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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 12 「むさし野は けふハなやきそ浅草や 妻もころへり われもころへり」 七丁表 和泉書院影印業刊

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 12 七丁表

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

七丁表

◯をかし男有りけり、きりしたんのご法度よりて、武蔵野へ

つれて行ほとに、科人なれは、町奉行にからめら

れにけり、女も男も草村の中にをきて、火つけん

とす、女わひて

  むさし野は けふハなやきそ浅草や

  妻もころへり われもころへり

とよみけるを聞て、夫婦なから扶てはなちけり

 

七丁表

◯おかし男有りけり、切支丹のご法度よりて、武蔵野へ

連れて行くほどに、科人なれば、町奉行に絡(から)めら

れにけり、女も男も草村の中にを来て、火付けん

とす、女詫びて

  武蔵野は 今日は な 焼きそ 浅草や

  妻も転げり 我も転げり

と詠みけるを聞て、夫婦ながら、扶て放ちけり

 

 

きりしたん(切支丹)

扶て(たすけて)(扶 フ たすける)

妻(夫)

 女詫びて

  武蔵野は 今日は な 焼きそ 浅草や

  妻(夫)も転げり 我(女)も転げり

 と詠みけるを聞て、夫婦ながら、扶て放ちけり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  むさし野は けふハなやきそ浅草や

  妻もころへり われもころへり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  武藏野は けふは焼きそ若草の

  つまもこもれり 我もこもれり

 


寺山修司生誕80周年 花組芝居が挑んだ実験浄瑠璃劇『毛皮のマリー』菊組 2015年

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 寺山修司生誕80周年

 2015年

 花組芝居が挑んだ実験浄瑠璃劇『毛皮のマリー』菊組

 

 

 まぁ、面白やの大明神!

 よ!花組芝居!

 

 思い出したように、ネット配信で公演案内が来るものの、東京公演がほとんどで、真面目な主婦の私は遠征できずで臍を噬む。

 今回、寺山修司の『毛皮のマリー』を浄瑠璃に合わせてリズムよく演じられる舞台を見ることができ、やっほうほい!と喜こびころこび、見入っていた。

 変調に変調を重ねた歌舞伎のパロディ(例えば、『白波五人男』など)や謡曲(例えば『俊寛』など)が盛り込まれ、バレエあり日本舞踊あり、エロあり変態あり。

 大笑いに笑いながら舞台を楽しんでいたが、最後の男の子の表情の表現力で、寺山修司の『毛皮のマリー』という作品をしっかりとしめ、幕を閉じる。

 これだから演劇、というか、花組芝居は興味深い。

 家に居ながらにして、満足のいく時間を過ごすことができた。

 見終わった後、軽快なピアノ曲を何曲か口ずさんでいた。

 

 

 

 

●作:寺山修司
●脚本・演出:加納幸和
●監修:寺山偏陸
●作曲:鶴澤津賀寿 杵屋邦寿

●東京公演
 2015年12月16日(水)~23日(水・祝)

 あうるすぽっと

〈梅組キャスト〉 谷山知宏 丸川敬之 堀越涼 原川浩明 松原綾央 押田健史 大井靖彦 山下禎啓 二瓶拓也 桂憲一 北沢洋 横道毅 磯村智彦 小林大介  〈菊組キャスト〉 秋葉陽司 美斉津恵友 加納幸和 山下禎啓 北沢洋 押田健史 二瓶拓也 横道毅 松原綾央 桂憲一 原川浩明 大井靖彦 磯村智彦 小林大介


 

 

通し狂言 七幕 『桐一葉 きりひとは』 花組芝居 2016年  原作:坪内逍遥  脚本・演出:加納幸和

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通し狂言 七幕 『桐一葉 きりひとは』花組芝居 2016年

 

 N◯Kの大河ドラマにもなったらしい花組芝居『桐一葉 きりひとは』を見た。要約)

 登場人物が歌舞伎役者に似せる方向に演出されているのか、梅玉や弥十郎の言い回しに似た役者、愛之助激似メークの白塗り役者など、歌舞伎好きにはたまらない。

 歌舞伎の江戸言葉や言い回しや仕草や形を花組芝居風に演じられ、この舞台も相当面白い。まさしく、ネオ歌舞伎と言えるが、ある意味、歌舞伎よりも話の筋書きが複雑で、演劇的である。

 また、歌舞伎演目の台詞の言い回し(例えば、『助六』の「墨と雪」)なども多く取り入れられ、最後、鶏がくどいほどに「こけっこっこ〜、こけっこっこ〜〜」と鳴くと観客(私)には「東天紅〜東天紅」と聞こえ、天からは桐の葉(白紙)がぱらり、また、はらりと舞い降り、『桐一葉 きりひとは』の舞台を盛り上げる。

 

「さらばじゃ」「さらばでござる」(要約)

 舞台上に作られた枠組みは過去となった歴史と時の新たに流れを告げる境界線を演出し、登場人文つが走馬灯のように無言でゆっくりと歩き回る。

 この舞台は実際に劇場で見て見たかったと感じた。

 

 また、話はそれるが『桐一葉 きりひとは』と『毛皮のマリー』に出演されてなかった、梅本潤改〆梅本純米さんの芝居を見てみたい。

 

 

 

 以下は花組芝居『桐一葉 きりひとは』公式HPより ▼

原作:坪内逍遥
●脚本・演出:加納幸和
●出演:
  加納幸和 原川浩明 山下禎啓 桂憲一 八代進一 大井靖彦
  北沢洋 横道毅 秋葉陽司 松原綾央 磯村智彦 小林大介
  美斉津恵友 谷山知宏 丸川敬之 二瓶拓也 押田健史

2016年9月30日(金)~10月10日(月・祝)

【あらすじ】
天下分け目の"関ヶ原の戦い"後の大坂城。
豊臣家を滅ぼそうと画策する徳川家康は、
方広寺の鐘銘にあった文字に難癖をつけ、三ヶ条の難題を押し付ける。
淀君をはじめとする豊臣家の人々は憤慨するが、
徳川との交渉役を勤める片桐且元は条件を呑むべきと主張。
"交渉に時間をかけ、高齢の家康の死を待つ"が、彼の秘策。
しかし反且元の大野道軒一派は、『且元は内通者だ』との噂を流し、
城内にて且元暗殺の計画が持ち上がる…。

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 13 「武蔵坊 さすがほどなる薙刀を 振らぬもつらし 振るもうるさし」七丁表 七丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 13 「武蔵坊 さすがほどなる薙刀を 振らぬもつらし 振るもうるさし」「

ふれはいふ 振らねハうらむ武蔵坊 かゝる折にや 人ハいふらん」七丁表 七丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

七丁表

◯をかしむさしと云男京なる女のもとに「聞ゆ

れははつかし、聞えねハ、くさし」とかきて、うはかき

に「むさし坊弁慶」と書て、ほそ心さしをこせて

後音もせすなりにけれハ、京より女

  武蔵坊 さすがほどなる薙刀を

七丁裏

  振らぬもつらし 振るもうるさし

とあるをみてなん、はつかしき心ちしける

  ふれはいふ 振らねハうらむ武蔵坊

  かゝる折にや 人ハいふらん

 

七丁表

◯おかし武蔵と云う男京なる女の元に「聞ゆ

れば 恥ずかし、聞えねば、くさし」と書きて、上書き

に「武蔵坊弁慶」と書て、細心さしを越せて

後音もせずなりにければ、京より女

  武蔵坊 流石ほどなる薙刀を

七丁裏

  振らぬも辛し 振るも煩(うる)さし

と有るを見てなん、恥づかしき心地しける

  振れは言う 振らねば恨む武蔵坊

  かかる折にや 人は言うらん

 

くさし(くさす 腐す)

 《五他》悪く言う。けなす

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  武蔵坊 さすがほどなる薙刀を

  振らぬもつらし 振るもうるさし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  武蔵鎧(あぶみ) さすがにかけて頼むには

  とはぬもつらし とふも五月蠅し

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  ふれはいふ 振らねハうらむ武蔵坊

  かゝる折にや 人ハいふらん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  とへばいふ とはねば恨む武蔵鎧(あぶみ)

  かゝるおりにや 人は死ぬらん

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 14 「「なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも なるへかりけり この月はかり」」 七丁裏 八丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 14 「なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも なるへかりけり この月はかり」「夜もあけハ きつねむしなと 人やみん またき起こして 残をやりつる」「くりの粉のあたゝけもちの あたるゝ みやけにこんと たんとやらましを」 七丁裏 八丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

七丁裏

をかし男、甲斐國へすゞろに行至りにけり

そこなる女、江戸の人ハめつらしくや 思ひけん

せちに思へる心なんなりける、さてかの女、

  なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも

  なるへかりけり この月はかり

歌さへそひひなたくさかりける、さすかにおかしとや

思けん、よひてねにけり、夜ふかく出して

  夜もあけハ きつねむしなと 人やみん

八丁表

  またき起こして 残をやりつる

とよみて、て、この男、江戸へなん まかるとて

  くりの粉のあたゝけもちの あたるゝは

  みやけにこんと たんとやらましを

といへりけれハ、涎(ヨダレ)こぼちて、「うれしかりけらし」とそ

                       …けらせし」とそ                   

いひおりける

 

 

七丁裏

おかし男、甲斐國へすずろに行き、至りにけり

そこなる女、江戸の人は珍しくや 思いけん

せちに思える心なん、なりける、さて かの女、

  長々と 連れて御座らざ 手かけにも

  なるべかりけり この月ばかり

歌さへえ添い、日向 草刈りける、流石におかしとや

思いけん、酔いて寝にけり、夜深く出して

  夜も明けば 狐 狸(むじな)と 人や見ん

八丁表

  またき 起こして 残を遣りつる

と詠みて、この男、江戸へなん まかるとて

  栗の粉のあたたけもちの あたるるは

  土産に来んと たんとやらましを

と言えりければ、涎(ヨダレ)こぼちて、「うれしかりけらし」とそ

                       …けらせし」とそ                   

言いおりける

 

すずろ

 あてもなくぶらぶらとい

せち

 甚だ強く、ひたすら、ぞっこん

手かけ 

 妾 一ヶ月の月囲い

狐 狸(むじな)

 きつねとたぬき

またき

 未だ朝が来ぬうちに

栗の粉のあたたけもち

 栗の粉を蒸して作った鏡餅

こぼちて

 こぼして

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  なか/″\と つれて御座らば武蔵坊らざ手かけにも

  なるへかりけり この月はかり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  中/\に 恋に死なずは桑こにぞ

  なるベかりける 玉の緒ばかり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  夜もあけハ きつねむしなと 人やみん

  またき起こして 残をやりつる

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  夜も明けば きつにはめなで くたかけの

  まだきに鳴きて せなをやりつる

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  くりの粉のあたゝけもちの あたるゝは

  みやけにこんと たんとやらましを

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  栗原の あれはの松の人ならば

  都のつとに いざといはましを

 

乱鳥徒然  雨降りて、たわいない事を思い出す。

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 2007年7月15日雨

 

 むかし、芝居の開場を待っていた時の事。

 安倍総理大臣と sp  の方々が歩いて来られた。

 安倍晋三氏は、松竹座前のたこ焼き屋さんに入店。(おそらく、視察か)

 

 ps  その日は当然の事ながら、布製マスクは付けておられなかった。

 

 雨降りて、そんなたわいない事を思い出す。

 

 また、いつか、観劇できる日が来ますようにと

 家に閉じこもっている鳥苦笑い。

     どんと はらい

 

 

 

映画『Look Away ガール インザ ミラー』2018年 カナダ 監督:アサフ・バーンスタイン

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 羽虫を取り、暫し休憩している スズメ

 

 

  映画『Look Away ガール インザ ミラー』2018年 監督:アサフ・バーンスタイン

 

 筋書きが細やかに練られており、二重人格だけでなく、親子愛、人間愛を絡み合わせた興味深い作品。

 

 事の発端は、親の出産。

 完全を求める父親が、双子の父から見れば完璧ではなかった子を出産直後に雪深い玄関に捨てる。

 ここから、母、そして主人公の言動や杏露の揺れ動きまでを左右させることとなる。

 ラストの、母と、子二人を両脇にかかえてベッドに寝いると云う幻想的な場面は、単なる多重人格を扱っただけの映画ではなく、人間そのものを考えることになる作品だと感じた。

 この映画は好きだな。

 

原題/Look Away 制作年/2018 制作国/カナダ 内容時間(字幕版)/104分 監督 アサフ・バーンスタイン 製作 アサフ・バーンスタイン 製作 ブラッド・カプラン 製作 ジオラ・カプランほか 脚本 アサフ・バーンスタイン 撮影 ペドロ・ルケ 音楽 マリオ・グリゴロフ

 

 往年の人気女優オリヴィア・ハッセーのまな娘I・アイズリーが、鏡の中のもうひとりの自分と出会って魔性の女へと変身する孤独な美少女を妖しくも切なく熱演するスリラー。

「ロミオとジュリエット(1968)」でヒロインのジュリエットを清純かつ大胆に演じて、世界中の映画ファンの脳裡に〈永遠の美少女〉像を強烈に刻みつけたハッセー。その母親から可憐な美貌を受け継ぎ、日本のカルトアニメを実写映画化した「カイト/KITE」にも主演して注目を集めたアイズリーが、本作ではひとり二役に挑戦。ふだん孤独な毎日を送る美少女が、鏡の中のもうひとりの自分と出会って邪悪な本性に目覚めていくさまを体当たりで熱演し、大胆な官能美も披露するのが見もの。共演は、M・ソルヴィノ。

 

庭の紫陽花が、真紫になりました。

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6月14日 庭の紫陽花が、真紫になりました。

今年は矢田寺に行く予定でしたが、コロナのため、山門が閉められています。

先日信貴山に行くましたが、山中の紫陽花は荒れ果てて、影を潜めていました。

今年は庭の紫陽花を見て、まったりとしています。

 

 

 

 


恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 16 「ほね折りて そだてしことをかそうれは とをといつゝと よついへにけり」八丁裏 九丁表 九丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 16 八丁裏 九丁表 九丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

左右

八丁裏 九丁表 

をかし男紀の僧正の弟子有けり、都の内に寺もち

て、斎(トキ)あきけれと、後ハ世かわり、斎へりけれと

よの常の坊主のこともあらす、人からハ心うつくしう

未なき物をこのみて、こと人にもにず、うます

きおをくひても、猶むかしよりし時の味

なから、世の常のこともしらす、年此そたてたる

弟子やう/\とこはなれて、つひに俗になりて

兄のさきたちて行きたる所へ行くを、坊主まこと

にむつかしき経なと、こそ、おしへけれ、今ハとゆくを

いとあハれと思侘して、念頃にあいしらひける旦那のもとに

九丁表

「かう/\今ハとて、まかるをいたひける物をもえやらて

つかわす」とかきて、おくに

  ほね折りて そだてしことをかそうれは

  とをといつゝと よついへにけり

かの旦那、これを見て、いとあハれと思ひて、刀、わき

さし、よるの物まて(ママ)をくりてよめる

  斎たにも十日廿日もへりにけり

  いきたい君を せがみくふたん

彼弟子よひて、魚なとくいせたりけれは

  今日や此 僧のころもをぬき捨て

  君か大小 ささたてまつる

よろこひにたへて、又

九丁裏

  秋を焼く 鶴や真鴨とおもふまて

  すふは鯰の 汁にそありける

  

 

八丁裏 九丁表 

おかし男、紀の僧正の弟子有けり、都の内に寺持ち

て、斎(トキ)飽きけれど、後は 世代わり、斎 減りけれど

世の常の坊主の事もあらず、人からは、心美しう

未だ無き物を好みて、事、人にも似ず、うます

きおおくいても、猶 昔よりし時の味

ながら、世の常の事も知らず、年此育てたる

弟子ようよう とこ 離れて、ついに俗になりて

兄の先立ちて行きたる所へ行くを、坊主、誠

に難しき経なと、こそ、教えけれ、今はとゆくを

いと哀れと思侘して、念頃に相しらいける旦那の元に

九丁表

「こうこう、今はとて、罷るをいたいける物をも、得やらで

遣わす」と書きて置くに

  骨折りて 育てし事を かそうれば

  十(とう)と五(いつつ)と 四(よつ)言えにけり

彼(かの)旦那、これを見て、いと哀れと思いて、刀、脇差、

夜の物まで(ママ)を繰りて詠める

  斎(とき)だにも 十日(と雨か)廿日(はつか)もへりにけり

  いきたい君を せがみ食うたん

彼弟子酔いて、魚など食いせたりけれは

  今日や此 僧の衣を脱ぎ捨(て)て

  君が大小 先 奉る

喜びにたえて、又

九丁裏

  秋を焼く 鶴や真鴨と思うまで

  吸うは鯰の 汁にそぞありける

  

 

斎(とき)(さい いみ いもい いつき いわい とき)

 1 神仏を祭るとき、心身を清める。ものいみ。 2 祭事を行う。3ものいみや読書などをする部屋。

 4精進料理。僧の食事。とき。

かう/\

 かうかうしかじか、と言う訳で

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  ほね折りて そだてしことをかそうれは

  とをといつゝと よついへにけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  手を折りて あひ見しことをかぞふれば

  とをといひつゝ 四つは経にけり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  斎たにも十日廿日もへりにけり

  いきたい君を せがみくふたん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  年だにも  とをとて四つは経にけるを

  いくたび君を たのみ来ぬらん

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  今日や此 僧のころもをぬき捨て

  君か大小 ささたてまつる

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  これやこの あまの羽衣むべしこそ

  君がみけしと たてまつりけれ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  秋を焼く 鶴や真鴨とおもふまて

  すふは鯰の 汁にそありける

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  秋や来る 露やまがふと思ふまで

  あるは涙の 降るにぞありける

 

  

 

 

 

 

 

映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』

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写真は、俵藤太物語絵巻 チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵

 

 

  映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』

 

 映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』を見た。

 コロナと暑さと湿度で鬱陶しいこの季節に、エアコンで除湿調整をして見た『DESTINY 鎌倉ものがたり』は豪華な俳優で楽しむことができた。wowowのページには載ってなかったが、國村準、中村玉緒、飯田基祐の出演により、映画が引き締められていた。

 作家 一色正和の家が鎌倉らしい感じはしたものの、柱の飾り刀の文様が、どこぞだったかの簡素な一軒家だったかアパートだったかの階段の模様と同じく、彫刻刀で簡単にずらしたY字に掘られてていて、一色正和の家が重厚さにかけて感じた事は残念だ。

 荒削りのずらしたY字模様が四六時中気にかかり、映画そのものまで重みを感じない。鎌倉というイメージを保つ部分とかけ離れた部分が絡み合い、民俗学という言葉まで用いて練り上げた本作品は、役者群にによって成立した映画だと感じた。

 …と、どなたかが言っておられましたようなおられないような、そんな気がいたしますが、失礼があればお許しください。

 

  今回は題名など簡単な記録のみにて、失礼申し上げます。

 

 以下はwowow HP▼

監督 山崎貴 脚本 山崎貴 撮影 柴崎幸三 音楽 佐藤直紀 制作年/2017 制作国/日本 内容時間/130分 役名 役者名 一色正和 堺雅人 一色亜紀子 高畑充希 本田 堤真一 死神 安藤サクラ 貧乏神 田中泯 女将 薬師丸ひろ子 瀬戸優子 吉行和子 優子の旦那 橋爪功 甲滝五四朗 三浦友和

       國村準

長年の家政婦 中村玉緒

黄泉の国の駅員 飯田基祐

      

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 17 「すりきりと なにこそたたれ 酒くらい いつもまれなる 残ももちける」九丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 17 九丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

九丁裏 

とし頃とりつくる数人のあたひとりに来り

けれは、皆すましけり、さて、酒屋

  すりきりと なにこそたたれ 酒くらい

  いつもまれなる 残ももちける

上戸返し

  けふこずハ 明日はよそへそ やりなまし

  やらすハありとも 肴かハまし

 

 

九丁裏 

年頃、取り作る数人の値、取りに来たり

ければ、皆済ましけり、さて、酒屋

  すり切りと 何こそ絶たれ 酒くらい

  いつも稀なる 残りも持ちける

上戸返し

  今日来ずは 明日はよそへぞ やりなまし

  やらずは有りとも 肴かはまし

  

 

皆済ましけり

 無一文だが、皆払ってしまった。

すり切り

 無一文で有名だが

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  すりきりと なにこそたたれ 酒くらい

  いつもまれなる 残ももちける

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あだなりのと 名にこそたてれ櫻花

  年にまれなる 人も待ちけり

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  けふこずハ 明日はよそへそ やりなまし

  やらすハありとも 肴かハまし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  けふ来ずは 雪とぞ降りなまし

  消えずはありとも 花と見ましや

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 18 「なまなりの すしをハ五ツしら菊の 枝になりつゝ ふらめくとみゆ」九丁裏 十丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 18 九丁裏 十丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

左右

九丁裏 十丁表

◯をかし、なまなりをつけける女有りけり、男ちかう有

けり、女、歌よむ人なるけれハ、心見にとて、菊の花のう

つくしきをしきて、男のもとへやる

  なまなりの すしをハ五ツしら菊の

  枝になりつゝ ふらめくとみゆ

男しらすよみける

  くさりつゝ にほふかうへに なまなりハ

  くれける人の ものの香とみゆ

 

九丁裏 十丁表

◯おかし、「なまなり」を漬けける女有りけり、男近う有

けり、女、歌詠む人なるければ、心見にとて、菊の花の美しき

を敷きて、男の元へやる

  なまなりの 鮨をは五ツ(いつつ)白菊の

  枝になりつつ ぶらめく と見ゆ

男知らず、詠みける

  腐りつつ 匂う香べに なまなりは

  くれける人の 物の香と見ゆ

  

なまなれ(なまなり)

 当時の、酢に長くつけておいて、飯を腐らせて魚を食べたものに対して、半熟の寿司を言った。

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  なまなりの すしをハ五ツしら菊の

  枝になりつゝ ふらめくとみゆ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  紅ににほふ はいづら白雪の枝もとをゝに降るかとも見ゆ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  くさりつゝ にほふかうへに なまなりハ

  くれける人の ものの香とみゆ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  紅ににほふ がうへの白菊はおりける人のそでかとも見ゆ

 

映画『No Mercy   聖女/Mad Sister』

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写真は中国 雲南省の歌手

 

 

  映画『No Mercy   聖女/Mad Sister』

 

 映画『No Mercy   聖女/Mad Sister』を見た。

 キーポイントは、赤いワンピースと赤く細いハイヒール。

 知能的に成長の遅い妹が、

「お姉ちゃんが送ってくれたお金を貯めて、買ったのよ。」

と屈託のない笑顔。この「お姉ちゃんが送ってくれたお金」という言葉も重要ポイント。

 姉は始終この赤の鎧(ワンピース)と凶器(細いハイヒール)により慈悲なく妹をいたぶった敵(男たち)を追い、痛めつけていく。

 容赦無く突き進んだ姉役と、知能的に少し問題のある妹役を演じた二人の女優の演技が見事であった。

 

 題名は日本では『聖女/Mad Sister(無謀な姉妹)』になっている。原題では『No Mercy(慈悲はない)』

 私は映画を見て、原題では『No Mercy(慈悲はない)』の方がより的確だと感じた。

 

 この映画は見て良かった。迫力があり、面白いと感じた。

 

 

Mad Sister(無謀な姉妹)

No Mercy (慈悲はない)wowow HP ▼ 原題/No Mercy 制作年/2019 制作国/韓国 内容時間(字幕版)/94分 監督 イム・ギョンテク 脚本 イム・ギョンテク 脚本 キム・ミン 撮影 オ・ジョンギュン 撮影 ナム・ジナ 音楽 チョン・チェウン

【キャスト】
イ・シヨン、イ・ジュニョク、パク・セワン、チェ・ジンホ、イ・ヒョンチョル、キム・ウォネ、クァク・ミンソク、キム・ギム、ユン・ソンア、キム・ジョンパル、アン・セハ、ソル・ジョンファン、イ・ジャウン、ミン・イェジ、イ・サンフン、ク・ヘリョン、イ・グムジュ

妹を誘拐されたヒロインが妹を捜すうち、犯罪者たちと激烈なバトルを繰り広げていく、韓国のハードバイオレンスアクション。主演はボクシングが得意な美人女優イ・シヨン。

韓国で映画とドラマの両方で活躍するイ・シヨンだが、一方では48キロ以下級女子ボクサーとして韓国代表入りをしたほどの高い身体能力を持つ。そんな彼女が妹を取り戻すために全力を注ぎ、男たちを相手に大暴れするヒロイン役を、赤いドレス姿で熱演。ヒロインが敵を倒すとさらに凶暴で強力な敵が現われるが、彼女がそれに負けじと怒りを爆発させていく展開はシンプルながらも実に痛快。同じ韓国のアクション映画でいうと「悪女/AKUJO」を思い出す人が多そうだが、本作のヒロインも思わず応援したくなるもの。

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 19 「あま酒の 味にも人のなりゆくか きのふにけふハ かハるものから」十丁表 十丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 19 十丁表 十丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

十丁表 

◯をかし男、都人なりける女のかたに、五十はかりなり

ける人を、あひ知たりけるほともなく、かれにけり、

おなし所なれは、女のめにハみゆる物から、男ハわか物

かとも思たらす、女

  あま酒の 味にも人のなりゆくか

  きのふにけふハ かハるものから

と詠めりけれハ、男かへし、

十丁裏

  甘酒の 味見飲みしるふる人は

  吾ゐる宿の やまの神なり

とよめりけるハ、ま男ある人となん

 

十丁表

◯おかし男、都人なりける女の方に、五十ばかりなり

ける人を、相知りたりけるほども無く、離(か)れにけり、

同じ所なれば、女の目には見ゆる物から、男は、我が物

かとも思たらす、女

  あま酒の 味にも人のなりゆくか

  昨日に今日は 変わる物から

と詠めりければ、男 返し、

十丁裏

  あま酒の 味を飲み知るふる人ハ

  吾居る宿の 山の神なり

と詠めりけるは、間男有る人となん

 

かれにけり

 離(か)れにけり

わか物

 我が物

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あま酒の 味にも人のなりゆくか

  きのふにけふハ かハるものから

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  天(あま)雲の よそにのみして ふることは

  さすがに目には 見ゆるものから

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あま酒の あちをのみしるふる人ハ

  吾ゐる宿の やまの神なり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  天(あま)雲の よそにのみしてふることは

  わがゐる山の 風はやみなり

 

『伊勢物語』岩波古典文学大系9

  天(あま)雲の よそにのみして ふることは

  さすがに目には 見ゆるものから

『古今』恋五 紀有常女  『伊勢物語』岩波古典文学大系9 頭注

  空の雲のようにあなたはよそよそしくなってしまわれますね。そういうもののお姿はよく見えますのに、よそよそしい。

 

『伊勢物語』

  天(あま)雲の よそにのみしてふることは

  わがゐる山の 風はやみなり

『古今』恋五 業平 初二句  『伊勢物語』岩波古典文学大系9 頭注

  ゆきかえり 空にのみして

  『業平集』も『古今』と同じ

  空の雲のようによそよそしくしてばかり月日を送って入りばかりなのは、自分のかえりを止めるべき山(女)の風がはげしいから。女には男があるからとの意を寓した。

 

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 20 「君かため たハえる米は はるながら  かくこそあきの もみちしにけり」十丁裏 十一丁表

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 20 十丁裏 十一丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

左右

十丁裏 十一丁表

◯をかし男、山家にある女を見て、むかへてあひにけり、

さて、ほとへて、親の里へ帰ける、弥生ハかりに麦

手の米おほうおひて、男の元に、米かせと里

よりいひやりけれハ、男

  君かため たハえる米は はるながら

  かくこそあきの もみちしにけり

とて、籾をなん、やりたるけれハ、つきてなん くれで

とて、女

  いつのまに ひきて籾をくれぬらん

  君か里には 臼なり鳴らし

 

十丁裏 十一丁表

◯おかし男、山家に在る女を見て、迎えて会いにけり、

さて、程経て、親の里へ帰ける、弥生ばかりに、麦

手の米 多う負うて、男の元に、米貸せと里

より言いやりければ、男

  君がため 束える米は はる ながら

  かくこそ秋の 紅葉(もみぢ)しにけり

とて、籾をなん、やりたるければ、つくてなん くれで

とて、女

  いつの間に ひきて籾をくれぬらん

  君か里には 臼なり鳴らし

 

 

 

たハえる

 貯ばえる

ひきて

 臼でひいて

臼なり鳴らし

 臼がないらしいですね

君かため たハえる米は はるながら かくこそあきの もみちしにけり

 はるながら→あき

 あき 飽き→ もみちしにけり

つくてなん くれで 掛詞

→いつの間に ひきて籾をくれぬらん 君か里には 臼なり鳴らし

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  君かため たハえる米は よて(ママ はるか)ながら

  かくこそあきの もみちしにけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  君がためた をれる枝は春ながら 

  かくこそ秋の もみぢしにけれ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  いつのまに ひきて籾をくれぬらん

  君か里には 臼なり鳴らし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  いつの間に うつろふ色のつきぬらん

  君が里には 春なかるらし

 

 

 

 


映画『図書館戦争』

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天神祭にて

 

 

 映画『図書館戦争』

 

 国民を度外視した国家機関対国家機関の戦争という対立に、図書館というだけではなく色々な場合を想像して、身震いした。

 岡田順一は、適役だと感じる^^

 

朝、多くを書いていたが、コーヒーを入れるため席を立つと、書いたものが全て消えていた。消えていて良かった。今日も、穏やかに生きる 柔鳥^^

 

なんとなく …パン焼き

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 このブログを開設した頃は、毎日毎日飽きもせでパンをやき、代わり映えもせず、パンの記録を載せていた。

 おかずパンやピザや食パンやクロアッサン

 あまりにもパンを焼きすぎて、機械がはげ、早い段階で二代目のパン焼き器を購入していた。

 

 すでに早い段階でパンのブログ記事は削除してしまったが、まだご存知の方もいらっしゃると思う^^

 

 最近になってパンを頻繁に焼いている。

 だいたい、食パンが多いが、ここ十日間で美味しかったものは

  

  くるみパン

  アーモンドパン

  レーズンパン

  チーズパン

  刻みパセリと黒胡椒のパン

  三色豆&枝豆&コーヒーのパン

 

 水分とバターとラカントを分量よりも少し多めに入れると、弾力性はあり柔らかく、ミミというには忍びない皮まで美味しいパンが焼ける。

 ちなみに、今流行りの高級食パンも水分が多めで、焼く加減を少し少なめに焼くのがコツらしい。

 

 二代目のパン焼き器も相当使っており、昨日はパンが焼けた後釜が抜けずに往生した。

 しばらくは だましだまし使おうと、ほくそ笑む。

 

 昨日は三色豆&枝豆&コーヒーのパンを焼いたが、コーヒーがほろ苦く、枝豆の色合いだけはピスタチオに似ていて、心弾んだが、お味は枝豆であった^^

 組み合わせ自由でのパン作りは、一斤単位で焼いているので、次々と変わったパンが食べられて楽しいですよ^^v  

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 21 「いてゝ遊(ゆ)かハ 心かるしとわらハれん 世の方西(ほうさい)を 人ハしらねは」十一丁表 十一丁裏 十二丁表 

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 21 十一丁表 十一丁裏 十二丁表 

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

十一丁表 

◯をかし男いと かしけおとろへて、米銭もなかりけり、

さるをいな事をならひて、いさなふ物につきん

よの事をへんと思て、出ておとらんと思て、

鉦(カネ)なとをかふて、顎(あご)にかけける、

  いてゝ遊(ゆ)かハ 心かるしとわらハれん

  世の方西(ほうさい)を 人ハしらねは

とよみをきて、出て申ける、此男、かねをたゝき

おとれど、けしう米をくるへきともおほへねハ

何によりてか、かゝらんと、いといたう申て、いづかたに、もと

めらハんと、門/\に行て、とんつはねつおとれ

と、いつくも ほなしこと、くれさりけれハ、帰入て

左右

十一丁裏 

  おもふ米 くれぬなりけり 銭かねを

  あだにつかひて われやすりきる

といひてながめをり

  ひとはいさ わらひやすらむ われがつら

  水ハかりのみ いとゞやせつゝ

此女、いとひたるくありて、念しわひてにや有

けん、飯をたきけり、

  ひたるさを わするゝ米の めしをたに

  一腹くひて へらせすもがな

返し 

  米のめし めしくふとたに 聞ものならハ

  あまりのなくは 汁もすはまし

十二丁表

/″\ありしとて、飯くひて、男

  おとらんと おもふ心の うた念仏

  あるき/\も、申しぬるかな

返し

  なかき日に 立はる脛(スネ)のくたひれハ 

  かふかひなきも なりにける鉦(カネ)

とハいひけれと、をのか欲にて有りけれハ、有徳に

成にけり

 

十一丁表 

◯おかし男いと傾げ衰えて、米銭も無かりけり、

去る追いな事を習いて、いざ のう物につきん、

世の事を変と思て、出出て劣らんと思て、

鉦(カネ)なとを買うて、顎(あご)に掛けける、

  出でて行(遊 ゆ)かば 心軽しと笑われん

  世の方西(ほうさい)を 人は知らねば

と詠みを聞きて、出でて申しける、此男、鉦を叩き

踊れど、異しう(けしう)米を来るべきとも思えねば

何によりてか、かからんと、いといたう申して、何方に、もと

めらはんと、門門に行きて、飛びつ(とんつ)はねつ 踊れ

と、何處もほなし事、くれざりければ、帰入て

十一丁裏 

  思う米 くれぬなりけり 銭かねを

  あだに使いて 我や すりきる

と言いて眺めおり

  人はいざ 笑い安らむ 我が面(つら)

  水は かりのみ いとどやせつつ

此女、いとひたるく有りて、念しわひてにや有

けん、飯を炊きけり、

  饑さ(ひだるさ)を 忘れるる米の 飯をだに

  一腹食いて 減らすもがな

返し 

  米の飯 飯食うとだに 聞くものならば

  あまりのなくは 汁も吸はまし

十二丁表

まだまだ有りしとて、飯食いて、男

  おとらんと 思う心の歌念仏

  歩き歩きも、申しぬるかな

返し

  長き日に 立わる脛(スネ)のくたびれば 

  買うかい無きも 鳴りにける鉦(カネ)

とは言いけれど、おのか欲にて有りければ、有徳に

成にけり

 

かしけ

 痩せて生気なく

いな事

 風変わりな事、奇妙な事

けしう(異しう)

 どうしても、とても

念しわひて

 念じ詫びて

有徳

 金持ち

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  いてゝ遊(ゆ)かハ 心かるしとわらハれん

  世の方西(ほうさい)を 人ハしらねは

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  出でて去(い)なば 心軽しといひやせん

  世のありさまを 人は知らねば

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  おもふ米 くれぬなりけり 銭かねを

  あだにつかひて われやすりきる

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  思ふかいなき 世なりけり

  年月を あだにちぎりて 我や住まいし

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  ひとはいさ わらひやすらむ われがつら

  水ハかりのみ いとゞやせつゝ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  人はいさ 思ひやすらん 玉かづら

  面影にのみ いとゞみえつゝ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  ひたるさを わするゝ米の めしをたに

  一腹くひて へらせすもがな

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  今はとて 忘るゝ草のたねをだに

  人の心に まかせずも哉

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  米のめし めしくふとたに 聞ものならハ

  あまりのなくは 汁もすはまし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  忘草 植ふるとだに 聞く物ならば

  思ひけりとは 知りもしなまし

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  おとらんと おもふ心の うた念仏

  あるき/\も、申しぬるかな

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  わする覧(らん)と 思ふ心の歌がひに

  ありしよりけに 物ぞ悲しき  

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  なかき日に 立はる脛(スネ)のくたひれハ 

  かふかひなきも なりにける鉦(カネ)

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  中空に 立ちゐる雲のあともなく

  身のはかなくも なりにける哉

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 22 「姥(ウバ)ながら 味をかえしもわすれねは かくうまき物 猶そ食ひたき」十二丁表 十二丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 22 十二丁表 十二丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三

 

十二丁表

◯をかし男歯いたくてたべにける物、猶やわすれ

さりけん、老婆(ウバ)のもとより

  姥(ウバ)ながら 味をかえしもわすれねは

  かくうまき物 猶そ食ひたき

十二丁裏 

といへりけれハ、されハよといひて、男

  あいともに 心ひとしきかのしらの

  味噌のなかれす くハしともおもふ

とハ人、その夜、恋(こ)にけり、いにしへ食ひける事

ともなといひて

  あかりこの 椀を織部になすらへて

  八たびくはゞ あく時のあらん

返し

  あかり子の 椀を織部になせるとも

  汁ハ残りて みやはのこらん

いにしへよりあはれて「なん、くらひける

 

十二丁表

◯おかし男、歯痛くて食べにける物、猶や忘れ

去りけん、老婆(ウバ)の元より

  姥(ウバ)ながら 味を変えしも忘れねば

  かく旨き物 猶そ食いたき

十二丁裏 

と言えりければ、「さればよ」と言いて、男

  相共に 心ひとしき かの しらの

  味噌のなかれす 食わしとも 思う

とは、人、その夜、恋(こ)にけり、古(いにしえ)食いける事

ともなと言いて

  あかりこの 椀を織部に準(なずら)えて

  八度食わば 飽く時のあらん

返し

  あかり子の 椀を織部になせるとも

  汁は残りて 實(み)やは残らん

古(いにしえ)より哀れてなん、食いける

 

 

 

織部

 底が浅く、上が広く開いている塗椀。茶人古田織部正重然の創制。

みや實(み)や

 汁に入っている肉

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  姥(ウバ)ながら 味をかえしもわすれねは

  かくうまき物 猶そ食ひたき

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  憂きながら 人をばえしも忘れねば

  かつ恨みつゝ 猶ぞ恋しき

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あいともに 心ひとしきかのしらの

  味噌のなかれす くハしともおもふ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あひ見ては 心ひとつをかわしまの

  水の流れて 絶え時とぞ思ふ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あかりこの 椀を織部になすらへて

  八たびくはゞ あく時のあらん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  秋の夜の 千代を一夜になずらへて

  八千代し寝ばや あく時のあらん

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あかり子の 椀を織部になせるとも

  汁ハ残りて みやはのこらん

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  秋の夜の 千代を一夜になりせとも

  ことば残りて とりや鳴きやん

 

 

映画『MONSTERZ モンスターズ』藤原竜也 山田孝之 中田秀夫監督 2014年

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  映画『MONSTERZ モンスターズ』

 

藤原竜也

山田孝之

2014年

中田秀夫監督

 

 以前にも見た映画『MONSTERZ モンスターズ』をもう一度見て見た。

 全体の筋書きや、藤原竜也、山田孝之ご両人の演技が印象深く、隅々まで覚えていた。

 説明を見ていると、サンペンス・アクションなどと書かれているが、話の展開が深いののか出演者の演技が皆素晴らしいのか、ノン言愛を感じる。

 宿命と言う言葉が、頭をよぎる。

 

 藤原竜也、山田孝之の二人の役者を観て、前者は素晴らしい演技力を感じ、後者は天才という言葉が当てはまると感じた。

 それにしても此の年代、素晴らしい役者が多いと感心すること、仕切りなし。

 

 ネットを観ていると評価は低いものが多かったが、私は此の映画は好きだな^^

 

 

以下はexciteニュース

中田秀夫監督、藤原竜也、山田孝之という日本映画界のトップクリエイターが集結した、サスペンス大作の正式タイトルが「MONSTERZ モンスターズ」に決まり、第1弾ビジュアルが解禁された。

「生まれた時から、眼差しひとつで人間を自由に操れる“男”」を演じるのは、「デスノート」「カイジ」「藁の楯 わらのたて」とヒット作が続く藤原。「唯一、操れない男=終一」を演じるのは、幅広い役で圧倒的な数の映画に出演し、最近作「凶悪」でも高い評価を受けた山田。日本映画界を盛り上げる2人だが、意外にも共演は本作が初めてだ。

今回解禁されたビジュアルは、藤原と山田の2人を大きく捉えたもの。こちらを見つめる凛とした表情と力強い眼差しから、2人それぞれの強い信念を感じさせる。また、いずれも黒い衣装に身を包み、背景も黒一色。2人以外の一切の情報を省いたシンプルさから、彼らに立ちはだかる宿命の大きさ、その闘いのスケール感を想像できる斬新なデザインとなっている。

また、正式タイトル「MONSTERZ モンスターズ」の決定にあたり、本作の佐藤貴博プロデューサーは、「仮タイトルの『MONSTER(仮)』からのバージョンアップとしては、読み仮名にあるとおり『モンスターズ』と複数形になったこと。人間を操ることができるという忌まわしき能力を持った藤原竜也演じる“男”が<MONSTER=怪物>であることは間違いないのですが、その怪物に対峙する山田孝之演じる田中終一も含めて、2人ともが怪物であるということを複数形のタイトルが意味しています。なぜ普通の人間である田中終一も<モンスター>なのか? これは映画本編を観てのお楽しみ!」と“MONSTER”に込めた意味を説明。

そして複数形のSではなく、“Z”としている点については「この2人の闘いと存在が、Z=究極であることも意味しています。また、“Z”の文字は並行する2本の直線と、それに交差する斜線で形成されています。つまり交わるべきではなかった2人の男が出会ってしまう宿命を“Z”が表しています。どちらが勝利するかわからない究極の2人の男の激突、そして何故2人ともが怪物であるのか? という謎が込められたタイトル『MONSTERZ モンスターズ』。映画本編を観た後に、このタイトルの意味がより深く響くはずです。お楽しみに!!!」と決定に至った意図を明かした。

本作の原案は2010年韓国で大ヒットしたオリジナル映画「超能力者」。世界12か国の映画祭に出品された話題作を、強力な日本の布陣で映画化する作品だ。ヒロインには石原さとみを起用。さらに木村多江、松重豊ら演技派がスクリーンを引き締める。

映画「MONSTERZ モンスターズ」は2014年全国ロードショー。


☆「MONSTERZ モンスターズ」ストーリー

ひと目見るだけで、すべての人間を思いどおりに操れる男がいる。その能力をもってすれば、世界を手に入れることも可能なのに、男はたった一人で静かに生きてきた。必要な時だけ力を発揮し、相手は操られたことはおろか、男の存在にさえ気づかない。男はそんな絶望の闇に包まれた孤独な人生が、死ぬまで続くと思っていた。ある男に会うまでは――。

彼の名は田中終一。いつものように男が周りの人間を静止させた時、彼だけが自由に動いていた。見た目は全く普通なのに、いったい何者なのかと愕然とする男。やがて男は「思い通りにならない奴はいらない」と怒りを燃やし、終一を消し去ることを決意する。

一方、終一は男に大切な人を殺され復讐を誓ううちに、男を止められるのは自分だけだと気づき始める。実は終一も、他人とは違う特別な能力を秘めていた。二人の出会いは宿命なのか――今、周囲の人々を容赦なく巻き込む、壮絶な激闘が始まる!

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