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『疱瘡心得草』6 05裏:挿絵 06表:本文 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』6 05裏:挿絵 06表:本文 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26




 
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 『疱瘡心得草』
疱瘡2-1
国立国会図書館所蔵
05裏  右

高(たか)き棚(たな)などに祭(まつ)るべからず、疱瘡病人(ほうさうにん)の喰(く)ひて

わるき品(しな)を神へ備(そな)ふべからず、神の燈明(とうみやう)ハ昼夜(ちうや)燈(とも)

し置(おく)べし、神おくりハ 十五日にさゝ湯(ゆ)して送(おく)るなり

神いませば、油断(ゆだん)する事なし、世間(せけん)に 十二日に神を

送(おく)るハ誤(あやま)りなり、神送(おく)りして後(のち)に変(へん)にあふもの多(おゝ)

し、出そろひより、十二日にして、序病(じよやみ)ゟ十五日めなり

  肌着(はだぎ)の袖(そで)を長(なが)くする心得(こゝろへ)の事

袖長(そでなが)とは、両手(りやうて)をのべて、三寸ばかりも指先(ゆびさき)より長(なが)く

ゆつたりとすべし、袖口(そでぐち)を細(ほそ)くすべからず、手(て)の出(だ)し入(いれ)

ゆるきを要(よう)とす もし痘病人(ほうさうにん)眠(ねむ)る時ハその袖の

疱瘡2-1
国立国会図書館所蔵

06表 左
先ひもにてくゝりおくべし、我しらずに つむり、又かほに

手をあげて掻事(かくこと)あるものなり、又ひとへの紅木綿(べにもめん)を

頭(つむり)に着(き)せ置くべし、水(みづ)もりの頃(ころ)に、ぜひ礙(さわ)るものなり、此

袖長(そでなが)にて防(ふせ)ぐべし、又水(みづ)もりより、両足(そく)のあわひに木(も)

綿(めん)のひとへ襦(じゆ)ばんにても、へだてに挟(はさみ)て、足(あし)の爪先(つまさき)にて

足(あし)と足(あし)と両方(りやうほう)すりて、掻(かき)破(やぶ)らぬやうに 用心(ようじん)に気(き)を

付(つく)べし、かならず手(て)ばかりの気遣(きづか)ひして、足(あし)にはこゝろ

つかぬものなり

  疱瘡前後(ほうさうぜんご)禁食(どくいみ)の品(しな) 心得(こゝろへ)の事
酢(す) 酒(さけ) 麺類(めんるい) 餅類(もちるい) 惣(そう)じて油気(あぶらけ)の類(るい)、食事(しょくじ)に魚類(ごよるい)





さゝ湯(ゆ)  (大辞林)
 ささ ゆ 【笹▼湯・酒▽湯】
 ① 巫女(みこ)が口寄せをする際、熱湯に笹の葉を浸して、自分の身にふりかけ祈禱(きとう)すること。ささばたき。
 ② 〔米のとぎ汁に酒(ささ)を加えるからとも、笹の葉を浸してふりかけるからともいう〕
  小児の疱瘡(ほうそう)が治ったときにふりかける湯。さかゆ。



『疱瘡心得草』7 06裏:挿絵 07表:本文 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』7 06裏:挿絵 07表:本文 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26



 
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 『疱瘡心得草』
疱瘡-2jpg
国立国会図書館所蔵
06裏  右

ハ干肴(ひざかな)にても乳(ち)のみ子(ご)なれバ、母(はゝ)子(こ)ともに無用(むよう)なり、

其外(そのほか)くさきもの、かしき物(もの)、果実(このみ)、生冷(なまひへ)のもの、何(いづ)れも

いみきろふべし、世間(せけん)疱瘡神(ほうさうがみ)の すきのものふど言ふて

くわせ、おゝきにしぞこのふ事(こと)まて多(おゝ)し



  疱さう人(にん)の居間(いま)へ 忌(いむ)心得(こゝろへ)の事

痘人(とうにん)の居(い)る間(ま)へつゐに見(み)なれぬ人(ひと)、出入(でいり)し声高(こゑだか)に

ものを、言(ゆ)ひて痘人(とうにん)を驚(おどろ)かすべからず、又 にほいの気(き)

をいむべし、懐中(くわいちう)のにほひ袋(ふくろ)、梅花香油(ばいくわ かうのあぶら)成人(おとな)の

痘人(とうにん)なしば、房事(ほうじ)をかたく慎(つつしむ)べし、脇気(わきが)ある人(ひと)出入(でいり)を忌(む)

出家(しゆけ)、比丘尼(びくに)出入をいむ、雪隠(せつゐん)のにほひ、又 女の月(つき)のさ


かしき物   (学研 古語辞典)
 かしづ・く 【傅く】
 ①大事に育てる。
 出典堤中納言 虫めづる姫君
 「親たちかしづきたまふことかぎりなし」[訳] 親たちが大事に育てなさることは、ひととおりではない。
 ②大事に面倒を見る。後見する。大切に扱う。
 出典源氏物語 東屋
 「我は命を譲りてかしづきて」[訳] 自分は命を捨てるつもりで大切に扱って。

すきのものふど言ふて
 好きのもの程言うて

しぞこのふ
 しぞこなう(やり損なう)



疱瘡-2jpg
国立国会図書館所蔵
07表 左

(女の月(つき)のさ)
わりをいむ、髪(かみ)の毛(け)、火に入やけぬやうに、心得(こゝろへ)べし 病(や)み

始(はじめ)より一間より外へ連れ出づべからず、小児(せうに)などハよく

くせに成る物ゆへ、其心得(そのこゝろへ)、第一なり、痘(いも)ハものにあやかり

やすきものゆへに、紅絹(あかきぬ)を屏風(びょうぶ)にかけ置(お)くべし、又 時節(じせつ)の

寒暖(かんだん)に随(したが)ひ、衣裳程(いしやうほど)よくあたゝめすごして、汗(あせ)を出す
べからず



  序病(ほとおり・じよやみ) 三日の間(あいだ)吉悪(よしあし)の心得の事

外感(さむけ)によつておこれば、水ばな、せき、出るものなり、或(あるひ)は

食(しよく)もときの熱(ねつ)よりおこり、又ハ、驚(おどろ)く事ありて、序熱(ほとおり)と

なる、然(しか)るに序病(ほとおり)の熱、激(はげ)しきもの かへつて痘(いも)多く




序病(ほとおり)    (大辞林)
ほとおり ほとほり 【熱▽り】〔動詞「熱(ほとお)る」の連用形から〕
 ①熱気。また,体の熱。 「火を放(つ)けて室を焚(や)く。…次に-を避る時に/日本書紀 神代下訓」
 ②「 ほとぼり① 」に同じ。 「早玉の緒も切れ果てて…-ばかりにて/浄瑠璃・御所桜」
 ③「 ほとぼり② 」に同じ。 「泰衡退治の奥州御陣,-さめぬ武士共馬印旗印/浄瑠璃・扇八景」
いきり 【熱▽り】
 「 いきれ(熱) 」に同じ。 「光秀は太刀の-を冷(さま)さんと/浄瑠璃・太功記」
ほ てり [3] 【火照り・熱▽り】
 ①熱気や怒り・恥ずかしさで顔が赤くなること。 「顔の-」
 ②夕焼けで空が赤く色づくこと。 「山の端に-せぬ夜は/新撰六帖 3」
ほとぼり [0] 【熱▽り】
 ①まだ残っている熱。余熱。ほとおり。 「山々も,日中の-を返してゐるのであらう/偸盗 竜之介」
 ②高まった感情が尾を引いて残っていること。ほとおり。 「感激の-が未ださめやらぬ」
 ③事件などに対する世人の関心。 「 -がさめるまで姿を隠す」
ほとり [3] 【熱▽り】 〔動詞「熱(ほと)る」の連用形から〕
 熱くなること。熱気をおびること。熱さ。 「 -ヲサマス/ヘボン」


『疱瘡心得草』8 07裏 08表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』8 07裏 08表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26



 
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 『疱瘡心得草』
疱瘡-3
国立国会図書館所蔵
07裏  右

出るものあり、発熱(ほつねつ)の時ハ、軽(かろ)く、重(おもき)には有るべからず、総(すべ)て

食事(食事)ハ喰(く)ひかねるものなら、痘(いも)ハ始(はじめ)終(おわ)り、胃(ゐ)の気を根(こん)

本(ぼん)とす、重(おも)しといへども、只(ただ)箸(はし)のすたらぬを吉として

凌(しの)ぎ通(とお)すべし、生(むま)れ付て 肝(かん)の気高(たか)ぶるものハ、発熱(ほつねつ)に

目をみつめる事ありとも、驚(おどろ)くべからず、必(かならづ)驚(おどろ)くべからず、必(かなら)ずその跡(あと)おだ

やかなるものなり、うわこと 多く、人(ひと)見(み)しりさへ弁(わきま)へぬもの

難症(なんしやう)の 又大の悪性(あくしやう)ハ序病(じょやみ)の時、頭面(かしらおも)て計(ばか)り、火に

焼(やくる)が如(ごと)く、赤(あか)く紅(べに)のかたまりて、動(うご)かざるもの、


うわこと
 うわ言

疱瘡-3
国立国会図書館所蔵
08表 左

雁(がん)のなく如(ごとく)なるは、大悪痘(だいあくとう)なり、たゞ 一がいには、論(ろん)じがたし、

吐瀉(としや)、また腹(はら)いたむもの、食滞(しよくのとゞこほり)ひへの気と、又痘の毒火(どくくわ)に

よるもの 二つなり、其内(そのうち)序熱(ほとほり)の腹(はら)くだりハ 急(きう)には とめ

難(がた)し、吐(は)くものハ、痘(いも)の毒火(どくくわ)、上へ向(むか)ふ故に重(おも)し、兎角(とかく)吐(はくこと)を

治(じ)すべし、ひへによりて、下(くだ)るをとめざれば、疱瘡(ほうさう)出うきかぬる

もの也、大便(だいべん)数日(すうじつ)けつする時、少(すこ)し通ずべし、疱瘡(ほうさう)の毒火ど(どくくわ)

によりて、腹痛(はらいた)めば 腰(こし)へかけていたむなり、是(これ)必(かならず)重(おも)し 発熱(ほつねつ)

のとき、汗(あせ)出るもの気和(くわ)し、甚(はなハだ 吉(よき)症(しやう)なり、血症(けつしやう)ハ悪(あし)し

発熱(はつねつ)に鼻血(はなぢ)出るハ治すべし、気遣有べからず




 見点(でそろい・けんてん)三日間(あいだ)の吉凶(よしあし)の心得の事




吐瀉(としゃ)
 《名・ス自》嘔吐(おうと)と下痢。はきくだし。

序熱(ほとほり)
 ほとぼり

ひへ(ひえ 冷)

大便(だいべん)数日(すうじつ)けつする時
 大便、数日 欠する(便秘)時

三日間(あいだ)
 三日の間


宇賀神像

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写真は 矢田坐久志玉比古神社(やたにいますくしたまひこじんじゃ)矢田式内大社にて

(蛇がとぐろを巻いているように見えないこともない宇賀神像を思い浮かべた。)

 

 


 テレビで、 奈良の喜光寺にも祀られている宇賀神像を印刷された赤い紙に、御住職らしき方が御朱印の様な形で、寺名などを書かれていた。

 喜光寺によれば、只今の流行病を鑑みられた様で、
「宇賀神像は疫病退散にも云々」
と申されていた。

 又、下の様にもおっしゃっていた。
「赤の紙にも意味があります(要約)」
 なるほど、古代の石棺には腐敗も兼ねて「朱銀」が使え荒れていたり、疫病神で言えば赤鍾馗様を逆さまに吊るせば、伝承として、疱瘡に良いとされていた。
 柳田國男氏も「赤」に付いて記されている。

 宇賀神像は何度か見たことがある。
 ウィキペディアによれば、宇賀神像は弁財天。

 1)日本神話に出てくる「宇迦耶(うがや)」に由来
 2)蛇神・龍神の化身
 3)仏教の神(天)である弁財天と習合
 4)出自が不明で、経典では穀霊神
 5)8世紀の『丹後國風土記』のトヨウケビの羽衣伝説と同様の、「水浴びをしていた天女の一人が老夫婦に衣を隠され天に帰れなくなり、万病に効く酒を造って老夫婦に財をもたらしたが、翁に追い出され、辿り着いた丹後の奈具村で宇賀女神として祀られた」という伝承

 上の伝承を受けての御朱印であろう。
 
 尚、 喜光寺は奈良の東大寺の伽藍の元になったと、講義で聞いた事がある。

 

 

 

 

『疱瘡心得草』9 08裏 09表絵図 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』9 08裏 09表絵図 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』


疱瘡-4
国立国会図書館所蔵
07表  見点(でそろい・けんてん)三日間(あいだ)の吉凶(よしあし)の心得の事
08裏  右

見点(でそろい・けんてん)のみへそめにハ、表裏(ひやうり)の虚実(きよじつ)を考(かんが)へ、うかするてだて

かんじんなり、痘人(ほうさう人)の性(しやう)として、風寒(ふうかん)にて表(ひやう) をとづる

もの有、裏(うら)の気のよわきもの有、此外に毒気(どくき)をすか

して発(はつ)するもの有、是等(これら)詳(つまびらか)に弁(わきま)へて、よき医師(いしや)を頼(たの)み

家内(かない)の介抱(かいほう) 如在(じよさい)なく 心得る事肝要なり、吉症(きつしやう)と云(いふ)

とも、出浮(いでう)くまでハ、大切(たいせつ)也、風(ふ)としたる物にさらわれて

至(いたり)て軽(かろ)き疱瘡にても、出(いで)浮(うき)かずして、変(へん)にあひ、又ハ

折角(せつかく)出浮(いでうき)かけて引込(ひきこむ)もあり、かせ口より出浮がたき

を大事とすべし、痘(いも)の始終(しじう)ハ全(まつた)く発熱(じよやみ)の時(とき)に

弁(わきま)へしるべし、見点(でそろひ)頭 面(かしら かほ)より見へ、手足ともに ばらりと



表(ひやう) をとづる
 表、訪ずる

詳(つまびらか)
 詳か 審か
 〘形動〙 (「か」は接尾語。古くは「つばひらか」) 物事の有様などを細部にわたって認め得るさま。ことこまかなさま。くわしいさま。また、物事の状態などがはっきりわかっているさま。つばら。つばらか。つぶさ。委曲。委細。
 ※書紀(720)神武即位前戊午年八月(北野本訓)「天皇即ち、道臣命を遣して其の逆(さか)ふる状(かたち)を察(みせ)たまふ、時に、道臣命、審(ツマヒラカ)に賊害(あたなふ)心有ることを知りて」

かせ口のかせ
 綛(かせ)
 1 紡錘 (つむ) で紡いだ糸を巻き取るH形またはX形の道具。かせぎ。
 2 (綛)取り扱いに便利なよう、一定の大きさの枠に糸を一定量巻いて束にしたもの。また、それを数える語。1綛は綿糸768メートル、毛糸512メートル。
 3 手ぬぐいなどを掛けておくもの。
 4 「桛糸 (かせいと) 」の略。

[補説]「桛」「綛」は国字。

疱瘡-4
国立国会図書館所蔵
09表 左 挿絵


    
            図 能 山 江 大
           (づ の やま へ おう)


  
  大江山の図

 

 

 

 

なんとなく …パン焼き2

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 このブログを開設した頃、パンの記録を載せていた事は前回に書いた。

 前回書いた 最近作ったパンは

  くるみパン、アーモンドパン、レーズンパン、チーズパン

  刻みパセリと黒胡椒のパン、三色豆&枝豆&コーヒーのパン

 その後、

  黒ごまパン、

  黒ごまと中挽きプツプツコーヒーパン、

  インスタントコーヒーと粗挽きつぶつぶコーヒーパン

  黒ごまとたっぷり三色豆&たっぷり枝豆とミルクパン

  黒ごまとシナモンたっぷりミルクパン

 

 この中で、黒ごまと中挽きプツプツコーヒーパンのは豆を挽きすぎてインパクトがなく、印象に残らないパンが焼けたが、次に焼いたインスタントコーヒーと粗挽きつぶつぶコーヒーパンがブツブツとコーヒー豆が舌に触り、かえって美味しかった^^

 

 黒ごまとたっぷり三色豆&たっぷり枝豆とミルクパンはラカント(甘味料)を入れ忘れたが、たっぷり三色豆&たっぷり枝豆を加えたため大変に甘かった^^

 

 黒ごまが多いのは、大さじ一杯程度のゴマを入れても、なかなか一袋がなくならないから。主婦ですもの、そりゃ経済的に考えて腐らせないようにと思いますものね^^

 

 家でパンを焼くとバターに含まれるだけの塩分で、あとは塩を加えない。砂糖の代わりにラカントを使用できますし、水分を多くしてパンの耳も中身も柔らかく焼いたり、具材や香辛料など好き放題に遊べるので、楽しいですよ。

 

 

 

パンのニッキの香りで、哲学の道を思い出す。

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 写真はテヘランにある現代美術館の喫茶店。

 初めてのイラン。夫が三日程集まりの仕事だったので、一人で複数の美術館に行ったり、複数の映画を見た。

 ペルシャ語は全くわからないが、テヘランは都会で親切な人が多いので、不自由はなかった。

 

 

 

 前回の事。最近作ったパンを書いた。

 昨日作ったのは、黒ごまとシナモンたっぷりミルクパン。

 昨年晦日に中国で購入したシナモンをたっぷり使ってので、部屋中にシナモンの香りが漂う。

 

 うん?

「シナモンの香りが漂う」と云えば聞こえが良いが、使いすぎると「ニッキが臭い」と云う方が正しく感じるから、あら不思議。

 

 そう云えば子どもが受験の時。待ち時間が長いので、その場で知り合ったお母様方と三人で、哲学の道を散策した。

 哲学の道辺りは八橋などを作っておられる民家(工場?)が多く、「ニッキの香り」が漂っていた。

 

 あれから十数年。

 一緒に歩いたお母様方お二人は、どうなさっていらっしゃるのでしょうか。

 お互いに合否を知らせ合いましょうと話していたけれど、おそらくお互いに話しづらかったのだとほくそ笑む。

 この土日、子どもが帰ってきてパンを焼き、ふとそんなことを思い出した。

 子どもは財布から十数年も大切にしていたと云う天満宮のお守りを取り出し「ありがたいことです。」とつぶやき、パンを持ち帰った。

 

 

 

 

映画『Jonathan 二つの顔を持つ男』 4,0★ 2018  アメリカ

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写真は、天神祭。今年はコロナウイルスで自粛のため、開催されません。

従って、帝国ホテルの船能もありません><

 

 

 

 映画『Jonathan 二つの顔を持つ男』 4,0★

原題/Jonathan 制作年/2018 制作国/アメリカ 内容時間(字幕版)/101分

 色彩と構図が筋書きに即して大変シャープに鋭く創られていた。

 二分割したなりの一応平穏な生活が、刻々と狂い出す。

 各場面の有機質無機質の色合いや形や目覚ましの数字で、日常生活や感情が秒を刻み 狂い出し、いつしか自分が追い立てられたような焦りの感情に陥る。

 そして、自分が支軸であると思い相手を消さぬ様に思いやっていたが、二分割の時はだんだんと相手のものになっていく。

 

 運転手「痛くないかい?っと、言っていたよ」

 Jonathan「痛くないよ。」

 運転手「さようならっと、言っていたよ」

 Jonathan「さようなら」

 

 運転手とJonathanが涙して抱き合った。そして、一言、

「僕は、Johnだよ。」

で、幕。

 

 ふ二人のJonathanとJohnという名前の意味合いを考えると、面白い。

 研究女子医学者は、半ばで、

「私は正しい方につくのよ」

とJohnサイドに立ち、後半、

「Johnが心配で、眠れないのよ。Johnと話すために、朝まで起きているのよ。」

とラザニアを作っている。美味しそうだというJonathanの言葉を遮り、

「朝、起きたら食べてね。」

明らかに3,4時間経った伸びきった冷え切ったラザニアである。

 色々書き出すときりがないのでここで止めるが、実りの遅いりんごを意味を持つ名のJonathanに対し、◯ッ◯スの意味さえ含まれて入る名のJohnサイドについた女医研究者の心の揺れ動きは深い。

 属性の強い内容を、この映画は色彩や構図の美しさでさらりと言ってのくる。まさしく秀作の一つだと私は思う。

 

 

 

 Jonathan

  実りの遅いりんごを意味する。 

 John

  人名では

  1《聖書》ヨハネス◆ローマ教皇の名前の場合には通常ヨハネスと訳される。例:John XXIII(ヨハネス23世、在位1958~1963年)

  2ジョン◆ファーストネーム◆【語源】新約聖書に登場する使徒ヨハネが起源。John Bullといえばイギリス人の総称。◆【例】John Lennon(ロック歌手)

  3〔イングランド王〕ジョン◆【同】John of England

  他、名詞では、トイレ、便座、◯ッ◯ス  やつ、男などの意味もある。

 

 

 

 


『疱瘡心得草』10 09丁裏 10丁表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』10 09丁裏 10丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
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 『疱瘡心得草』


国立国会図書館所蔵
09丁裏


出(いで)て、その色上(いろうへ)へ白(しろ)く、根(ね)あかくして、瘡(かさ)に光(ひか)り有(あつ)て、手に


て 探(さぐ)れば、さわる度(たび)に、熱(ねつ)さつはりと覚(さ)め、食事(しょくじ)すゝみ


大便小便(だいべんせうべん)常(つね)の如(ごと)きは、吉痘(きつとう)なり、頭面(かしらおもて)にあまた出(いづ)るといへ


ども、粒(つぶ)わかれて肌(はだ)の地(ぢ)あざやかなれバ、気遣(きづか)ひなし、


もしハ蚕(かいこ)の種(たね)のごとくなるものもらハ、其色(そのいろ)白(しら)け 肌(はだ)の


色(いろ)と同(おな)じ やけどの様(やう)なるもの、出(いづる)かと思(おも)へば 隠(かく)れかくるゝ


かと思(おも)へば、顕(あらハ)るゝもの、発熱一二日にして見点(けんてん)し、又は


熱(ねつ)なくして見(み)へて熱(ねつ)出(いづ)るものは、至(いたつ ママ)つて大切(たいせつ)なり、


始(はじめ)額(ひたい)よりみゆるを、吉(よし)とす、頤(おとがひ)咽(のど)の下より見(み)ゆるハ


必(かなら)ず出物(でもの)多(おゝ)し、両(りやう)の頬(ほう)の痘粒(いもつぶ)分(わか)れて出(いづ)るは吉(きち)

 


熱(ねつ)さつはりと覚(さ)め

 熱さっぱりと冷め

蚕(かいこ)の種(たね)のごとくなるものもらハ

 蚕の種(たね)の如くなる物(を)もらば(貰えば)
 




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10丁表 左 

症(しやう)なり、いづれ両(りやう)の頬(ほう)ハべつたりとて、粒(つぶ)たち分(わか)れ


がたきものなり、両(りやう)の頬(ほゝ)さへたち出(いつ)れバ、跡(あと)より多(おゝ)く出(いて)ぬ


もの也、惣(そう)じてよひ疱瘡(ほうさう)ハ、むね、腹にはなきもの也


又 頭面(かしらかほ)に見(み)へずして、手足(てあし)或(あるひ)ハ 腰尻(こししり)のあたりより


見(み)ゆるものは 逆(ぎゃく)にしてよろしからず、又 此時(このとき)皮(かわ)ひとへ


内にありて、出(い)で浮(う)かざるものハ、甚(はなは)た 六ヶ敷(むつかし)、是非(ぜひ)に


狂騒(くるいさわぎ)て、むしやうになくものなり、介抱(かいほう)の人(ひと)随分(ずいぶん)と


心(こゝろ)を附(つく)べし、見点 三日を出そろひとす、足に出るを


云(い)ふ、軽(かろ)きは足(あし)のうらになくても、三日になれば


出揃(いでそろい)とすべし。疱瘡(ほうさう)の三関(さんせき)は 先(まづ)弐度(にど)の関所(せきしよ)

 

 

 

『疱瘡心得草』11 10丁裏 11丁表 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』11 10丁裏 11丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 


国立国会図書館所蔵
10丁裏

有(あり)て、出浮(いでうき)揃(そろ)ふを上(かみ)の関(せき)と云(いふ)、膿水(うみ)持(もち)てかせかゝる

を後(のち)の関(せき)といふ、出(い)でうきかぬるハ、五日六日の上(かみ)の関(せき)

を越(こ)へがたし、後(のち)の関(せき)ハ、十日、十一日にあり、乍去(さりながら)生(うま)れ子(ご)

の一年にみたぬは、十五日の期(ご)を待(また)ずして、早くかせ

るゆへ、其痘(そのいも)を重(おも)きものハ、八日、九日を三、四才(さい)の十日、十一日

にあてゝ見(み)るべし、俗(ぞく)に始終(しじう)を十二日と心(こゝろ)得て、神送(かみおく)り

するハ、疱瘡(ほうさう)の吉凶(よしあし)を定(さだ)むべし、吉痘(よきとう)は是(これ)より薬用(くすりもち)

ゆべからず、又 軽(かろき)といへども、餘(ほか)病(やまひ)を挟(はさ)むものハ、其儘(そのまゝ)になし、

置(おく)べからず、良(よい)醫(いしゃ)の指図(さしづ)を、持(もちゆ)べきなり

 

 

  潅漿(みづもり・きちやう)三日の間(あいだ)のよしあしの心得の事




国立国会図書館所蔵

10丁裏

  潅漿(みづもり・きちやう)三日の間(あいだ)のよしあしの心得の事


11丁表 左 

第(だい)一に水(みず)もりにうき破(やぶ)れバ、よき疱瘡(ほうそう)にても変(へん)じ


悪(あし)く成(なる)也、出揃(そろ)ひして、肌地(はだぢ)分(わか)れ、顆粒(つぶだち)いで水(みづ)もるは


吉事(よきこと)也、大吉痘(だいきつとう)は、つぶ あら/\として、ぐるりに赤(あか)みを


あらわし、痘(いも)の色(いろ)勢(いきほ)ひ強(つよ)く、気(き)の不足(ふそく)なる痘(いも)は赤(あか)


めぐりなく、痘(いも)と肌(はだ)の色(いろ)と同(おな)じく白(しら)みて勢(いきほひ)うすし、


熱(ねつ)ハ出(いで)そろいてはさめ、又 水(みず)もりに熱出(ねつで)るものなり、


吉痘(よきとう)は表熱(ひやうねつ)ありても、裏(うら)すゞしく、食事すゝむ也、


此時(とき)血熱(けつねつ)つよく、痘(いも)の色(いろ)血(ち)ばしりて、うるをわぬも


のは、いそいで毒(どく)を解(げ)すべし、又 気疱(ききよ)して、血疱(けつほう)となり


て血(ち)のまゝにて潰(つぶ)るゝものハ、重(おも)き痘(いも)也 水疱(すいほう)といふ

 

 

 

 

 

 

 

2時間ドラマ『スペシャリスト』2013年 脚本 戸田山雅司 監督 七髙剛 他 出演者 草彅剛 南果歩 大杉漣 他

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写真は植物、ヤマボーシ

 

     2時間ドラマ『スペシャリスト』2013年 脚本 戸田山雅司 監督 七髙剛 他 出演者 草彅剛 南果歩 大杉漣 他      面白かった。なので、今回の映画も3,6と満足した。      さすが、南果歩さん。彼女の京都弁もなかなかの物。かなりいいところまで行っておられたが、少し惜しい部分もあった。    今回も記録のみにて失礼申し上げます。     脚本 戸田山雅司 監督 七髙剛 他 出演者 草彅剛 南果歩 芦名星 平岡祐太 製作 制作 テレビ朝日 放送 音声形式 ステレオ放送 放送国・地域 日本の旗 日本 ポータルサイト 土曜ワイド劇場(特別企画) プロデューサー 井圡隆(テレビ朝日) 船津浩一(テレビ朝日) 西勇哉(テレビ朝日) 目黒正之(東映) 和佐野健一(東映) 出演者 佐戸井けん太 紺野まひる 江波杏子 大杉漣 放送期間 2013年5月18日 - 2015年12月12日 放送時間 土曜 21:00 - 23:06 放送枠 土曜ワイド劇場 放送分 126分      

『疱瘡心得草』12 11丁裏 12丁表 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』12 11丁裏 12丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 


国立国会図書館所蔵
11丁裏

物有(あり)、出(で)かけより、やけとのふくれあるが如(ごと)く にして、うみ

もたぬをいふ、是(これ)悪症(あくしやう)也、又 蚕種疱(さんしゆほう)といふ有(あり)、是(これ)蚕(かいこ)

の種(たね)の如(ごと)きものハ、此時頭面(かしら かほ)大(おゝひ)にはれて、目をとぢて、又

早(はや)くまどをあけて変(へん)を顕(あらわ)す、一身中(しんちう)皆(みな)潅漿(みづもり)とい

へども、頭面(かしら かほ)潅漿(みづもり)せざるハ、大切(たいせつ)なり、又 吐逆(とぎゃく)して止(やま)ず、大(だい)

便(べん)下(くだ)理、小便(せうべん)に血(ち)を下(くだ)すもの、甚(はなはだ)悪(あし)き也、或(あるい)ハ 唇(くちびる)ふとく

腫(はれ)て破(やぶ)れ、血出(ち いで)て、食事(しょくじ)進(すゝ)みがたく、喉(のんど)、痰(たん)強(つよ)く、涎(よだん)自(おのづ)づから

流(なが)出(いで)るハ、悪(あし)き也、又 吉痘(きちとう)にても、此時ハ少(すこ)しかゆみ

有(あり)、又 いらつきてさわりたるもの也、是が為(ため)に、袖長襦(袖、ながじゅ-)

袢(-ばん)を用意(ようゐ)するものなり、又 看病人(かんびやうにん)も昼夜(ちうや)打(うち)つゞ

 

やけとのふくれあるが如(ごと)く

 (みずぶくれができて)やけどのふくれあるが如(ごと)く

涎(よだん)

 余談




国立国会図書館所蔵

10丁裏

きて草臥(くたびれる)故、寝(ねむ)り つよく出るもの也、あら手(て)の人(ひと)をそへ


て、必(かなら)ずねむるべからず、膿水(うみ)にさへなれば、少しかき破(破れ)れても


大成(おゝいなる)禍(わざわ)ひはなし、随分(ずいぶん)油断(ゆだん)すべからず

 

 

10丁裏

  貫膿(やまあげ・くわんのう)三日の内(うち)の吉凶(よしあし)の心得の事


此時(このとき)やまあげと俗(ぞく)に云ふ、是迄(これまで)の順(じゆん)の通(とお)り(に)さへゆけバ、


宜(よろ)し、上(かみ)半分(はんぶん)の手あて よろしけれバ、自(みづか)ら山(やま)十分(ぢうぶん)に


上(あが)る也、痘(いも)の豆(まめ)に似たるハ、山上(やまあげ)の時(とき)にて知るべし、痘(とう)出(いで)て


ゟ七日に至(いた)りて其形(そのかたち)まるあかく満ち(みち)/\て光(ひか)り潤(うるお)ひ


有(あり)て緑水(りよくすい・あをみづ)の如(ごと)く、段/″\(だん/″\)に其色(そのいろ)蝋(らう)のごとくにて、立上(たちあが)

り見(み)ゆるを 貫膿(くわんのう)と云(い)ふ、此時(とき)出(で)ものばら/\として

 

やまあげ

 夏季、平地での猛暑を避けるため、標高500〜1000mの山間部へ移動させること。標高が100m高くなるごとに、0気温が、五度下がるといわれている。高上げ

 

 

 

 

 

 

『疱瘡心得草』13 12丁裏 13丁表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』13 12丁裏 13丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
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 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
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 『疱瘡心得草』

 

 

 


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12丁裏

表(おもて)に、山上(やまあげ)の熱(ねつ)有べし、然(しか)れ共(とも)、かくの如(ごと)きは、吉痘(よきとう)にし

て、こと/″\く 膿(うみ)となりて、肌表(はだひやう)に出(いで)あくれば、内(うち)すゞ

しくなるゆへに、食事(しよくじ)進(すゝ)み、自(おのづ)からうつくしくかせて

癒(いゆ)る也、凶(あしき)痘(いも)ハ まづ 咽(のど)まで痘(いも)出(いで)て、食事(しょくじ)乳味(にうみ)も

通(とう)りがたく、毒気(どくき)、肺(はい)の臓(ぞう)の気道(きみち)に迫りて、表(ひやう)へ出(いで)

がたくかわきつよく、声(こゑ)かれて出(いて)ず、口(くち)いき一面(いちめん)にかた

まりと成(なり)、もだへ苦(くる)しみ、何程(なにほど)の妙方(めいほう)にても叶(かな)ひ難(がた)

し、毒気(どくき)、膿(うみ)となり、表(ひやう)へ顕(あらハ)れず、急(きう)にとぢて 変(へん)

をなす也、此関(せき)ハ 十日、十一日にあるべし、痘(いも)の生死(せうじ)ハ

膿(うみ)の有無(うむ)に決定(けつてい)をなすに、すでにやまを上(あげ)るものに

 

吉痘(きちとう  12丁表)

  (よきとう  13丁表)

  吉痘は「きちとう」とも「よきとう」とも読ませている。

妙方(めいほう) 国語大辞典

〘名〙 すぐれた処方。※和州旧跡幽考(1681)五「豊心丹、俗に西大寺といふ。此寺伝来の妙方なり」 〔史記‐倉公伝〕

 




国立国会図書館所蔵

13丁裏

内托(ないたく)の薬(くすり)を用(もち)ひ、すごすべからす、薬気(くすりけ)なく、自(みづ)から

うせるを待(まち)てよし、但(たゞ)し、貫膿(くわんのう)の時(とき)ハ、皆(みな)起腫(おくれはれ)により

痛(いたむ)ものなれども、厳(きび)しくいたんで堪(たへ)がたき程(ほど)ならば、悪(あし)し

或(あるい)ハ此時(このとき)に面目(かほ め)のはれ早(はや)く引(ひけ)バ、あざ瘡(がさ)落(おち)て後迄(のちまで)

も地腫(ぢばれ)有(あつ)て段ゞ(だん/″\)に引(ひく)をよしとす、又 痘大(とうだい)がいに

山(やま)をあげて、俄(にわか)にふるひ出(いで)、はぎりつよく、かわきあり

て、腹下(はらくだ)り、甚(はなは)だあやうきもの有(あり)、此時(このとき)は五臓(ごぞう)の内(うち)、身(しん)

躰(たい)の真気(しんき) 皆(みな)表(ひゃう)にあらわれて、内証(ないしやう)にわかに虚(きよ)して

かようの変(へん)を顕(あらわ)す也、必(かならす)驚(おどろ)く事(こと)なれ、只(たゞ)の看病(かんびやう)

人(にん)見(み)とゞけて、良医(いしや)にまかせて、人参(にんじん)など用て

 

内托(ないたく)

 補益気血の薬物を使用し、正気を扶助することにより毒を外出し内陥を防止する治法。
 化膿症中期で潰破しないときは托毒透膿法を用い、解毒薬に補益薬を補助的に配合する。
 気血不足が顕著で、化膿が慢性に反復したり、潰破後も瘡口が収斂しなかったり滲出が続くときは補托法を用い、補血薬を主体にする。
 気血の補益には主として黄耆・当帰を、解毒には金銀花・連翹・蒲公英・皀角刺などを用いる

貫膿(くわんのう)潅膿

 〘名〙 疱瘡(ほうそう)などの症状のさかりを過ぎること。やまあげ。〔和漢三才図会(1712)〕

 

 

 

 

 

 

 

『疱瘡心得草』14 13丁裏 14丁表 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』14 13丁裏 14丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
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 『疱瘡心得草』

 

 

 


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13丁裏

陽気(ようき)を補(おぎの)ふを肝要(かんよう)とす、しかし、此変(へん)に至(いた)るも

皆(みな)介抱人(かいほうにん)の如才(じよさい)よりするわざなり

 

 

 収厭(かせ)三日の間のよし悪(あし)の心得の事


疱瘡(ほうさう)に遅(おすし)速(はやし)の二品(ふたしな)あり、いづれもさゝ湯(ゆ)程(ほど)あし

ければ、痘(いも)膿(うみ)かへる事(こと)あり、又 此三日を過(すぎ)て痘(いも)

そのまゝにてかせる、気色(きしょく)なきもの有(あり)、内(うち)の虚寒(きよかん)

毒気(どくき)の余熱(よねつ)とによる、此二(ふた)つを考(感が)へ知(し)るべし、吉疱(きちほう)

瘡(さう)ハ、つむり、口、鼻のあたりより、かせはじめ、むね、

わき、手足(てあし)に及(およ)び、上(かみ)より せんぐり にかせて、出(で)もの

ふたあつく、堅(かた)くして、うみかへるといふことなくして

 

 

 

肝要(かんよう)

 [名・形動]《人間の肝 (きも) と扇の要 (かなめ) の意から》非常に大切なこと。最も必要なこと。また、そのさま。「何事にも辛抱が肝要だ」

如才(じよさい)

 一( 名 ・形動 ) 気を遣わずに、いい加減にすること。

   二形ばかり敬意を表す  一の意に転じ、「如才」と書く   収厭(かせ)  『疱瘡心得草』14(乱鳥の書きなぐり)  03表 左

 疱瘡(ほうさう)はじめ終(おわり)の日数(ひかず)心得(こゝろへ)の事

 熱蒸(ねつしやう)とて三日有、俗に「ほとおり」といひ、又は「序病」(じよやみ)といふ

 見点(けんてん)とて三日有、俗に「出そろひ」といふ 
 
 潅漿(きちやう)とて三日有、俗に「水もり」といふ

 貫膿(くわんのう)とて三日有、俗に「山あげ」といふ

 収厭(しゆえん)とて三日有、俗に「かせ」といふ   虚寒(きよかん)  虚証で寒のあるもの。陽気が欠如して体を温めることが出来ない状態。←→実寒   つむり  頭   せんぐり  順をおって次々にすること。  




国立国会図書館所蔵

14丁裏

此時手足(てあし)の節(ふし)/″\のあたりに、いたむ痘(いも)あれば、より

こと成もの也、早速(さつそく)にはらひ、毒(どく)の薬を用べし、水靨(すいほう)と

云(いふ)もの有(あり)、かせる時、つぶと粒(つぶ)と、ひとつに成て痘(いも)の先(さき)より

汁(しる)出(いで)て流(なが)れてかたまるなり、手足(てあし)、身(み)ハ、活石(かつせき)ようの

ものを一めんにふりかけ、衣裳(いしやう)に付(つか)ぬ様(やう)に用心すべし、

かせ口(くち)になりては、順痘(じゅんとう)にても、熱出るもの也、夫故(それゆへ)に笹(さゝ)

湯(ゆ)の加減(かげん)、気(き)を付(つく)べし、此時に小便(せうべん)通(つふ)じ少(すくな)バ、餘毒(よどく)を

払(はら)ふべし、もし不食する時ハ、裏(うら)のよハみと合点(がてん)し、頭痛(づつう)

すれバ、目(め)に気(き)を付(つく)べし、大便こわばるハ余毒なり、扨に

さゝ湯(ゆ)は日かぎりによるべからず、余毒(よどく)久(ひさ)しくなれバ

 

餘毒(よどく)

 余毒

 

 

 

『疱瘡心得草』15 14丁裏 15丁表 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』15 14丁裏 15丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
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 寛政10 [1798]
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 『疱瘡心得草』

 

 

 


国立国会図書館所蔵
14丁裏

躰(たい)の虚性(きよせう)によるなり、たゞ気血(きけつ)を補(おぎの)ふを本(もと)とす、

医家(いか)より毒(どく)消しの薬(くすり)を用ひ過(すご)すべからず、頭面(かしらかほ)ハ早

くかせ足(あし)さるハ総(すべ)ておそきもの也、さすれバ痘(いも)多(おゝ)く

出(いで)たるものハ、出(で)そろひゟ柔成(やわらかなる)布(ぬの)の帷子(かたびら)を合(あわせ)よし

て、着(き)せむべし、其上(そのうへ)に絹(きぬ)の衣類(いるい)を重(かさ)ねあたふべし、

いか程(ほど)重(おも)き疱瘡(ほうさう)にても、十五日を過(すぐ)れば、痘(いも)の

毒(どく)に死(し)するものなし、故(ゆへ)に、十五日にして、神(かみ)を送(おく)るべし、

さら湯(ゆ)ハ軽(かろ)しといへども、十五日を待(まつ)べし、かせ口(くち)にして

ハひへぬ限に、時気(じき)を防(ふせ)ぐ事、専要(せんよう)なり、

 

 

   笹湯(さゝゆ)の心得の事

 

気血(きけつ)

 「気」とは大気、天気のように自然界における気という概念から出た言葉で、形がなくて目には見えないものとして、体内におけるエネルギーと捉えられています。 一方、「血」は反対に目に見えるものを指しており、血液のみならず体液を総称したものと捉えられています。




国立国会図書館所蔵

(14丁裏     笹湯(さゝゆ)の心得の事)

 

15丁表

四五日前(まへ)ゟ米(こめ)のかし水を取置(とり置き)て、能(よく)ねさせ置(おき)、その

うわずみを湯(ゆ)に焚(たく)べし、湯(ゆ)に入るゝ事、重(おも)き痘(いも)は

日数(ひかず)にかゝわるべからず、湯の内へ手拭(てぬぐひ)をひたし、得(とく)と絞(しぼり ママ)

りてかせやる痘(いも)の跡(あと)をしか/″\と押(おさ)へ、湯の気(き)をあつ

れば、かせの熱(ねつ)、こゝろ能(よく)おさまる也、必(かなら)ずぬらしあらふべ

からず、かほハ目の上下(うへした)をよけ、眼(め)の中へ湯の気(け)入ば

眼中(がんちう)をそこのふ事有、手足(てあし)惣身(そうしん)まんべんに湯を引(ひく)

べし、背(せ)ハ軽(かろ)くすべし、湯をかけ終(おわ)れば風(かぜ)に当(あ)つべ

からず、夫(それ)より 又 両三日隔(へだて)て二番(ばん)湯を浴(あぶ)せしむべし

三番(ばん)湯をすまして、常(つね)の湯に入るべし

 

 

絞(しぼり)りて

 「り」の重複あり

湯をかけ終(おわ)れば風(かぜ)に当(あ)つべからず、

 湯をかけ終わったら、風に当てる(当たる)べからず、

 

『疱瘡心得草』16 15丁裏 16丁表 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』16 15丁裏 16丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
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 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

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15丁裏

 

    痘前(ほうさうまへ)痘後(ほうさうのち)のこゝろへの事

疱(ほう)さう前(まへ)色/\のまじない有といへども、たしかならず、

もしまじないを用ひバ、正月、喰摘(くひづみ)にかざりし野老(ところ)を

七軒(けん)にてもとめ、常(つね)の如(ごと)く煎(せん)じ、小児(せうに)をあろふ事極(きわめ)て

よし、第一の用心は、世間(せけん)にはやる節(せつ)ハ雨気風(あまけかぜ)ふき、或(あるひ)ハ

人込(ひとごみ)の中(なか)、夜(よ)あるき、遠路(とうみち)をいみ、こゝろへべし、節(おり)/\

の寒暑(かんしよ)は勿論(もちろん)時気(じき)を払(はら)ふ薬(くすり)を用ひてよく疱瘡(ほうそう)

軽(かろ)く仕廻(しまハ)ば、其跡(そのあと)を大切(たいせつ)に養生(ようじやう)すべし、第一には喰(く)ひ

ものに有、むまきものを進(すゝ)むれバ、余毒(よどく)を助(たすけ)て眼(め)を

損(そん)じ、あしき出(で)きものを発(はつ)し 癇(かん)をわずらふ物也

 

まじない (呪い)

喰摘(くひづみ)

 喰摘では、出てきません。(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。

 「摘」①つむ。つまむ。つみとる。「摘出」 ②選び出す。「摘要」「指摘」 ③あばく。悪事をあばく。「摘発」

 「摘積」現代ではお正月の御節料理をさしていう場合が多いが、本来は新年の祝饌。三方などに米、餅、昆布、熨斗鮑、ゴマメ、橙、ユズリハなどの種々の縁起物を飾り、年賀客にも供した。これらは地方や家庭により違いがあるが、野の物、山の物、海の物が中心となっている。この祝饌が一方では形式化され蓬莱飾となり、もう一つは一重詰めとなった。

野老(ところ)

 ヤマノイモ科の蔓性 (つるせい) の多年草。原野に自生。葉は心臓形で先がとがり、互生する。雌雄異株。夏、淡緑色の小花を穂状につける。根茎にひげ根が多く、これを老人のひげにたとえて野老 (やろう) とよび、正月の飾りに用い長寿を祝う。根茎をあく抜きして食用にすることもある。おにどころ。《季 新年》「―うり声大原の里びたり/其角」

いむ 忌む ( 動マ五[四] )

 ①崇高ものや不浄なものなどを,神秘的なものとして恐れ続ける。 ②不快に思って遠ざける。③けがれを避けて慎む。 ④受戒する。

 




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16丁表

夫(それ)故に疱瘡跡(ほうさうのあと)にてハ、七十五日の間(あいだ)をいむ也、産前後(さんぜんご)

と同じ実(まこと)に痘(いも)は一生(いつしやう)の大厄(たいやく)なれば、おろそかにすべからず

 

 

   眼(め)を守(まも)る心得の事


痘(いも)の時(とき)ゟ眼(め)あきかぬれば、かせの時、まつ毛(げ)をとぢて

ひらきかぬるハ、鳥(とり)の羽(は)をとをきかせて、ふとあけさす

る事あり、兎(うさぎ)のふんにて洗(あら)へば、奇妙(きめう)に目あくあり、

さま/″\の法(ほう)ありといへども、信(しん)じがたし

 

 

   鼻(はな)のふさがりし時(とき)の心得の事

小児(しように)山あげの程(ほど)より鼻息(はないき)ふさがりて、乳(ち)をのみ

かぬるもの有、是は前(まへ)かたゟ折(おり)/\心を付、鼻中(はなのなか)

 

 

『疱瘡心得草』17 16丁裏 17丁表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』17 16丁裏 17丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

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16丁裏

 

の垢(あか)を取(とる)にしかず

 

 

    掻(かき)破(やぶ)りの用心のこゝろへの事

凢(およそ)かきやぶりも膿(うみ)に成て、後(のち)ハ少(すこし)も邪魔(じゃま)にな

らず、痘(いも)の内に、一粒(ひとつぶ)甚(はなハだ)かゆきあり、夫(それ)に付て外(ほか)

の痘(いも)を損(そん)ずる故也、

 

 掻破りの用心のこゝろへの事
凡そかきやぶりも膿に成て後は少しも邪魔にな
らず 痘の内に一粒甚だかゆきあり 夫に付て外
の痘を損ずる故也 水もりの頃あやまりて掻破る
時は 直ぐにうどんの粉(こ)をづり掛るべし 又荊芥(けいがい)をこ
よりにひねり込みて 火をつけ かゆき痘の先へ火を
当つれば かゆみはとまるなり

 一角(うにこうる)の事
古しへより痘に薬なりと云事あり しかし一角は

毒けぢの物にて痘には妙なり 夫故に発熱より
鮫(さめ)にておろし 両三度程づゝ白湯にて用ゆべし 扨又
柳の虫も痘の毒を肌の外へ追ひすかすの功(こう)有
此品もはやく用ゆべし 又煎じて虫を去り呑むべし
又テリアカの類(るい)痘の妙薬也 良薬あまた有と
いへども用ひがたし 痘は薬を用て害ある事有
悪しき痘になれば薬も益なし 中痘(ちうとう)はかへつて
薬の道にあやまる事あり たゞ大切に慎むべし

 附録
  麻疹心得の事

 

七軒(けん)にてもとめ、常(つね)の如(ごと)く煎(せん)じ、小児(せうに)をあろふ事極(きわめ)て

よし、第一の用心は、世間(せけん)にはやる節(せつ)ハ雨気風(あまけかぜ)ふき、或(あるひ)ハ

人込(ひとごみ)の中(なか)、夜(よ)あるき、遠路(とうみち)をいみ、こゝろへべし、節(おり)/\

の寒暑(かんしよ)は勿論(もちろん)時気(じき)を払(はら)ふ薬(くすり)を用ひてよく疱瘡(ほうそう)

軽(かろ)く仕廻(しまハ)ば、其跡(そのあと)を大切(たいせつ)に養生(ようじやう)すべし、第一には喰(く)ひ

ものに有、むまきものを進(すゝ)むれバ、余毒(よどく)を助(たすけ)て眼(め)を

損(そん)じ、あしき出(で)きものを発(はつ)し 癇(かん)をわずらふ物也

 

凢(およそ)(おおよその転)

一( 名 )物事のたいていのありさま。あらまし。おおよそ。  二( 副 )① 断定はできないものの、その推定はかなり確かであるさま。② 話を切り出す時に用いる。そもそも。一体。③ (主に否定的な表現を伴って)まったく。    × 凡 (ぼん)      [名・形動]ごく普通であること。ありふれていること。また、そのさま。平凡。「凡ならざる才能」

 




国立国会図書館所蔵

17丁表

夫(それ)故に疱瘡跡(ほうさうのあと)にてハ、七十五日の間(あいだ)をいむ也、産前後(さんぜんご)

と同じ実(まこと)に痘(いも)は一生(いつしやう)の大厄(たいやく)なれば、おろそかにすべからず

 

 

   眼(め)を守(まも)る心得の事


痘(いも)の時(とき)ゟ眼(め)あきかぬれば、かせの時、まつ毛(げ)をとぢて

ひらきかぬるハ、鳥(とり)の羽(は)をとをきかせて、ふとあけさす

る事あり、兎(うさぎ)のふんにて洗(あら)へば、奇妙(きめう)に目あくあり、

さま/″\の法(ほう)ありといへども、信(しん)じがたし

 

 

   鼻(はな)のふさがりし時(とき)の心得の事

小児(しように)山あげの程(ほど)より鼻息(はないき)ふさがりて、乳(ち)をのみ

かぬるもの有、是は前(まへ)かたゟ折(おり)/\心を付、鼻中(はなのなか)

 

 

『疱瘡心得草』17 16丁裏 17丁表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』17 16丁裏 17丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

国立国会図書館所蔵
16丁裏

 

の垢(あか)を取(とる)にしかず

 

 

    掻(かき)破(やぶ)りの用心のこゝろへの事

凢(およそ)かきやぶりも膿(うみ)に成て、後(のち)ハ少(すこし)も邪魔(じゃま)にな

らず、痘(いも)の内に、一粒(ひとつぶ)甚(はなハだ)かゆきあり、夫(それ)に付て外(ほか)

の痘(いも)を損(そん)ずる故也、

 

 

   一角(うにこうる)の事


古(いに)しへより痘(痘)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ

 

 

凢(およそ)(おおよその転)

一( 名 )物事のたいていのありさま。あらまし。おおよそ。  二( 副 )① 断定はできないものの、その推定はかなり確かであるさま。② 話を切り出す時に用いる。そもそも。一体。③ (主に否定的な表現を伴って)まったく。    × 凡 (ぼん)      [名・形動]ごく普通であること。ありふれていること。また、そのさま。平凡。「凡ならざる才能」

 




国立国会図書館所蔵

16丁裏

   一角(うにこうる)の事

古(いに)しへより痘(痘)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ

17丁表

毒(どく)けしの物にて、痘(いも)には妙(みょう)なり、夫故(それゆへ)に発熱(はつねつ)より

鮫(さめ)にておろし、両(りやう)三度程(ほど)づゝ白湯(さゆ)にて用ゆべし、扨又

柳(やなぎ)の虫(むし)も痘の毒を肌(はだ)の外(ほか)へ追(お)ひ すかす の功(こう)有、

此品(しな)もはやく用ゆべし、又 煎(せん)じて虫(むし)を去(さ)り呑(のぬ)べし

又テリアカの類(るい)、痘(いも)の妙薬(めいやく)也、良薬(りょうやく)あまた有と

いへども、用ひがたし、痘(いも)は薬(くすり)を用(もちい)て害(がい)ある事(こと)有

悪(あ)しき痘(いも)になれバ、薬(くすり)も益(えき)なし、中痘(ちうとう)ハかへつて

薬の道にあやまる事あり たゞ大切に慎むべし

 

 

   附録

    麻疹(はしか)心得(こころへ)の事

 

 

 

 

一角(うにこうる)    “うにこうる”の漢字  (注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。 一角   刺鮫  はりざめというのは相当に大きな奴で、夜、海の中を行くと、白い光が潮に透って見える、こいつは舟をくつがえしたり、人を食ったりする怖るべき奴で、舟乗りはこいつにでっくわす鰹を投げやって逃げる。   この刺鮫も頭に角のあるというのを聞かない。   一角魚(うにこうる)の角は、角というよりは 嘴(くちばし)だ。  大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)   テリアカ  (日本国語大辞典)   〘名〙 (theriaca) オランダ伝来の薬。色の赤いねり薬で毒ヘビなどの有毒動物の咬傷に効く解毒剤。テリアギア。 ※増補華夷通商考(1708)五「此国より出るテリアカと云丹薬あり」        

一角(うにこうる)は古より痘に薬なりと云う事あり、しかし一角(うにこうる)ハ 毒けしの物にて、痘には妙なり、夫故に発熱より 鮫にておろし、両三度程づゝ白湯にて用ゆべし

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 写真は、道頓堀。芝居がみたい!芝居の禁断症状が出てきそうです^^          一角(うにこうる)は古より痘に薬なりと云う事あり、  しかし一角(うにこうる)ハ  毒けしの物にて、痘には妙なり、  夫故に発熱より  鮫にておろし、両三度程づゝ白湯にて用ゆべし  一角(うにこうる)       「一角」と書いても、「一角魚」と書いても「うにこうる」と読む一角魚。      江戸時代に書かれた『疱瘡心得草』に後半にも「うにこうる」は出てきたが、漢字で書くと「一角」   『そりゃまった、どうしたこってぃ』 と、助六のように床を蹴りつつ「うにこうる」を思い浮かべる。    

 一角(うにこうる)を検索すると、 同志社女子大学 表象文化学部・日本語日本文学科 教授 吉 野 政 治氏の論文『日本における一角獣の行方』にたどり着く。

 それには、今でも一角を含む小児丸薬が売られている(1996)とある。

 一角を含む小児鎮静剤は六種売られ、多くは富山で製造されている。

 又、『徳川実記』の承応二年〔1653〕一 月十五日に将軍家綱に「一角一本」が献上されたことが記されているとのこと。

 

 中里介山著『大菩薩峠 26 めいろの巻』(新字新仮名)では次のように書かれている。  “うにこうる”の漢字  (注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。 一角   刺鮫  はりざめというのは相当に大きな奴で、夜、海の中を行くと、白い光が潮に透って見える、こいつは舟をくつがえしたり、人を食ったりする怖るべき奴で、舟乗りはこいつにでっくわす鰹を投げやって逃げる。   この刺鮫も頭に角のあるというのを聞かない。   一角魚(うにこうる)の角は、角というよりは 嘴(くちばし)だ。      

 最後に、 「一角(うにこうる)の事」と題して記された効用を抜き出してみたい。

 

古(いに)しへより痘(いも)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ

毒(どく)けしの物にて、痘(いも)には妙(みょう)なり、夫故(それゆへ)に発熱(はつねつ)より

鮫(さめ)にておろし、両(りやう)三度程(ほど)づゝ白湯(さゆ)にて用ゆべし

 

 これは疱瘡だけでなく、コロナウイルスを消滅させる効果があればいいのだが。

 残念。

 せめて苦しい時の神頼み。

 クワバラクワバラと両手で祓い、コロナを退散させたい。(にゃっはっは)




 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

左右

   一角(うにこうる)の事

古(いに)しへより痘(痘)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ

毒(どく)けしの物にて、痘(いも)には妙(みょう)なり、夫故(それゆへ)に発熱(はつねつ)より

鮫(さめ)にておろし、両(りやう)三度程(ほど)づゝ白湯(さゆ)にて用ゆべし、扨又

柳(やなぎ)の虫(むし)も痘の毒を肌(はだ)の外(ほか)へ追(お)ひ すかす の功(こう)有、

此品(しな)もはやく用ゆべし、又 煎(せん)じて虫(むし)を去(さ)り呑(のぬ)べし

又テリアカの類(るい)、痘(いも)の妙薬(めいやく)也、良薬(りょうやく)あまた有と

いへども、用ひがたし、痘(いも)は薬(くすり)を用(もちい)て害(がい)ある事(こと)有

悪(あ)しき痘(いも)になれバ、薬(くすり)も益(えき)なし、中痘(ちうとう)ハかへつて

薬の道にあやまる事あり たゞ大切に慎むべし

『疱瘡心得草』18 17丁裏 18丁表 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』18 17丁裏 18丁表 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26

 
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 『疱瘡心得草』

 

 

 

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17丁裏

麻疹(はしか)の熱(ねつ)も傷寒(しやうかん)に似(に)て、たゞ咳(しわぶき)、嗽、頻(しき)

りにして、声(こへ)うれて出(いで)ず、咽(のど)はれ、痛(いた)み乾(かわ)き、のんど

唱(うつ)して湯水(ゆみづ)を呑(のむ)事(こと)、かぎりなし、熱(ねつ)ある事、一日にし

て、からだ、皮(かわ)の中(なか)に寸地(すんぢ)もなく出(いで)て、蚤(のみ)蚊(か)のさしたる

様(やう)に、其跡(あと)或(あるひ)ハ粟(あわ)つぶなどのごとく出(いでゝ)後(のち)、熱(ねつ)さめ、半(はん)日

又ハ 一日半、二日にして 麻疹(はしか)おさまるものハ、順(じゆん)

にしてよし、麻(はしか)(はしか)ほと折(おり)の時(とき)、よき医者(いしや)を頼(たの)み業を

服(ふく)さすれバ、その毒汗(どくあせ)にしたがつて出安(でやすく)し、発熱(ほつねつ)の時(とき)

に、外ハ風寒(ふうかん)にあたり、内(うち)ハ ひへもの、生物(なまもの)などを食(しよく)する

事(こと)、かたく無用(むよう)也、病者(びようしや)、内ねつする故(ゆへ)、生物(なまもの)、 ひへもの

 

咳嗽(しわぶき)

 咳き(しわぶき)[名](スル)

 1 せきをすること。また、せき。「病室から軽い咳きが漏れる」

 2 わざとせきをすること。せきばらい。「メエルハイムは―して語りいでぬ」〈鴎外・文づかひ〉

 嗽(うがい うがひ)

 [名](スル)水や薬液などを口に含んで、口やのどをすすぐこと。含嗽 (がんそう) 。「食塩水で嗽する」「嗽薬」

咳嗽(しわぶき)

 咳をし、うがいをすること。

のんど

 喉 咽

唱(うつ)して

 唱 1となえる。㋐うたう。吟ずる。㋑よみあげる。声高く読む。㋒言い始める。先に立って言う。2うた。歌曲。

内(うち)熱  正確には内熱(ないねつ)

 陽気が相対的に過剰となり体内に生じる熱のことです。実熱と虚熱があります。



国立国会図書館所蔵

18丁表

を好(この)むにより、禁制(きんせい)をおかして、内外(うちそと)より冷(ひへ)て疹子(はしか)

出(で)る事なく、悪症(あくしやう)に変ずるもの也、たゞ衣類(いるい)をあつく

着(き)て、汗(あせ)を出(いだ)し、防(ふせ)ぐべし、疹子(はしか)ほとおりの時(とき)、咽(のど)の中(たち)

腫(は)れ飲(のみ)くひ入(い)りがたし、甚(はなハ)だ急症(きうしやう)也、うろたへて咽(のど)

に針(はり)する事(こと)、無用(むよう)也、是(これ)疹子(はしか)の火毒(くわどく)さかんなる故(ゆへ)也、

熱(ねつ)を解(げ)す薬(くすり)を用(もちひ)、水(みづ)煎(せん)じて服(ふく)すべし、或(あるい)は寒(かん)の水(みづ)

臘雪(きよねんのゆき)をたくわへて服(ふく)すべし 其(その)しるし、妙(めう)也 疹子(はしか)の

熱(ねつ)さかんなる時(とき)、冷水(ひやみづ)或ハ梨子(なし)、蜜柑(みかん)、熟柿(じ行くし)などを

食(くろ)ふ事(こと)多(おゝ)くして、はしか収(おさま)りて痢病(りびやう)に死(し)する

類(るい)あり、何程(なにほど)渇(かわ)くとも、湯(ゆ)をあたへて 冷(ひや)ものを飲ま

 

疹子(はしか)ほとおり  麻疹ほとぼり   臘雪(きよねんのゆき)  (ろうせつ)  臘雪〘名〙(ろうせつ)陰暦12月に降る。   臘雪〘名〙(ろうせつ) 臘月に降る雪。陰暦一二月の雪。  ※田氏家集(892頃)中・哭舎弟外史大夫「本自堅貞凌二臘雪一、何因消化軟二春氷一」 〔劉禹錫‐送陸侍御帰淮南使府詩〕    臘月(ろうげつ)  陰暦十二月の異称  季節 冬

臘(ロウ くれ)

 ①冬至のあと、第三の戌(いぬ)の日に行う祭り。「伏臘」 ②くれ。年のくれ。陰暦一二月の異名。「臘月」

 旧臘(キュウロウ)伏臘(フクロウ)臘月(ろうげつ)臘日(ろうじつ)、臘梅(ろうばい)

臘雪(きよねんのゆき)

 本来「ろうせつ」と読むべきところを「きよねんのゆき」とふりがながあるのは、「去年(暮れ)の雪」という意味か

 

 
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