答えして下さった。

「代引きでも、お受けいたします。」

と。

 神だ!其の方、神だと感じた。

 齢を重ねるにつれ、人様のご親切が身にしみる。

 今日も良い日を過ごさせていただいた。

 

 

 ご来場、誠にありがとうございます。

 心より、感謝申し上げます。  乱鳥合掌

 

 

 

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