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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』23「つといつか ゐのしゝくひし まる額(ビタイ) わりにけらしな 飯汁の椀 」十二丁裏 十三表 十三裏 十四表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』23「つといつか ゐのしゝくひし まる額(ビタイ) わりにけらしな 飯汁の椀

」十二丁裏 十三表 十三裏 十四表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

 

 

 

  『伊勢物語』23は、筒井筒^^

   能楽の『井筒』が見たい〜〜!

 

 

 

左右

十二丁裏

◯をかし、ゐ中下りしけり、人の子とも、猪をゆでて

十三丁表

齧(クライ)けるを、おとなに成にけれハ、男も女もはち

たたきの子也けれと、男ハこの業(シワサ) いやとおもふ、女

も是をいやとおもひつゝ、親のをしふれとも

ならハてなん、有ける、さて、此隣(トナリ)の男の許(モト)よりからなん

  つといつか ゐのしゝくひし まる額(ビタイ)

  わりにけらしな 飯汁の椀

返し

  くらひにし ふるかけ御器も かいわりぬ

  君ならすし 誰かくるへき

なといひて、つひにほいのことくよびにけり、

さて年頃経るほとに、女、親なく、たよりなく

なるまゝに、もろとも飯米なくてあらんやハとて

左右

十三裏 

交跡(カウチ)國・たかさ國へわたりて、いきかよふたより

出来にけりたるけれハ、この里(モト)姓(テ)、お脚(アシ)なとおほく

程もなくて、たのしかりけれは、男こと女ありて、かゝ

づらふに思ひくたひれて、千年の中もかれ/″\

にて、ちなみぬるかほにてみれは、此女、いと仕事

なとして、うちなかめて、

  風吹かハ おきて白波 焼亡の

  用心きびし ひとりなれとも

とよみけるを聞て、限なくかはゆく思ひひて、手かけ

へもいかすなりにけり、まれ/\かの手かけにいきてみれハ

始こそ心にくく繕(ツクロイ)けれ、今ハうちとけて手つら

飯釜たきて、肴有のかうの物をきりけるを見て

十四表

心うるさくていかすなりにけれハ、かの女男の

かたを見やりて

  君かあたに みす/\ならん いかつちの

  雲まに落て あたまとるへく

といひておとすに、こハかりて、男こんといへり、よろこひ

て、まつにたび/\うそなりけれハ

  君こんと 鳴て夜ことに きつねとも

  狸とも身を なしつゝや ねん

といひけれと、男すまぬかほなりけり

 

 

十二丁裏

◯おかし、意中下りしけり、人の子とも、猪を茹でて

十三丁表

齧(クライ)けるを、大人に成りにければ、男も女も鉢叩き

の子也けれど、男はこの業(仕業) 嫌と思う、女

も是を嫌と思いつつ、親のをしふれども

ならば手なん、有ける、扨(さて)、此(この)隣(となり)の男の許(モト)よりから なん

  つとい(未詳 集いか?)つか 猪食いし 丸額(まるびたい)

  わりにけらしな 飯汁(いいじる)の椀

返し

  食(くらい)いにし 古かけ御器(ごき)も かい割りぬ

  君ならずし 誰かくるべき

なと言いて、つい匂の如く呼びにけり、

さて年頃経る程に、女、親無く、たよりなく

なるままに、もろとも飯米無くてあらんやは、とて

十三裏 

交跡(カウチ)國・高砂國へ渡りて、行き通う便り

出来にけりたるければ、この里(モト)姓(テ)、お脚(アシ)など多く

程も無くて、楽しかりければ、男こと女 有りて、かか

づらうに思いくたびれて、千歳の中もかれがれ

にて、ちなみぬる顔にて見れば、此女、いと仕事

等して、うち眺めて、

  風吹かば 起きて白波 焼亡(じょうまぶ)の

  用心厳し 一人なれども

と詠みけるを聞て、限なく可愛ゆく思いいて、手掛け

へもいかす也にけり、まれまれ かの手掛けに行きて見れば

始こそ心憎く 繕(ツクロイ)けれ、今は打ち解けて手づら

飯釜 炊きて、肴有の香の物を切りけるを見て

十四表

心五月蝿(うるさ)くて 行かすなりにければ、かの女男の

方(かた)を見やりて

  君があだに みすみすならん 雷(いかつち)の

  雲間に落ちて 頭とるべく

と言いて落とすに、怖がりて、男こんと言えり、喜び

て、待つに度々 嘘なりければ

  君こんと 鳴りて夜毎に 狐ども

  狸とも身を 成しつつや 寝ん

と言いけれと、男すまぬ顔也けり

 

 

 

 

齧ける(クライ)ける

 噛(かむ) の異体字  (部首 歯)

 ケツ、ゲツ、か-ける、かじ-る、か-む、

 意味 かむ、かじる、噛み付く、歯で噛む、かける、かく、かけている、

交跡國(カウチ-こく)(こうし、こうち)

 交趾郡 - 前漢から唐にかけて置かれた中国の郡、県の名称。

 交趾国 - ベトナム北部の黎朝時代の呼び名

 しな-フランス-統治時代のベトナム南部に対する呼称。

 交趾跡の通称

千年

 千歳

焼亡(じょうまふ)

 火事

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  つといつか ゐのしゝくひし まる額(ビタイ)

  わりにけらしな 飯汁の椀

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  筒井つの 井筒にかけしまろがたけ

  過ぎにけらしな 妹見るざまに

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  くらひにし ふるかけ御器も かいわりぬ

  君ならすし 誰かくるへき

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  くらべこし 振分髪も肩すぎぬ

  君ならずして 誰かあつべき

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  風吹かハ おきて白波 焼亡の

  用心きびし ひとりなれとも

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  風吹けば 沖つ白波たつた山

  夜半(は)にや君が ひとりこゆらん

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  君かあたに みす/\ならん いかつちの

  雲まに落て あたまとるへく

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  君があたり 見つゝを居らん生駒山

  雲なかくしそ 雨は降るとも

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  君こんと 鳴て夜ことに きつねとも

  狸とも身を なしつゝや ねん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  君来るむと いひし夜ごとの過ぎ塗れば

  頼まぬ物の 恋ひつゝぞふる

 

 

 


舞台『caligula  カリギュラ』  アルベール・カミュ作 蜷川幸雄演出 小栗旬 若村麻由美 横田 栄司 他

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2011.12 御まつり 後宴能『殺生石』 (春日大社)

 

 

 蜷川幸雄演出 小栗旬主演の舞台『caligula  カリギュラ』を見る。

 今から10年前、うまい役者たちの中で、花沢類のイメージを全て捨て舞台に挑んでおられた小栗旬に、改めて好感を感じた。

 また、若村麻由美の舞台後半の感情移入は見事で、小栗旬主演の舞台『カリギュラ』の相手は若村麻由美を置いて他になかったのでは無いかとも思わせる渋い美しいなりきりであった。

 また、小栗旬に顔を近づけた勝地涼の表情は、もう一人の小栗の人格をも感じさせ、この場面も感心した。

 感心したといえば、横田 栄司。この方はうまい。声良し間良し表情良し。おまけに重厚で、舞台が上等に感じられる。横田 栄司の作品を注意して見てみたい。

 

 それにしても、小栗旬は頑張っておられた。

 好きな役者の作品を見ると、ついつい見ている側も力がこもり、見終わった後には程よい緊張の疲労感と満足感が残る。

 こんな舞台なら、見に行きたい。

 

 歌舞伎、能楽、芝居、祭り伝統芸能を見に行きたい。

 舞台が見たい。

  芝居が見たい。

    劇場に行きたい。

      見たいんだヨォ〜〜〜

 と、内心、叫ぶ。

 

 

 

 

 舞台『カリギュラ』 蜷川幸雄演出
 残虐非道なローマ帝国の若き皇帝・カリギュラと、それを取り巻く人物の悲しい模様を描いた本作。蜷川とは『ハムレット』(2003年上演)以来の付き合いという小栗は「蜷川さんは、普段携わることのない文化や、演劇の良さを届けてもらえる偉大な方です。劇中の見所? (4種類の)女装をします。悪役ですが、楽しみにしてください!」とアピール。蜷川も「この話は彼のために演出した。今、人気が出てブレイクしているのは当たり前。悪そうで利口、芝居も上手いんですよ」と褒めると、小栗も「本当は純粋でピュアです!」と、ジョークを飛ばす間柄で、仲の良さを表していた。

 

演出 蜷川幸雄 作 アルベール・カミュ その他 岩切正一郎 小栗旬 勝地涼 長谷川博己 横田栄司 月川悠貴 廣田高志 新川將人 冨岡弘 塾一久 青山達三 磯部勉 若村麻由美

 


 舞台『カリギュラ』

 2010年11月7日から30日まで

 Bunkamuraシアターコクーンで上演される。

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』24 「粟・稗(ヒエ)のとし見事にで来たれハ  もちをつくとて 手の暇もなし」十四丁表 十四丁裏 十五丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』24「」十四丁表 十四丁裏 十五丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年

 

 

 

  

 

 

十四丁表

◯をかし男、片田舎に住けり、男、都へとて、草鞋(ワランチ)の

緒をしめていきけるまゝに、三月こさりけれは

まちかねけるに、いと仕事する人に餅くハせんと

左右

十四丁裏 十五丁表

ちきりたりけるに、此男もとりける、此戸あけゐへと

たゝきけれとあけで歌よみて、出したりける

  粟・稗(ヒエ)のとし見事にで来たれハ

  もちをつくとて 手の暇もなし

といひ出したりければ、

  角豆もち 粉もち粟もちとしつくと

  吾残るゝハ 粳(ウル)も えつかし

といひていなんとしけるは、女、

  あつきもち つけとつねと外よりも

  枢(クロゝ)ハあとへ あきにしものを

といひけれと、男腹立てけり、いとかなしくて

尻からけ して馳走すれと、お湯ものまて 白水

十五丁表

のある所に滑(スベり)ける、そこなりける飯椀に大指の

爪ひたしにもりて、さしつけける、

  相思ハて しかれる人を すゝめるも

  わがくふ餅ハ ひへハへぬるめ

とよみて、それは花びらになりけり

 

十四丁表

◯おかし男、片田舎に住みけり、男、都へとて、草鞋(ワランヂ)の

緒を締めて行きけるままに、三月来ざりければ

待ちかねけるに、いと仕事する人に餅くはせんと

十四丁裏 十五丁表

契りたりけるに、此男、戻りける、此戸開けいえと

叩きけれど、開けで歌詠みて、出したりける

  粟・稗(ヒエ)の 年見事に 出来たれば

  餅をつくとて 手の暇も無し

と云い出したりければ

  角豆餅 粉餅 粟餅と しつくと

  吾残る流は 粳(ウル)も 得つかし

と云いていなんとしけるは、女、

  熱き餅 つけとつねと外よりも

  枢(クロゝ→くるる)は後(あと)へ 飽きにしものを

と云いけれど、男腹立てけり、いと悲しくて

尻からげ して馳走すれど、お湯も 飲まで、 白水

十五丁表

の有る所に滑りける、そこなりける飯椀に大指の

爪浸しに盛りて、指(さし)浸けける、

  相(あい)思わで 叱れる人を 進めるも

  我が食う餅は 稗(ひえ →冷え)は 得 ぬるめ

と詠みて、それは花びらになりけり

 

粟・稗(ヒエ)→手の暇もなし

 実り、餅をつくいたが、手の暇がない^^

枢(クロゝ)

 枢(くるる)戸のくいの一部

尻からけ

 尻からげ

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  粟・稗(ヒエ)のとし見事にで来たれハ

  もちをつくとて 手の暇もなし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あらたまの 年の三年を待ちわびて

  たゞ今宵こそ にゐまくらすれ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  角豆もち 粉もち粟もちとしつくと

  吾残るゝハ 粳(ウル)も えつかし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  梓弓 真弓槻弓年をへて

  わがせしがごと うるはし見せよ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あつきもち つけとつねと外よりも

  枢(クロゝ)ハあとへ あきにしものを

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  梓弓 引けど引かねど昔より

  心は君に よりにし物を

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  相思ハて しかれる人を すゝめるも

  わがくふ餅ハ ひへハへぬるめ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あひ思はで 離(か)れぬる人をとゞめかね

  わが身は今ぞ 消え果てぬめる

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』25 「秋の夜に さハしら柿の味よりも あわせさるにも 味まさりけり」十五丁表 

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』25  「秋の夜に さハしら柿の味よりも あわせさるにも 味まさりけり」十五丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

十五丁表

をかし男有りけり、熟(シュクシ)柿ともいはさりける柿の

さすかにうまけりけれハ、女の元にいひやりける、

  秋の夜に さハしら柿の味よりも 

  あわせさるにも 味まさりけり

柿このみなる女返し

  残もなき われをハすきとしらねハや

  こる/\柿の あちよくもくふ

 

 

十五丁表

◯おかし男有りけり、熟し柿とも云わざりける柿の

流石に美味けりければ、女の元に言いやりける、

  秋の夜に さ は 知ら柿の味よりも 

  合わせざるにも 味勝りけり

柿好みなる女返し

  残も無き 我をば好きと知らねばや

  コルコル(コリコリ)柿の 味良くも食う

 

熟柿(シュクシ あわじ →会わじ)  

『伊勢物語』では、「言わざりける女」おとこに会おうとも言わず、また、あわないとも言わなかった。思わせぶりなしぎさをする女で、しかもそう云いながら、情ありげで、いざとなると会おうとしない女。  岩波古典文学大系『伊勢物語』 頭注

こる/\

 こり/\(柿の食感)

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  秋の夜に さハしら柿の味よりも 

  あわせさるにも 味まさりけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  秋の野に 笹わけし朝の袖よりも

  逢はでぬる夜ぞ ひぢおまさりける

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  残もなき われをハすきとしらねハや

  こる/\柿の あちよくもくふ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  見るめなき わが身をうちと知らねばや

  かれなで海人(あま)の 足たゆく来る

 

地球ゴージャス二十五周年祝祭公演「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」 作・演出 岸谷五朗  岸谷五朗 寺脇康文 新田真剣佑 他

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写真は梨園劇場 京劇 2019年12月4日

     地球ゴージャス二十五周年祝祭公演「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」  作・演出 岸谷五朗        能楽の『石橋』の赤頭を十数名の集団構成美で幕を開けた「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」    岸谷五朗と寺脇康文の掛け合い部分でも 「能の歩き方か(要約)」 の言葉で、すり足を試みたり、集団のダンスの中で、一部能面の様な面をマントからちらりと覗かせたり。  花が無いはずの地に見つけたという、牡丹ではないが、白の花と、青の花を象徴的に使われたり(『石橋』では、白と赤の牡丹)と、岸谷五朗の舞台における思考の小粋さを感じた。      話は、明治新政府軍と蝦夷共和国建設に止まらない。観客が勝手に勝手な判断で広義で考えると、人間や集団、社会、国家における本質的部分。古代の集合体が始まった頃から起こり始め現在における深刻な部分を、新撰組を絡み合わせることにより、若干和らげ、演劇という横幅と奥行きを以って現代社会問題さえも見事に使い暴いた秀作。      また、以前から好きな役者の一人であるが、岸谷五朗が上手い。舞台の楽しませ方と、間を心得ておられ、若干このままの笑いで終わるのかと思いきや、影(絵)から入る彼の太刀捌きに見入ってしまった。  渋い!    こんな舞台なら観てみたい。  劇場で見たかったと思える作品の一つであった。           以下はwowow  HP▼

岸谷五朗・寺脇康文が主宰する演劇ユニット「地球ゴージャス」。舞台初主演の新田真剣佑を迎え、結成25周年を祝し、あの名作がよみがえる。

海の神とされるシャチに運ばれてひとりの青年(新田真剣佑)が小さな島の浜辺に打ち上げられた。その島には笑顔と踊りの民族であるタバラ族が暮らしており、記憶を失ったその青年は、タバラ族の女ステラ(笹本玲奈)に優しく介抱され、シャチと名づけられる。しかし、シャチと一緒に流れ着いたもうひとりの倭人トド(岸谷五朗)を、タバラ族の勇者であるカイジ(松本利夫)とザージャ(寺脇康文)はなかなか受け入れることができない。だが、言葉も慣習も違う倭人とタバラ族の間に、次第にかすかな信頼関係が生まれ始める。
しかし、明治新政府軍と蝦夷共和国建設を目指した旧幕府軍との争いが始まり、タバラ族は追われ、ひそかに大切な作物を育てていた「星の大地」は無残にも踏みにじられていく。そして、その争いの渦に飛び込んだシャチは、失っていた記憶を取り戻すのだが…。 出演 新田真剣佑 笹本玲奈 松本利夫(EXILE) 湖月わたる 愛加あゆ 島ゆいか 猪塚健太 松浦司 大平峻也 大嶺巧 碓井菜央 原田治 神谷直樹 おごせいくこ 田口恵那 砂塚健斗 加藤真央 大音智海 咲良 鈴木百花 織里織 高木勇次朗 Sarry 杉山真梨佳 青山恵梨子 神田朝香 内木克洋 田邉浩仁 高城徹 筑紫珠楽(和太鼓) 佐藤史織(津軽三味線) 森公美子 岸谷五朗 寺脇康文 スタッフ 作・演出 岸谷五朗

岸谷五朗・寺脇康文が主宰する演劇ユニット「地球ゴージャス」。舞台初主演の新田真剣佑を迎え、結成25周年を祝し、あの名作がよみがえる。

岸谷五朗と寺脇康文によって旗揚げされた演劇ユニット「地球ゴージャス」の結成25周年を祝して上演された「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」。舞台初主演となる新田真剣佑に加え、笹本玲奈、松本利夫(EXILE)、湖月わたる、愛加あゆ、島ゆいか、森公美子という豪華キャストを迎えた注目舞台を、WOWOWにて放送する。
本作は、2009年に初演され、大好評を博したステージの新演出版。主題歌には、作品のために書き下ろされたEXILEの「愛すべき未来へ」が引き続き使用され、歌やダンスがふんだんに披露されるエンターテインメント性の高いステージとなっている。主演の新田の「地球ゴージャス」への参加は、前作の「ZEROTOPIA」に続いて2作目。その観る者を圧倒する演技力のみならず、殺陣、歌、ダンスと舞台を縦横無尽に駆け巡る姿に注目だ。
舞台は、3月から4月にかけての東京公演が一部公演中止、大阪公演は全公演中止となってしまった。公演を楽しみにしてくださっていたファンにこの作品を届けたいという想いから無観客による収録を行ない、舞台上からも撮影するなど臨場感あふれる特別版で放送。ぜひテレビの前で楽しんでいただきたい。

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』26  「おもほえす 額に浪のわハくかな もろこし舟の よりしはかりに」 十五丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』26  「おもほえす 額に浪のわハくかな もろこし舟の よりしはかりに

」十五丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

十五丁裏

◯をかし男、五十あまり也ける女を、まうけゝる事

と、わひける人の返しに

  おもほえす 額に浪のわハくかな

  もろこし舟の よりしはかりに

 

 

十五丁裏

◯おかし男、五十余り也ける女を、もうけける事

と、詫びける人の返しに

  思おえず 額に浪(波)の騒ぐかな

  もろこし舟の 寄りしばかりに

 

 

額に浪(波) 

  額にシワがよるたとえ

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  おもほえす 額に浪のわハくかな

  もろこし舟の よりしはかりに

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  思ほえず 袖にみなとのさわぐ哉

  もろこし舟の 寄りし計(はかり)に

 

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』27  「われハかりほゝあらふ人ハ又もあらしと おもへハ水の したにもありけり」十五丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』27  「われハかりほゝあらふ人ハ又もあらしと おもへハ水の したにもありけり」十五丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

十五丁裏

◯をかし男女のもとに、一夜いきて、又もいかすなりに

けるは、女の物あらふ所に、ぬきかけをうちやり

盥(タライ)にもののみえけるをみつから、

  われハかりほゝあらふ人ハ又もあらしと

  おもへハ水の したにもありけり

とよむを、かのこおりける男 のそきて

  水底に ものや見ゆらん馬さへも

  まめたらひをハ のそきそ鳴

 

十五丁裏

◯おかし男、女の元に、一夜行きて、又も行かすなりに

けるは、女の物洗う所に、ぬきかけをうちやり、

盥(タライ)に物の見えけるを自ら、

  我はかり 頬洗う人ハ又も有らじ

  と思えば水の 下にも有りけり

と詠むを、鹿の子織りける男 覗きて

  水底に 物や見ゆらん馬さへも

  豆盥(まめたらひ)をば 覗き見ぞ鳴く

 

 

豆盥(まめたらひ)

 馬の飼料を入れた盥(たらい)

 女性の、、、に見立てた。

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  われハかりほゝあらふ人ハ又もあらし

  とおもへハ水の したにもありけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  我計(わればかり) 物思(ふ)人は 又もあらじと

  思へば人は おとこたちききて

  

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  水底に ものや見ゆらん馬さへも

  まめたらひをハ のそきそ鳴

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  水口(みなくち)に 我や見ゆらん かはづさへ

  水の下にて 諸声(もろこゑ)になく

 

 

 

劇団四季『ジョン万太郎の夢』1992年 浅利 慶太作・演出 石丸幹二 山口祐一郎 

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梨園劇場 京劇 2019年12月4日

 

 

 

劇団四季『ジョン万太郎の夢』1992年 浅利 慶太作・演出 石丸幹二 山口祐一郎

 

 

 劇団四季『ジョン万太郎の夢』をみた。

 そして、なんと!石丸幹二&山口祐一郎が出ておられた。

 

 一幕目、石丸幹二に微笑み、山口祐一郎の歌声に心を打たれる^^

 異民(肌に色)差別問題や日本の鎖国にも触れ、ジョン万太郎は日本とアメリカをつなぐといった大きな翼を広げる。

 

 二幕めが始まってしばらくすると、『ジョン万太郎の夢』に即したバレエ『ボレロ』風の踊りが始まり、曲は変調し、日本風を超えて中国風の調べを覗かせ、又、『ボレロ』へと移行する。

 

 見終わって、何かしら喜びを感じ、微笑みがこぼれ落ちる、そんなお舞台であった。

 そして、何かしらんワクワクした気分で、山口祐一郎の『ダンス・オブ・ヴァンパイア』を歌っていた私。

「サァ!ディナーの時間だ♪」な気分なのである^^

 

 こういう舞台は、私は好きだな^^v

 

 

 

 

ニッセイ劇場 HP ▼

配役 出演者 万次郎  味方隆司  石丸幹二  栗原英雄 親方/藩主  井関 一  羽鳥三実広 重助/老中  内田典英  飯野おさみ  深水正博  吉谷昭雄 寅右衛門/幕臣  深水正博  松下武史  吉谷昭雄  立岡 晃 五右衛門/福沢諭吉  野上典之  中嶋 徹  鈴木 淳  下河原守忠 ホイットフィールド船長/
島津斉彬  青山 明  山口祐一郎  村 俊英 アリー  後藤由里  荒川久美江  中澤孝子  花岡久子  秋本みな子 ポリー  花岡久子  秋本みな子  佐和由梨  後藤由里  井料瑠美  阪上枝美 キン  青山弥生  鈴木京子  高林久美  加藤ゆみ  阪上枝美 ギン  阪上枝美  坂本里咲  山田千春  堀内敬子  青山弥生  春原一恵  加藤ゆみ 男性
アンサンブル 役人/フランク  川原洋一郎  沢木 順  宮川政洋 役人/ブルック  下村尊則  浜畑賢吉  佐藤廣美  八巻 大 吉岡  遠藤敏彦  遊佐真一  中尾弘隆 勝 海舟  喜納兼徳  佐野正幸  村 俊英 その他  藤原麻由  荒巻 正  栗原義美  菊地 正  重野幸夫  伊藤稔之  太田泰信  秋光伸次 女性
アンサンブル シオ/教会委員  菅本烈子  丹 靖子  末次美紗緒  千綿一美 ウメ  柘 宏子  白木原忍  小木曽かおり  池田衣里  工藤伸子 教会委員  菊地美樹  千綿一美  石井陽子  漆原みどり  鈴木智絵  八重沢真美  服部良子   ホイットフィールド夫人  横山幸江  西島美子  金井小夜子 ナミ  山田 園  坂井 恵  山崎裕子  工藤伸子 その他  松崎清美  林下友美  友谷真実  石井陽子  久安正子  小木曽かおり  小谷麻理  久安正子  小原あや  布川史緒  工藤伸子  黒田祐枝   布川史緒  黒田祐枝  鳥居ひとみ  山崎裕子  澄 千鶴  木下マカイ

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』28  「なとてかく はや年寄りに成りけん 水なすびそと むしり物を」 十六丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』28  「なとてかく はや年寄りに成りけん 水なすびそと むしり物を」 十六丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

右左

28 十六丁表

◯をかし男茄このみなる女、ゆててくふて

  なとてかく はや年寄りに成りけん

  水なすびそと むしり物を

 

 

28 十六丁表

◯おかし男、茄 好みなる女、茹でて食うて

  なとてかく 早年寄りに成りけん

  水茄子ぞと 毟(むし)り物を

 

 

茹(なす)

 当時、茄子(なすび)が一般的。茄(なす)は女房詞。

年寄りに成りけん

 茄子の皮の表面に、シワが寄っているのを、年寄りにたとえている。

 馬の飼料を入れた盥(たらい)

 女性の、、、に見立てた。

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  なとてかく はや年寄りに成りけん

  水なすびそと むしり物を

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  などてかく あふごかたみになりにけん

  水もらさじと 結びしものを

  

 

 

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』29  「腹にあきし なめしハいつもくらひしと けふの花みににる米もなし 」 十六丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』29  「腹にあきし なめしハいつもくらひしと けふの花みににる米もなし

」 十六丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

29 十六丁表

◯をかし山寺の児達の花見に飯酒なかりけれハ

  腹にあきし なめしハいつもくらひしと

  けふの花みににる米もなし

 

 

29 十六丁表

◯おかし山寺の児子(児)達の花見に、飯酒無かりければ

  腹に飽きし 菜飯はいつも食らいしと

  今日の花見に煮る米も無し

 

 

 児子(ちご と読ませている)

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  腹にあきし なめしハいつもくらひしと

  けふの花みににる米もなし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  花にあかね 嘆きはいつもせしかども

  今日のこよひに 似る時はなし

  

 

 

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』30 「あふなきハ 目玉のうへのいももらひ  つふし損して かくかなるなん」 十六丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』30  十六丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

30  十六丁表

◯をかし男、はつれ也ける女のもとに

  あふなきハ 目玉のうへのいももらひ

  つふし損して かくかなるなん

 

29 十六丁表

◯おかし男、はずれ也ける女の元に

  危なきは 目玉の上の芋貰い

  潰し損じて かくか なるなん

 

 

はつれ也ける    岩波古典文学大系『仁勢物語』頭注

 目の淵に、引きつったもの(方言 和歌山・神戸に在残)

いももらひ     岩波古典文学大系『仁勢物語』頭注

 まぶたの上にできる、麦粒腫(伝染病)

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あふなきハ 目玉のうへのいももらひ

  つふし損して かくかなるなん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  逢ふことは たまの許(ばかり)おもほへて

  つらき心の 長く見ゆらん

  

 

 

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』31 「罪(ツミ)もなき 人は鵜をかひハり  おほくの肴 くふといふなり」 十六丁表 十六丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』31  十六丁表 十六丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

   『仁勢物語』31を読んで、謡曲『鵜飼』を思い浮かべた^^

31  十六丁表

◯をかし道のはたにて、ある子達の鶇(ツクミ)をすへて

通りけるに、何阿彌といひけん、「よしや、殺生よ、

南無釈迦彌陀」といふ、あこ

  罪(ツミ)もなき 人は鵜をかひハり

  おほくの肴 くふといふなり

といふをうらやむおほかり

 

31  十六丁表

◯おかし道の端にて、或る子達の鶇(ツグミ)を据えて

通りけるに、何阿彌と言いけん、「よしや、殺生よ、

南無釈迦彌陀」と言う、児(あこ)

  罪(ツミ)も無き 人は鵜を飼い張り

  多くの肴 食うと言う也

と言うを羨む、多かり

 

鶇(ツクミ  つぐみ))

(エッサイ 本文では「鳥居」に「鳥」)

 もっとも小型の鷹の一種。

 雄(オス)を「つみ」、雌(メス)を「エッサイ」と云った。

 季語:秋 小鷹採りに用いる。

南無釈迦彌陀  (天台宗 法話集http://www.tendai.or.jp/houwashuu/kiji.php?nid=11より)

 仏様に手を合わせる時、その仏様が阿弥陀(あみだ)様だとしたら、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」とお唱(となえ)えします。では、南無(なむ)とはどういう意味なのでしょうか。
 印度(インド)の国に行かれた方は、その国の人びとが合掌して、「ナマス・テー」と挨拶する光景を御覧になられたことがあるでしょう。
 これは「あなたに敬礼します」という親愛と尊敬を込めたことばで、出会った時も別れる時も「ナマス・テー」です。このナマスが「南無(なむ)」なのです。ナマスの語源はナモーで、漢訳して南無と表記しました。音(おん)を写したのです。南無とは、帰命(きみょう)、敬礼(けいれい)の意味で、心の底から全身全霊で仏様を信じることなのです。ですから、「南無仏(なむぶつ)」と唱えたならば、「真心を込めて仏様を信じます」と表明したことになるのです。
 さて、お寺参りをなさる機会がおありでしょうが、その時、まずはじめにお堂におまつりされている仏様のお名前をしっかり確かめてから、お唱えしましょう。


 阿弥陀様なら、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」
 お薬師様なら、「南無薬師瑠璃光如来(なむやくしるりこうにょらい)」
 観音様なら、 「南無観世音菩薩(なむかんぜおんぼさつ)」
 お釈迦様なら、「南無釈迦牟尼如来(なむしゃかむににょらい)」 などとなる訳です。

あこ 

 児 吾子 子供

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  罪(ツミ)もなき 人は鵜をかひハり

  おほくの肴 くふといふなり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  罪もなき ひとをうけへば忘草

  をのが上にぞ 生(お)うといふなる

  

  

 

 

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 37 十七丁裏

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富田高至 編者

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 37 十七丁裏

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年




3 36-39
37 十七丁裏

◯をかし男、銭えりける女に、いへりけり、うしろめた

くや、おもひけん

  破ならて こと銭選るな かたなしや

  ころかけとらぬ 法度なりとも

返し

 札立て きハめし銭を ひとりして

 あひよみはかり えらしとそおもう





◯おかし男、銭選(え)りける女に、言えりけり、後ろめた

くや、思いけん

  我ならで こと銭選(え)るな 形無しや

  ころ 掛け 取らぬ 法度なりとも

返し

 札立て 極めし銭を 一人して

 相読み計り 選(え)らじとぞ思う







破ならて
 (われならで  我ならで)当て字

缺(かけ-る)
 欠ける、完全な形では無い、





『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  破ならて こと銭選るな かたなしや

  ころかけとらぬ 法度なりとも

『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

  我ならで 下紐(したひも)とくな 朝がほの

  夕影(ゆうかげ)またぬ 花にはありとも


『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  棚せハみ みちまてほせる唐油蓑

  あそぶとさらに わがおもハなくに

『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

  二人して 結びし紐を ひとりして

  あひ見るまでは 解かじとぞ思(ふ)






『古今集遠鏡 巻一』17 はしがき 八表 八裏 本居宣長

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『古今集遠鏡 巻一』17 はしがき 八表 八裏 本居宣長



   『古今集遠鏡』6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。
 



遠鏡 1
右は 八裏 

はしがき 八表
◯「らし」ハ、「サウナ」と訳す、「サウナ」ハ、さまなるといふことなるを、春便りに「サウ」と

いひ、「る」をはぶける也、然れバ言の本のことを、「らしく」と同じおもむきに

あたる辞也、たとへば「物思ふらし」を、「物ヲモウサウナ」と訳すが如き、「らし」も

「サウナ」と共に、人の物思ふさまなるを見て、おしはかりたる春なれバ也、さてついで

はしがき 八裏
にいはむハ。業(ママ 世に)らんとたしとを。たゞ疑ひの重きと軽きとのたがひ」とのみ

心得て。みづからの歌にも。其こゝろもて、よむならハ。「時雨

ふるらん」ハ。「時雨ガフルデアラウ」也。「時雨ふるらし」は。「時雨ガフルサウナ」の言也。此俗言の

「アラウ」と「サウナ」との言を思ひて。そのたがひあることをまきまふべし。



はしがき 八表
◯「らし」は、「そうな」と訳す、「そうな」は、「様成(さまなる)」と言う事なるを、春便りに「そう」と

言い、「る」を省ける也、然れば、言(詞)の本の事を、「らしく」と同じ趣に

あたる辞也、例えば「物思うらし」を、「物を申すそうな」と訳すが如き、「らし」も

「そうな」と共に、人の物思ふ様成るを見て、推し量りたる春なれな也、扨、ついで

はしがき 八裏
に言わんは。業(ママ 世に)らんとたしとを。ただ疑ひの重きと軽きとの違い」とのみ

心得て。自らの歌にも。其心もて、読むならば。「時雨

降るらん」ハ。「時雨が降るであろう」也。「時雨降るらし」は。「時雨が降るそうな」の言也。此俗言の

「あろう」と「そうな」との言(詞)を思ひて。其違い有る事をまきまうべし。



言(ことば 詞 言葉)

『古今集遠鏡 巻一』18 はしがき 八丁裏 本居宣長

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『古今集遠鏡 巻一』18 はしがき 八丁裏 本居宣長
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。
 



遠鏡 1
右 八丁裏 

はしがき 八丁裏

◯「かな」ハ、さとびごとにも「カナ」といへど。語のつゞきざまは。雅言のまゝにては。う

ときが多ければ。続ける詞をば。下上に置き換えとし。あるは言を加えなども

して。訳すべし。全て 此 辞(言葉)は。嘆息(ナゲキ)の詞まで。心を含めたる事多

ければ。訳(ウツシ)には。その含めたる事の詞をも。加わうべき技なり。






はしがき 八丁裏

◯「哉」は、さとびごと にも「哉」と言えど。語の続きざまは。雅言のままにては。う

とき が多けれバ。つゞける詞をバ。下上におきかへとし。あるハ言をくはへなども

して。訳すべし。すべて此辞ハ。嘆息(ナゲキ)の詞まて。心をふくめたることおほ

けれバ。訳(ウツシ)にハ。そのふくめたることの詞をも。くはふべきわざなり。





「かな」ハ、さとびごとにも「カナ」と訳す
 「哉」ハ、さとびごとにも「哉」と訳す

さとびごと
 ① いなか言葉。方言。
 ② 日常話している言葉。世俗の言葉。

うとき (疎し)
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
 ①疎遠だ。親しくない。関係がうすい。
 出典伊勢物語 四四
 「うとき人にしあらざりければ、家刀自(いへとうじ)さかづきささせて」
 [訳] 疎遠な人でもなかったので、(その家の)主婦が杯をすすめさせて。
 ②よそよそしい。わずらわしい。うとましい。
 出典古今集 雑上
 「かつ見れどうとくもあるかな月影のいたらぬ里もあらじと思へば」
 [訳] 月を美しいと思いながらも一方では、どこかよそよそしく感じられるよ。月が照らしていないところなどないと思うと。
 ③よく知らない。不案内だ。
 出典徒然草 八〇
 「人ごとに、わが身にうときことをのみぞ好める」
 [訳] だれでも、自分がよく知らないことばかり好んでいる。
 ④無関心だ。
 出典徒然草 四
 「後の世の事、心に忘れず、仏の道うとからぬ、心にくし」
 [訳] 来世のことをいつも心に忘れず、仏の教えに無関心でないのが、奥ゆかしい。
 ⑤よくきかない。鈍い。
 出典落窪物語 二
 「大臣(おとど)おし放ち引き寄せて見給(たま)へど、え目うとくて見給はで」
 [訳] 大臣は(手紙を)離したり、近づけたりして見ていらっしゃるが、目がよくきかないのでご覧になることができなくて。

 

 


『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述 序1

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     『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述 序1




 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26




 
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 『疱瘡心得草』
 


疱瘡心得草(ほうさうこゝろえぐさ)全部一冊

此本は疱瘡(ほうさう)初て日本にわたりし事初熱(ほどおり)より日数(ひかず)
心得の事ども并(ならびに)麻疹(はしか)水痘(へいない)の心得疱瘡人の
介抱看病人の心得抔(など)を具(つぶさ)に平かなにしるして
世に広くせん事を願ふのみ

  平安書林  東壁堂梓




疱瘡心得草序(ほうさうこゝろえぐさ じょ)

語(ご)に曰(いわく)父母(ちゝはゝ)は唯(たゞ)その子の病を憂(うれ)ふとのたまへり

父母の子の病をいたわり、思ふ事のやるせなき

や、我(わが)日(日)の出(で)にも さま/″\の病(やまひ)多(おゝ)き中(なか)にも、疱(ほう)

瘡(そう)ほど軽(かろ)き重(おも)きによらず、親(おや)の心(こゝろ)恐(おそ)れ、苦(くる)しきは

年ゝ(ねん) いつとなく 流行(はやり)すれど、時行(じこう)によりてか、今年(ことし)此(この)

病(やまひ)、諸国(しょこく)に遍(あまね)く 時行(じこう)逃(のがれ)がたきに至(いた)る、されバむかしゟ(より)

疱瘡(ほうそう)の名方(めいほう)ハ、中華(から) 倭(やまと)の大医(たいゐ)の文(ぶん)に、あまた 載(のせ)有(あ)りし

といへども、俗家(ぞくか)の用心(ようじん)、心得(こゝろへ)に成(なる)べき書(しょ)ハ いまだ 見(み)

『疱瘡心得草』2 01裏:挿絵 02表:本文 志水軒朱蘭 述 

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         『疱瘡心得草』2 01裏:挿絵 02表:本文 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26




 
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 『疱瘡心得草』

疱瘡 2
国立国会図書館所蔵
01裏 右 挿絵






疱瘡神(ほうさうのかみ)祭る づ
              図








疱瘡 2
国立国会図書館所蔵
02表 左

にも不及(およバず)至(いた)りて重(おも)きに当たれバ、薬(くすり)も届(とゞ)かぬ事(こと)あり、病(やまひ)

を受(うけ)て三五十五日の間なり、始(はじめ)て疱人(ほうそうにん)の熱(ねつ)ある時(とき)は、其(その)心(こゝろ)

得(え)忘(わす)れず、気(き)を付(つ)ける事 第(だい)一なり、いよ/\疱瘡(ほうさう)らしき事

なれバ、其人(その人)の目(め)の内(うち)に涙(なみだ)たるみて、まだるきが如(ごと)し、両足(りやうそく)

おかねも有(あ)り、腹中(ふくちう)に通(かよ)ふ熱(ねつ)を特(とく)と考(かんが)へ知(し)るべし、見様(みやう)

能(よく)/\疱人(ほうそうにん)の容体(ようだい)を昼夜(ちうや)にくわしく見置(みおき)て、良(よい)

医者(いしや)に告(つ)げ聞(きか)せ、油断なく看病(かんびやう)あらば、たとひ難(むつかしき)疱(ほうそう)

なりとも、少(すこ)しも一命(いのち)に気遣(きづか)ひなし、平癒(へいやう)するかと

疑(うたが)ひ有(ある)べからず
      




受(うけ)て三五十五日の間なり、
 病にかかって、一年経った意

気(き)を付(つ)ける事 第(だい)一なり、
 気をつけることが、一番大切であるという意味

涙(なみだ)たるみて
 たるみて
 たる-み 【垂水】名詞
 滝。
 出典万葉集 一四一八「石走(いはばし)るたるみの上の早蕨(さわらび)の萌(も)え出(い)づる春になりにけるかも」
涙(なみだ)たるみて
 涙が溢れ出て


『疱瘡心得草』3 02裏:挿絵 03表:本文 志水軒朱蘭 述 

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    『疱瘡心得草』3 02裏:挿絵 03表:本文 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26




 
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 『疱瘡心得草』
疱瘡 3
国立国会図書館所蔵
02裏 右 挿絵




   紅梅(こうばい)
      盛(さかり)

      能(の)
      躰(てい)








疱瘡 3
国立国会図書館所蔵
03表 左

 疱瘡(ほうさう)はじめ終(おわり)の日数(ひかず)心得(こゝろへ)の事

熱蒸(ねつしやう)とて三日有、俗に「ほとおり」といひ、又は「序病」(じよやみ)といふ

見点(けんてん)とて三日有、俗に「出そろひ」といふ 
 
潅漿(きちやう)とて三日有、俗に「水もり」といふ

貫膿(くわんのう)とて三日有、俗に「山あげ」といふ

収厭(しゆえん)とて三日有、俗に「かせ」といふ

かくのごとく三日づゝにて十五日をへて後(のち)、瘡(かさ)のふた落(おち)

て愈(いゆ)るを「順症」といふ 出そろひゟ 風にあてべからず、 痘(いも)

かろく見へても外(ほか)へ出(いだす)べからず、 水(みづ)とりは 前後大事(ぜんごだいじ)なり

かきやぶる事(こと)を気を付(つく)べし 「やまあげ」「かせ」はじめなり


      




ほとおり
 ほとぼり

かせ
 カサカサしたカサブタのことか、



『疱瘡心得草』4 03裏:挿絵 04表:本文 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』4 03裏:挿絵 04表:本文 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26




 
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 『疱瘡心得草』
疱瘡 4
国立国会図書館所蔵
03裏:挿絵




   屋 嶋 高    


           京祇園町

         小町紅

            高嶋屋







小町紅  (ウィキペディア)
 小町紅とは、江戸時代の口紅の商標である。
 絶世の美女・小野小町にあやかった商品名で、当初は、京都で作られた特に良質な口紅のことを指して小町紅と称した。
 ただし、当時の商標は現在の商標登録とは扱いが異なり、どちらかといえば商品のカテゴリーを表す意味合いを持った名称である。
 現在では、伊勢半本店が江戸時代から続く伝統製法で製造販売している。

 江戸時代の口紅は、紅花の花弁に含まれるわずかな赤色色素を抽出し精製したもので、現在の油性基材の口紅とは異なる。
 口紅の製造は、紅屋または紅染屋が紅染めの兼業として行う形態が主であり、小間物屋や薬種問屋といった化粧品を扱う店では、紅屋から仕入れた口紅の卸売りを行うことが多かった。
 抽出・精製した口紅は、陶磁製の猪口や皿、あるいは貝殻などの内側に塗った状態で販売された。
 先般、新宿区の内藤町遺跡から「小町紅」と書かれた肥前系磁器の紅猪口(推定年代1780~江戸時代)が発掘されている。
 なお、紅の容器と思しきものが文献上に確認できるのは平安時代からで、『江家次第』に「口脂筥」、『香取宮遷宮用途記』には「紅粉佐良」、『類聚雑要抄』には「紅粉盤」とある。

 天保2年(1832年)に出版された、当時のショッピングガイド誌『商人買物独案内』(京都編)には、「御用小町紅」として京都四条通麩屋町東の「紅平」(紅屋平右衛門)の名が収載されている。
 同書には、紅平以外にも「小町紅」を取り扱う店として、祇園町の高島屋喜兵衛、伊勢屋五三郎、美濃屋吉郎兵衛の店などを載せている。

 前掲書に先立ち、江戸で出版された『江戸買物独案内』(文政7年・1824年刊行)によれば、江戸でも近江・伊勢系商人の店で「小町紅粉」を扱っていたことが確認できる。
 口紅の製造の主体は長く京都にあり、江戸ではもっぱら下り物を扱っていた。江戸で口紅の製造・販売が行われるようになるのは、江戸時代後期以降と考えられている。

 小町紅は、当時の口紅のいわばトップブランドで、良質ゆえに非常に高価であった。
 一般庶民が容易く購入できる口紅ではなく、主な購入者は御殿女中や豪商の婦女子、花柳界の遊女といった粋筋の人々だった。
 良質な紅は、容器の内側に塗り自然乾燥させると、赤色ではなく笹色(玉虫色)の輝きを放った。『江戸買物独案内』の中に「笹色飛光紅」を扱う「玉屋」(玉屋善太郎の店)という紅問屋の広告が収められている。
 玉屋はもともと京都の紅問屋で、小町紅の販売を行っており、江戸の日本橋本町二丁目に出店していた。『熈代勝覧』本町二丁目の風景の中に玉屋が描かれており、同資料には当時の紅屋の看板であった赤い幟が、玉屋の脇に確認できる。


疱瘡 4
国立国会図書館所蔵
04表 左

かせになりてくひものに気(き)を付くべし


  紙燭(しそく)照(てら)し様(やう)の心得の事

序病(じよやみ)の時(とき)余病(よびやう)にてもあるか、又は疱瘡(ほうさう)ならんかと心得(こゝろへ)るに

紙そくを捻(ひね)りて軽重(かろきおもき)多少(たしよう)をうかゞひ見るなり、昼なれ

ば屏風にてかこひ、闇(くら)くして病むものゝ左の頬(ほう)より見始(みはじめ)

額(ひたひ)の真ん中をよくみるべし、兎角(とかく)に日(ひ)の光りにては

見へかぬる物(ものなり)、すでに肌表(はだひやう)にあらわれて、後ハともし火(び)ハ

悪(あし)く 、其時(そのとき)ハ日ならでは血色(ちのいろ)の紅白(こうはく)虚実(きよじつ)、わかちがたし

たゞ発熱うたがわしき時のみなり、紅紙(べにがみ)を用(もち)ゆべし

もし紅紙(あかがみ)なき時(とき)は、紅(べに)を白紙(しらかみ)にぬりて用ゆ、右の


      




くひもの
 食い物


『疱瘡心得草』5 04裏:挿絵 05表:本文 志水軒朱蘭 述

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    『疱瘡心得草』5 04裏:挿絵 05表:本文 志水軒朱蘭 述 



 『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述 
 一冊
 出版 蓍屋善助
 寛政10 [1798]
 国立国会図書館デジタルコレクション 
 請求番号 852-26




 
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 『疱瘡心得草』
疱瘡 5
国立国会図書館所蔵
04裏:挿絵




   紅(べに)乃花(はな)を作(つく)る

                   躰(てい)






漢方薬としての紅花   (生薬解説 http://www.hal.msn.to/kankaisetu/chuyaku037.html)
 赤花 Carthamus tinctorius L.【別名】…ベニバナ、ホンファ
 薬膳の素材としても知られる紅花は、血液の流れを改善する活血化瘀作用があるため、瘀血(血行不良)による高血圧や狭心症、動脈硬化、脳梗塞などの心血管系の疾患をはじめ、月経痛や月経不順などの婦人病、打撲や外傷などにも用いられている植物生薬です。

 優れた活血化瘀作用で血行障害による諸症状を改善
 紅花の性質は、体を温める作用のある温性で、滞った血行をスムーズにする活血化症作用に優れており、特に「心」と「肝」の症状に効果的です。
 臨床応用としては、各種の瘀血阻滞による疾患及び血行不良の諸症状に幅広く使われています。高血圧や狭心症をはじめ、静脈血栓症、静脈瘤、脳梗塞、高脂血症、動脈硬化、糖尿病による壊疽などには、丹参、川芎、芍薬などと併用されることが多く、代表的な中成薬に血液をサラサラにする「冠元穎粒」や「血府逐瘀丸」などがあります。
 また、血行不良による月経痛や無月経、月経不順、不妊症、更年期障害などの婦人病にも効果的で、当帰、川芎、牡丹皮などの生薬と配合して使用されます。こうした婦人病に用いられる主な漢方薬に、「芎帰調血飲第一加減」や「折衝飲」、「通導散」などがあります。
 瘀血(血行不良)の原因には、血液が不足することによる「血虚」と、血液循環を促進させる気(エネルギー)が不足した「気虚」、ストレスなどによって気の流れが停滞した「気滞」などがありますが、婦人病の場合は、不足した血液を養う作用がある「当帰養血精」と併用すると、さらに効果的です。
 他に紅花には消炎・鎮痛作用もあるため、打撲や外傷、やけど、腫れ物などにも用いられています。この場合は、蒼朮や連翅、大黄などと併用するのが一般的です。代表的な処方に「治頭瘡一方」などがあります。

 紅花は腫れ物にも効果があるようなので、疱瘡にも用いられたのだろうか、
 また、前回の挿絵の「小町紅」では紅花が用いられたという。随分体い良いとされる紅花を使われていたことになる。



疱瘡 5
国立国会図書館所蔵
05表 左

紙燭(しそく)を病者(びやうしゃ)の目じり、耳(ミゝ)のあたりゟすかしてらし

見れバ、皮(かわ)ひとへ下にむら/\として見ゆる内に、粒(つぶ)の

点(てん)をむすびかけたる有(あり)、たゞ むらつきてのみ 有(ある)も有り

肌色血の色に気をつけ見るべし、尤(もつとも)手足(てあし)ともに

くわしくみるべし、大概(たいがい)はあらハるゝもの 其上(そのうへ)上手(じやうず)の

醫者(いしや)へ相談(さうだん)あるべきなり


 神祭(かみまつ)りの心得(こゝろへ)の事

痘(いも)の神(かみ)を祭(まつ)るは穢(けが)れを避(さく)る為なり 痘病人(ほうさうにん)の

居間(いま)は随分(ずいぶん)清(きよ)くすべし、其間(そのま)に神を安置(あんち)す、何(いづ)
れの間(ま)にても、勝手(かつて)の宜(よろ)しき所に机(つくへ)を置(おき)て祭るべし
 




神祭(かみまつ)り
 神を祭ること。祭り。(大辞林)
 神を祭る儀式。特に、神道の方式で行う祭り。(大辞泉)
 神道の法式によって行う祭礼。(大辞林 第三版)
神祭(かみまつり、かんまつり)
 かみまつり  (ふりがな文庫 https://furigana.info/w/神祭)
 十月という月は神無月かんなづきともいって、もとは神祭かみまつりのほとんとない月だった。
 (年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著))
 桔梗ききょうという花のしばしば神祭かみまつりに使用せられるのは、あるいはその形状からでも若干の理由を推測し得ぬことはないが、その他の植物に至っては、繁茂の地が荒野であった点以外に、これを盆花とし始めた動機を知り難い。
 (年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著))


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