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映画『それだけが、僕の世界』 2018年 チェ・ソンヒョン監督 イ・ビョンホン主演

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京大総合博物館にて





 映画『それだけが、僕の世界』

 2018年

 チェ・ソンヒョン監督

 イ・ビョンホン主演

 4.3★

 感動して大泣きに泣いた。



 記録のみにて、失礼いたします。




 イ・ビョンホン主演で、落ちぶれた元プロボクサーの兄と天才的なピアノの腕を持つサバン症候群の弟が織り成す兄弟の絆を描いたヒューマンドラマ。ボクサーとしてかつてはアジアチャンピオンにまで上り詰めたが、40歳を過ぎたいまは落ちぶれ、その日暮らしをしているジョハ。幼い頃から両親と離れ、孤独の中で拳を頼りに生きてきたジョハだったが、ある日、17年ぶりに別れた母と再会。サバン症候群の弟ジンテの存在を初めて知る。天才的なピアノの腕を持つジンテがコンテストに出られるよう、面倒を見てやってほしいと母から頼まれたジョハは、弟の面倒を見始めるのだが……。イ・ビョンホンが、寡黙で粗暴だが人情に厚い兄ジョハを演じた。弟ジンテ役は「太陽を撃て」のパク・ジョンミン。「王の涙 イ・サンの決断」の脚本家チェ・ソンヒョンが、自ら執筆した脚本でメガホンをとり、初監督を務めた。「国際市場で逢いましょう」の監督ユン・ジェギュンが製作を担当。

映画『2012』 ローランド・エメリッヒ監督、脚本 2009年

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 映画『2012』


 ローランド・エメリッヒ監督、脚本

 2009年

 3,5★

 どうしても今の政治的自然的現状(コロナウイルス)と結びつけて見てしまう。



 今回も記録のみにて失礼申し上げます。




 「Time for Miracles」Adam Lambert
 
 

今夜はUriah Heepの気分^^

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 4月1日 外出はこれまで通りに控えるが、長時間はニュースを追わず、できるだけ平常心を保ち、日常を取り戻したい。
 今夜はUriah Heepの気分^^


 
 自分自身に物申す。
 ニュースを追うな!
 日常を取り戻せ。

 明日から、4月からは
 ウイルス対策には気をつけ、
 平常心を保ち、趣味に没頭する。

 ただ、それだけ


 
 “ Sunrise” Uriah Heep

  “ Sunrise”
Sunrise, and the new day's breaking through
The morning of another day without you
And as the hours roll by
No one's there to see me cry
Except the sunrise
The sunrise and you
Tired eyes drift across the shore
Looking for love and nothing more
But as the sea rolls by
No one's there to see me cry
Except the sunrise
The sunrise and you
Sunrise, bless my eyes
Catch my soul, make me whole again
Sunrise, new day heed my song
I'm tired of fighting and fooling around
But from now until who knows when?
My sword will be my friend
And I'll love you...love ya
For all of my time
Sunrise, bless my eyes
Catch my soul, make me whole again
(Repeat)
Sunrise


 
 July Morning live 1973 Uriah Heep

  “July Morning” 
There I was on a july morning
Looking for love
With the strength
Of a new day dawning
And the beautiful sun

At the sound
Of the first bird singing
I was leaving for home
With the storm
And the night behind me
And a road of my own

With the day came the resolution
I’ll be looking for you
La la la la ?-

I was looking for love
In the strangest places
Wasn’t a stone
That I left unturned
Must have tried more
Than a thousand faces
But not one was aware
Of the fire that burned

In my heart, in my mind, in my soul
La la la la ?-

There I was on a july morning
I was looking for love
With the strength
Of a new day dawning
And the beautiful sun

And at the sound
Of the first bird singing
I was leaving for home
With the storm
And the night behind me
Yeah, and a road of my own


“Look At Yourself Live In Budokan 1973”   Uriah Heep

ブログ開設から、5100日です。

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 ブログ開設から5100日が経ちました。
 みなさま、お越し頂きまして
 誠にありがとうございます^^

 「いいね」などをいただいていた皆様に
 心より感謝いたします。
 ありがとうございます。   乱鳥合掌
 
 








『東海道中膝栗毛 初編』外郎(薬)透頂香  【市川海老蔵さん、團十郎襲名披露の延期】

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 数日前にもなるだろうか。
 歌舞伎美人にて、市川海老蔵さんの團十郎襲名披露の延期を知った。
 團十郎の睨みは疫病神を退散させるという。(伝承)
 早く世の中が収まり、襲名披露を迎えることを望む。

 團十郎家の十八番之内の中に、『外郎売』(ういろううり)という演目がある。
『外郎売』は早口言葉の場面も一つの醍醐味^^

『東海道中膝栗毛 初編』によれば、團十郎家の『外郎売』の店は、『東海道名所図会』にも出てくるという。
『東海道名所図会』では、八つ棟も店の図があり、「北条氏網の時、京都西洞院綾小路外郎(ういろう)といふ者、此地に下り、家方透頂香を制して氏網へ献ず。」とある。

『東海道中膝栗毛 初編』では、虎屋藤右衛門で販売した丸薬「外郎」のことを、透頂香という。
 透頂香は、痰を治し、咽喉を守るとされる。
 江戸にも出店があり、市川團十郎家の外郎の口上で宣伝された。
 つまり、芝居の中で外郎(薬)透頂香の宣伝がされたという。

 そういえば、江戸時代、團十郎が根付などをの小物や衣装などを身に付けると、民衆は同じ商品を買い求めたという。
 今のエルメスのようなブランド品といったところかと思う。
 三枡の着物なども着たがる殿方が多かったらしいので、さぞや演目にもなった外郎(薬)透頂香は売れに売れたことであろうと楽しんでいる。

『東海道中膝栗毛 初編』に戻ると、弥次さん北さんたちは、
「な〜んだ、食べ物じゃなかったんだ。薬だったんだ^^」
と、笑いながら、通り過ぎる。 (東海道中膝栗毛 初編  小田原の宿を過ぎた頃の話)
 
 









映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』4,3★  中田秀夫監督 藤原竜也 綾瀬はるか 石原さとみ 北大路欣也

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 映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』4,3★

 2010年
 中田秀夫監督
 鈴木智脚本

 藤原竜也
 綾瀬はるか
 石原さとみ
 北大路欣也

 観客の心を捉えたまま怖がらせ楽しませ、最後はどんでん返し。
 映画館で見ても良いと思える秀作。
 今回も記録のみにて失礼いたします。


 高額の時給につられて謎めいたアルバイトに参加した10人の男女が、恐るべきデス・ゲームを展開。米澤穂信の原作を豪華キャストで映画化した集団サバイバルサスペンス。
 時給11万2000円。7日間の簡単な心理的実験に参加しませんか。そんな求人広告につられて集まった、ワケありの男女10人。しかしそれは、とんだ地獄への片道切符。やがてひとりが死体で発見され、生き残りを懸けた彼らの必死のデス・ゲームがいま始まる! 人気作家・米澤穂信のベストセラー小説を、Jホラー界きっての名匠、「リング」の中田秀夫監督が映画化。藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみ、北大路欣也、片平なぎさ、等々、豪華多彩なキャストが顔をそろえ、息詰まる競演を繰り広げるのが何よりの見もの。   
 (wowow公式HP)



絵入 好色一代男 八全之内  井原西鶴  天和二壬戌年陽月中旬 大阪思案橋 孫兵衞可心板

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 絵入  好色一代男   八全之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板

 

 

『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 【1】  一丁ウ 二丁オ 井原西鶴

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 絵入  好色一代男   八全之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板




 『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 【1】  一丁ウ 二丁オ 井原西鶴




一丁ウ
    悪しき所が恋のはじまり
 桜もちるに嘆き、月ハかぎりありて、入作山(いりさやま)、爰に但馬(たじま)の
 国(くに)、かねほる里の辺(ほとり)に、浮世の事を外になして、色道(しきどう)ふ
 たつに、寝ても覚(さめ)ても、夢介(ゆめのすけ)と、かえ名よばれて、名古(なご)や
 三左(さんざ)、加賀(かが)の八などと、七ツ紋(もん)のひしにくみして、身は
 酒にひたし、一条(でう)通(とほり)、夜更(よふけ)て戻(もと)り橋(はし)、或時(あるとき)ハ若衆(わかしゆ)
 出立(いでたち)、姿(すがた)を加えて、炭染(すみそめ)の長袖(ながそて)、又は、たて髪(かミ)かつら、化物(ばけもの)
 が通(とほ)るとハ、誠(まこと)に是(これ)ぞかし、それも彦七(ひこしち)が顏(かほ)して、願(ねがハ)くハ
 嚙(かミ)ころされてもと、通(かよ)へば、なを見捨(すて)難(がた)くて、其比(そのころ)名高(なたか)き
 中にも、かづらき、かほる、三夕(さんせき)、思ひ/\に身請(みうけ)して、嵯峨(さが)に引込(ひつこみ)
 或は、東山(ひかしやま)の片陰(かたかげ)、又は藤(ふじ)の森(もり)、ひそかにすみ


 

二丁オ
 なして、契(ちぎ)りかさなりて、此うちの腹(はら)より、むまれて
 世之介ト名によぶ、あらハに書(かき)しるす返をなし、しる人ハ
 しるぞかし、ふたりの寵愛(てうあい)てうち/\、髪振(かぶり)の
 あたまも定(さだま)り、四つの手の霜(しも)月ハ、髪(かミ)置(おき)、はかま着(ぎ)の
 春も過て、疱瘡(ほうそう)の神(かミ)いのれば、跡(あと)なく六の年
 へて、明(あく)れば七歳の、夏(なつ)の夜(よ)の、寝覚(ねさめ)の枕(まくら)をのき
 、かねがねの響(ひゞき)、あくひの音(おと)のミ、おつぎの間(ま)に、宿真(とのゐ)
 せしめ、さし心得(こゝろえ)て、手燭(てしよく)ともして、遥(はるか)なる廊下(らうか)を
 轟(とゞろ)かし、ひかし、北の家陰(やかげ)に、南天の下葉(は)しげりて、
 敷(しき)松葉(まつば)に、おしと、もれ行て、お手水(てうず)の、ぬれ縁(ゑん)
 ひしぎ竹の、あらけなきに、かな釘(くき)の、かしらも



 

 





 

『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 一悪しき所が恋のはじまり 【全】  井原西鶴

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 『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 一悪しき所が恋のはじまり 【全】  井原西鶴



一丁ウ
    悪しき所が恋のはじまり
 桜もちるに嘆き、月ハかぎりありて、入作山(いりさやま)、爰に但馬(たじま)の
 国(くに)、かねほる里の辺(ほとり)に、浮世の事を外になして、色道(しきどう)ふ
 たつに、寝ても覚(さめ)ても、夢介(ゆめのすけ)と、かえ名よばれて、名古(なご)や
 三左(さんざ)、加賀(かが)の八などと、七ツ紋(もん)のひしにくみして、身は
 酒にひたし、一条(でう)通(とほり)、夜更(よふけ)て戻(もと)り橋(はし)、或時(あるとき)ハ若衆(わかしゆ)
 出立(いでたち)、姿(すがた)を加えて、炭染(すみそめ)の長袖(ながそて)、又は、たて髪(かミ)かつら、化物(ばけもの)
 が通(とほ)るとハ、誠(まこと)に是(これ)ぞかし、それも彦七(ひこしち)が顏(かほ)して、願(ねがハ)くハ
 嚙(かミ)ころされてもと、通(かよ)へば、なを見捨(すて)難(がた)くて、其比(そのころ)名高(なたか)き
 中にも、かづらき、かほる、三夕(さんせき)、思ひ/\に身請(みうけ)して、嵯峨(さが)に引込(ひつこみ)
 或は、東山(ひかしやま)の片陰(かたかげ)、又は藤(ふじ)の森(もり)、ひそかにすみ

二丁オ
 なして、契(ちぎ)りかさなりて、此うちの腹(はら)より、むまれて
 世之介ト名によぶ、あらハに書(かき)しるす返をなし、しる人ハ
 しるぞかし、ふたりの寵愛(てうあい)てうち/\、髪振(かぶり)の
 あたまも定(さだま)り、四つの手の霜(しも)月ハ、髪(かミ)置(おき)、はかま着(ぎ)の
 春も過て、疱瘡(ほうそう)の神(かミ)いのれば、跡(あと)なく六の年
 へて、明(あく)れば七歳の、夏(なつ)の夜(よ)の、寝覚(ねさめ)の枕(まくら)をのき
 、かねがねの響(ひゞき)、あくひの音(おと)のミ、おつぎの間(ま)に、宿真(とのゐ)
 せしめ、さし心得(こゝろえ)て、手燭(てしよく)ともして、遥(はるか)なる廊下(らうか)を
 轟(とゞろ)かし、ひかし、北の家陰(やかげ)に、南天の下葉(は)しげりて、
 敷(しき)松葉(まつば)に、おしと、もれ行て、お手水(てうず)の、ぬれ縁(ゑん)
 ひしぎ竹の、あらけなきに、かな釘(くき)の、かしらも

二丁ウ
 御こゝろもとなく、ひかりなを、見せまいらすれば、「其火
 けして、近くへ」と、仰(おほせ)られける、「御あしもと、大事
 がりて、かく奉(たてまつ)るを、いかにして、闇(くら)がりなしてハ」と、御言(こと)
 葉(ば)をかへし申せば、うちうなづかせ給ひ、「恋(こひ)は
 闇(やミ)と、いふ事をしらずや」と、仰られける程(ほと)に、御まもり
 わきさし持(もち)たる女、息ふき懸(かけ)て、御のぞみに、なし
 たてまつれば、左(ひだり)のふり袖を引たまひて、「乳母(うば)は
 いぬか」と、仰らるゝこそ、おかし、是をたとへて、あまつ
 浮橋(うきはし)のもと、まだ本(ほん)の事(こと)も定まらして、はや
 御こゝろさしハ、通(かよ)ひ侍ると、つゝまず、奥さまに申て
 およろこびの、はしめ成べし、次第に、事つのり

三丁オ
 日を追(お)つて、仮には、姿(すかた)え(ゑ)の、おかしきをあつめ、おほくハ
 文車(ふくるま)も、みぐるしう、此(この)菊(きく)の間へハ、我よばたるもの、まい
 るなゝどゝ、かたく関(セき)すえらるゝこそ、こゝろにくし、或(ある)「」
 時は、おり居(そえ)を、遊ばし、「比翼(ひよく)の、鳥(とり)のかたちハ、是ぞ」
 と、給ハりける、花つくりて、梢(こずへ)にとりつる、「連理(れんり)は
 是、我にとらする」と、よろつに、つきて、此事をのみ
 忘(わす)れず、ふどして、人を頼(たの)まず、帯(おび)も、手づから、前(まへ)に
 むすびて、うしろに、まハし、身(ミ)にへうべきやう、袖に
 焼(たき)かけ、いたづらなる、よせい、おとなも、はづかしく、女の
 こゝろを、うごかさせ、同し友(とも)と、まじハる事も
 烏賊(いか)のぼせし、空(そら)をも見ず、「雲(くも)に、懸(かけ)はしとは、

四丁ウ
 むかし天(てん)へも、流星人(よばいど)あリや、年に、一夜のほし
 雨)(あめ)ふりて、あはぬ時(とき)の、こゝろハ」と、遠(とを)き所(ところ)までを、悲(かな)しミ
 こゝろと、恋(こい)に、責(せめ)られ、五十四歳まで、たはふれし女
 三千七百四十二人、少人のもてあそび、七百二十五人
 手に日記(につき)にしる、井筒(ゐつゝ)によりて、うないこより、己(この)来(かた)
 腎水(ぢんすい)を、かえほして、さても命ハ、ある物か
 5.jpg 


 たはふれし女 三千七百四十二人
 (在原業平が戯れた女が、三千七百四十二人)
  ↓
  『井筒』

『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2-1、2、3】  井原西鶴

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 絵入  好色一代男   八全之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板


 『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2-1、2、3】  井原西鶴

 
   はづかしながら文言葉(ふみことば)
文月七日の日、一とせの埃(ほこり)に、埋(うづもれ)し、かなあんどん
油(あぶら)さし、机(つくへ)、硯(すゞり)石(いし)を、洗(あら)ひ流(なが)し、すみわたりたる
瀬ゞの、芥(あくた)川となしぬ、北ハ金竜寺(こんりうじ)の、入相(いりあひ)のかね
八才の宮の御歌(うた)もおもひ出され、世之介も、はや
小学(せうかく)に、入べき年なればとて、折ふし、山崎(やまざき)の叔(おじ)の
もとに、遣(つかハ)し置(をき)けること幸(さいはい)、むかし宗観法師(そうかんほうし)の
一夜庵(やあん)の跡(あ)とて、住(すミ)そゝきたる人の、滝本流(たきもとりう)を
よくあそはし来る程(ほど)に、師弟(してい)のけいやくさセて、遣(つかハ)し
けるに、手本紙(てほんかミ)さゝげて、「はゞかりながら、文章(ぶんしやう)をこの
まん」と申せば、指南坊(しなんぼう)、おどろきて、「さハいへ、いかゞ

 
書くべし」と、あれば、今更(いまさら)馴/\しく、御入候へ共、たへかねて
申まいらせ候、大形(おゝかた)目つきにても、御合点(かつてん)有べし
二三日跡に、姨(おば)さまの、昼寝(ひるね)をなされた時、此方の糸(いと)
まきを、あるともしらず、踏(ふミ)わりました、「すこしも
くるしう、御さらぬ」と、御腹の、立さうなる事を、腹(はら)
御立(たて)ひハぬハ、定而(さためて)、おれに、しのふで、いゝた事が
御座るか、御座るならば、聞(きゝ)まいらせ、候べしと、永/″\(なが)
と、申程(ほど)に、師匠(しセう)も、あきてはてゝ、是迄(これまで)ハ、わざと
書(かき)つゞけて、「もはや鳥(とり)の子も、ない」と、申されけれは
「然(しか)らは、なお/\書(かき)を」と、のぞみける、又重而(かさねて)たよりも
有べし、先是(これ)にて、やりやれと、大形(かた)の事(こと)ならねバ

 
わらハれもせず、外にいろはを書て、是をならハせ
ける、夕陽(セきやう)端山(はやま)に、影くらく、むかひの人来(きた)りて
里にかへれば、秋(「禾に亀」(あき))の初風(はつかぜ)はげしく、しめ木(き)に、あらそひ
衣(ころも)うつ、槌(つち)の音(をと)。物(もの)かしましう、はしたの女(おんな)
まじりに、絹(きぬ)ばり、しいしを、放(はづ)して、恋(こひ)の染(そめ)ぎぬ
是ハ、御りやうにんさまの、不断着(ふだんき)、此(この)なでしこの
腰形(こしかた)、口なし色(いろ)の、ぬしや誰(たれ)と、たづねけるに
「それハ、世之介の、お寝巻(ねまき)」と、答(こた)ふ、一季(ひとき)おりの
女、そこ/\に、たくみ懸(かけ)、「さもあらば、京(きやう)の水(ミづ)てハ、あら
はいで」と、のゝしるを聞て、「あか馴(なれ)しを、手に懸(かけ)さすも
たびハ人の情(なさけ)」と、いふ事あり」と、申されければ
 
  

アマビエ  当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃  病流行、早々私写シ人々二見セくれ

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   アマビエ(半人半魚 人魚)

   当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃
   病流行、早々私写シ人々二見セくれ

  

 肥後国海中へ毎夜光物出ル、所の役人行
 見るニ、づの如く者現ス、私ハ海中ニ住申アマビエト申
 者也、当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃
 病流行、早々私写シ人々二見セくれと
 申て海中へ入けり、右(ママ)写シ、役人より江戸へ
 申来ル写也
        弘化三年四月中旬  




 当年より六ケ年の間諸国豊作也
   五穀豊穣が六年続く。
 侃
 病流行、早々私写シ人々二見セくれ
  「病が流行るので、早く私を描き写して 云々」
  
 役人が写して江戸に事情を話し、持って来た絵図(写)です。

  
 づの如く者=図の如く者
 侃=ただし
 右(ママ) =左の間違い
 弘化=日本の元号の一つ。天保の後、嘉永の前。
     1845年[1]から1848年までの期間を指す。
     この時代の天皇は仁孝天皇、孝明天皇。
     江戸幕府将軍は徳川家慶。  (ウィキペディア引用)

 
 妖怪アマビエが描かれた江戸時代の瓦版(京都大付属図書館所蔵)

アマビエって、半人半魚、人魚だね^^  (昨日のつづき)   STOP!感染拡大(厚労省)

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   STOP!感染拡大(厚労省)

 
   アマビエ(半人半魚 人魚)

   当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃
   病流行、早々私写シ人々二見セくれ

 
 妖怪アマビエが描かれた江戸時代の瓦版(京都大付属図書館所蔵)

 肥後国海中へ毎夜光物出ル、所の役人行
 見るニ、づの如く者現ス、私ハ海中ニ住申アマビエト申
 者也、当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃
 病流行、早々私写シ人々二見セくれと
 申て海中へ入けり、右(ママ)写シ、役人より江戸へ
 申来ル写也
        弘化三年四月中旬  


 厚労省の絵を見て、人魚を度々読まれて入る方のページを思い出した。
 その方の記事の中にはたまたま「アマビエ」がなかったので、今回下を読んでみた^^
 そんな単純な動機^^v
 アマビエ  当年より六ケ年の間諸国豊作也、侃  病流行、早々私写シ人々二見セくれ


 
 「アマビエ」アイコンに=新型コロナ啓発で―厚労省

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、厚生労働省は13日までに、疫病を払うとされる妖怪「アマビエ」を描いた若者向けの啓発用アイコンをホームページ上で公開した。
 アマビエは、江戸時代に肥後(熊本県)の海から姿を現し、「疫病が流行した際は私の姿を描き、人々に見せよ」と語ったと伝えられる。新型コロナの感染拡大を受け、インターネット交流サイト(SNS)上にイラストなどを投稿する人が相次ぎ、話題となっている。
 若年層は感染しても無症状や軽症の場合が多く、同省の担当者は「自覚がないまま感染を広げる危険性が高いことを知ってもらい、拡大を予防してほしい」と話している。 
 (C)時事通信社 (2020/04/13 14:28)

『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2-4】  井原西鶴

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 絵入  好色一代男   八全之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板


 『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2-4】  井原西鶴




下女(げじょ)、面目(めんぼく)なく、かへすべき、言葉(ことは)もなく、只(たゞ)御ゆるりと
申捨(すて)て、逃(にげ)入(いる)袖(そで)を、ひかえて、「此(この)文(ふミ)ひそかに
おさか殿(との)かたへ」と、頼(たの)まれけるほとに、何心(なにこゝろ)もなう、たて
まつれば、娘(むすめ)更(さら)に、覚(おぼえ)もなく、赤面(せきめん)して、いかなる
御方より、とりてちかはしけると、言葉(ことは)、あらけなきを
、しつめて後(のち)、母親(はゝおや)、かの玉章(たまづさ)を見れば、隠(かく)れもなく
かの、御出家(しゆつけ)の、筆(ふで)とハしれて、「しどもなく、さハあり
なから」と、罪(つミ)なき事に、疑(うたか)ハれて、その事
こまかに、云(いゝ)わけも、なをおかしく、よしなき事に
人の口とて、あらざらむ、沙汰(さた)し侍る、世之介姨(おば)に
むかつて、こゝろの程(ほど)を申せば、何ともなく、今待てハ





『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2- 全 1〜5、絵】  井原西鶴

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 絵入  好色一代男   八全之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板


 『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2- 全 1〜5、絵】  井原西鶴




   はづかしながら文言葉(ふみことば)
文月七日の日、一とせの埃(ほこり)に、埋(うづもれ)し、かなあんどん
油(あぶら)さし、机(つくへ)、硯(すゞり)石(いし)を、洗(あら)ひ流(なが)し、すみわたりたる
瀬ゞの、芥(あくた)川となしぬ、北ハ金竜寺(こんりうじ)の、入相(いりあひ)のかね
八才の宮の御歌(うた)もおもひ出され、世之介も、はや
小学(せうかく)に、入べき年なればとて、折ふし、山崎(やまざき)の叔(おじ)の
もとに、遣(つかハ)し置(をき)けること幸(さいはい)、むかし宗観法師(そうかんほうし)の
一夜庵(やあん)の跡(あ)とて、住(すミ)そゝきたる人の、滝本流(たきもとりう)を
よくあそはし来る程(ほど)に、師弟(してい)のけいやくさセて、遣(つかハ)し
けるに、手本紙(てほんかミ)さゝげて、「はゞかりながら、文章(ぶんしやう)をこの
まん」と申せば、指南坊(しなんぼう)、おどろきて、「さハいへ、いかゞ

書くべし」と、あれば、今更(いまさら)馴/\しく、御入候へ共、たへかねて
申まいらせ候、大形(おゝかた)目つきにても、御合点(かつてん)有べし
二三日跡に、姨(おば)さまの、昼寝(ひるね)をなされた時、此方の糸(いと)
まきを、あるともしらず、踏(ふミ)わりました、「すこしも
くるしう、御さらぬ」と、御腹の、立さうなる事を、腹(はら)
御立(たて)ひハぬハ、定而(さためて)、おれに、しのふで、いゝた事が
御座るか、御座るならば、聞(きゝ)まいらせ、候べしと、永/″\(なが)
と、申程(ほど)に、師匠(しセう)も、あきてはてゝ、是迄(これまで)ハ、わざと
書(かき)つゞけて、「もはや鳥(とり)の子も、ない」と、申されけれは
「然(しか)らは、なお/\書(かき)を」と、のぞみける、又重而(かさねて)たよりも
有べし、先是(これ)にて、やりやれと、大形(かた)の事(こと)ならねバ

わらハれもせず、外にいろはを書て、是をならハせ
ける、夕陽(セきやう)端山(はやま)に、影くらく、むかひの人来(きた)りて
里にかへれば、秋(「禾に亀」(あき))の初風(はつかぜ)はげしく、しめ木(き)に、あらそひ
衣(ころも)うつ、槌(つち)の音(をと)。物(もの)かしましう、はしたの女(おんな)
まじりに、絹(きぬ)ばり、しいしを、放(はづ)して、恋(こひ)の染(そめ)ぎぬ
是ハ、御りやうにんさまの、不断着(ふだんき)、此(この)なでしこの
腰形(こしかた)、口なし色(いろ)の、ぬしや誰(たれ)と、たづねけるに
「それハ、世之介の、お寝巻(ねまき)」と、答(こた)ふ、一季(ひとき)おりの
女、そこ/\に、たくみ懸(かけ)、「さもあらば、京(きやう)の水(ミづ)てハ、あら
はいで」と、のゝしるを聞て、「あか馴(なれ)しを、手に懸(かけ)さすも
たびハ人の情(なさけ)」と、いふ事あり」と、申されければ


下女(げじょ)、面目(めんぼく)なく、かへすべき、言葉(ことは)もなく、只(たゞ)御ゆるりと
申捨(すて)て、逃(にげ)入(いる)袖(そで)を、ひかえて、「此(この)文(ふミ)ひそかに
おさか殿(との)かたへ」と、頼(たの)まれけるほとに、何心(なにこゝろ)もなう、たて
まつれば、娘(むすめ)更(さら)に、覚(おぼえ)もなく、赤面(せきめん)して、いかなる
御方より、とりてちかはしけると、言葉(ことは)、あらけなきを
、しつめて後(のち)、母親(はゝおや)、かの玉章(たまづさ)を見れば、隠(かく)れもなく
かの、御出家(しゆつけ)の、筆(ふで)とハしれて、「しどもなく、さハあり
なから」と、罪(つミ)なき事に、疑(うたか)ハれて、その事
こまかに、云(いゝ)わけも、なをおかしく、よしなき事に
人の口とて、あらざらむ、沙汰(さた)し侍る、世之介姨(おば)に
むかつて、こゝろの程(ほど)を申せば、何ともなく、今待てハ

おもひしに、あすハ妹(いもと)へ、申遣し、京ても大笑ひ
せさせんと、おもふ外へハ、あらハせす、我(わ)か娘(むすめ)なから貌(かたち)も
世(よ)の人並(ひとなミ)とて、去(さる)方(かた)に申合(あハせ)て、つかハし侍る、年たに
大形(かた)ならば、世之介とらすべき、ものをと、心と
こゝろに、何事もすまして、其後(そのゝち)ハ、気付(きつけ)てみるほと
黠(こざか)しき、事にそありける、惣(そう)じて、物毎(ものこと)に、外なる
事ハ、頼(たの)まれても、かく事な彼と、めいわく
せられたる、法師(ほうし)の申されける

  


Zumba(とっても簡単なのに、肩こりと背中痛に効果的^^なズンバ)の後は、Deep Purple3曲を歌い、踊り狂う^^

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 Zumba (肩こりが解消されるかもしれないズンバ)
 
 
 JAY Warm up / ZKTV / Zumba Korea TV / 파주줌바, 일산줌바 홈트
 韓国の方のズンバです^^
 とっても簡単なのに、肩こりと背中痛に効果的^^
 皆さんも、
    踊ってみてみてみ!^^v



 おまけ編
 Zumbaで身体慣らしをした後にDeep Purpleの曲に乗せて踊ると、気分は最高〜〜!
 Highway Starでバンバン踊り、Child In Time でスイングしながら身体をゆすり、Smoke On The Waterでガンガングワングワン踊り狂う。
 歌い踊ると、気分はもう、Highway Starですぜ^^
 そうさ、あたしにゃ、ウイルスだって追っつきっこないんだ!

 私の、最近のストレス解消法の一つでございまする。

 
 Deep Purple - Made in Japan - Highway Star (video)

 
 Deep Purple - Child In Time - 1970

 
 Deep Purple - "Smoke On The Water" LIVE HD - Arena di Verona
 
 

『西鶴集 上』「好色一代男」 日本古典文学大系 47 巻一 一悪しき所が恋のはじまり

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 『西鶴集 上』「好色一代男」 日本古典文学大系 47 巻一 一悪しき所が恋のはじまり

 五十四歳まで、たはふれし女
 三千七百四十二人、少人のもてあそび、七百二十五人
 手に日記(につき)にしる、井筒(ゐつゝ)によりて、うないこより、己(この)来(かた)
 腎水(ぢんすい)を、かえほして、さても命ハ、ある物か

 

 54歳までに戯れた女性は
 3742人 若衆(少年)を遊んだ数は725人
 手日記でしる。井筒(伊勢物語、能楽)のよって、
 腎水(seieki)をかえ干すほどに遊んで、さても命があるものか!



 『西鶴集 上』「好色一代男」 日本古典文学大系 47 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2- 全 1〜5、絵】  井原西鶴

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 『西鶴集 上』「好色一代男」 日本古典文学大系と合わせ読む 47 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2- 全 1〜5、絵】  井原西鶴




はしたの女(おんな)
まじりに、絹(きぬ)ばり、しいしを、放(はづ)して、恋(こひ)の染(そめ)ぎぬ
是ハ、御りやうにんさまの、不断着(ふだんき)、此(この)なでしこの
腰形(こしかた)、口なし色(いろ)の、ぬしや誰(たれ)と、たづねけるに
「それハ、世之介の、お寝巻(ねまき)」と、答(こた)ふ、一季(ひとき)おりの
女、そこ/\に、たくみ懸(かけ)、「さもあらば、京(きやう)の水(ミづ)てハ、あら
はいで」と、のゝしるを聞て、「あか馴(なれ)しを、手に懸(かけ)さすも
たびハ人の情(なさけ)」と、いふ事あり」と、申されければ

下女(げじょ)、面目(めんぼく)なく、かへすべき、言葉(ことは)もなく、只(たゞ)御ゆるりと
申捨(すて)て、逃(にげ)入(いる)袖(そで)を、ひかえて、「此(この)文(ふミ)ひそかに
おさか殿(との)かたへ」と、頼(たの)まれけるほとに、何心(なにこゝろ)もなう、たて
まつれば、娘(むすめ)更(さら)に、覚(おぼえ)もなく、赤面(せきめん)して、いかなる
御方より、とりてちかはしけると、言葉(ことは)、あらけなきを
、しつめて後(のち)、母親(はゝおや)、かの玉章(たまづさ)を見れば、隠(かく)れもなく
かの、御出家(しゆつけ)の、筆(ふで)とハしれて、「しどもなく、さハあり
なから」と、罪(つミ)なき事に、疑(うたか)ハれて、その事
こまかに、云(いゝ)わけも、なをおかしく、よしなき事に
人の口とて、あらざらむ、沙汰(さた)し侍る、世之介姨(おば)に
むかつて、こゝろの程(ほど)を申せば、何ともなく、今待てハ

おもひしに、あすハ妹(いもと)へ、申遣し、京ても大笑ひ
せさせんと、おもふ外へハ、あらハせす、我(わ)か娘(むすめ)なから貌(かたち)も
世(よ)の人並(ひとなミ)とて、去(さる)方(かた)に申合(あハせ)て、つかハし侍る、年たに
大形(かた)ならば、世之介とらすべき、ものをと、心と
こゝろに、何事もすまして、其後(そのゝち)ハ、気付(きつけ)てみるほと
黠(こざか)しき、事にそありける、惣(そう)じて、物毎(ものこと)に、外なる
事ハ、頼(たの)まれても、かく事な彼と、めいわく
せられたる、法師(ほうし)の申されける









 
 絵入  好色一代男   八全之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板


 『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 二はづかしながら文言葉(ふみことば) 【1-2- 全 1〜5、絵】  井原西鶴

   はづかしながら文言葉(ふみことば)
文月七日の日、一とせの埃(ほこり)に、埋(うづもれ)し、かなあんどん
油(あぶら)さし、机(つくへ)、硯(すゞり)石(いし)を、洗(あら)ひ流(なが)し、すみわたりたる
瀬ゞの、芥(あくた)川となしぬ、北ハ金竜寺(こんりうじ)の、入相(いりあひ)のかね
八才の宮の御歌(うた)もおもひ出され、世之介も、はや
小学(せうかく)に、入べき年なればとて、折ふし、山崎(やまざき)の叔(おじ)の
もとに、遣(つかハ)し置(をき)けること幸(さいはい)、むかし宗観法師(そうかんほうし)の
一夜庵(やあん)の跡(あ)とて、住(すミ)そゝきたる人の、滝本流(たきもとりう)を
よくあそはし来る程(ほど)に、師弟(してい)のけいやくさセて、遣(つかハ)し
けるに、手本紙(てほんかミ)さゝげて、「はゞかりながら、文章(ぶんしやう)をこの
まん」と申せば、指南坊(しなんぼう)、おどろきて、「さハいへ、いかゞ

書くべし」と、あれば、今更(いまさら)馴/\しく、御入候へ共、たへかねて
申まいらせ候、大形(おゝかた)目つきにても、御合点(かつてん)有べし
二三日跡に、姨(おば)さまの、昼寝(ひるね)をなされた時、此方の糸(いと)
まきを、あるともしらず、踏(ふミ)わりました、「すこしも
くるしう、御さらぬ」と、御腹の、立さうなる事を、腹(はら)
御立(たて)ひハぬハ、定而(さためて)、おれに、しのふで、いゝた事が
御座るか、御座るならば、聞(きゝ)まいらせ、候べしと、永/″\(なが)
と、申程(ほど)に、師匠(しセう)も、あきてはてゝ、是迄(これまで)ハ、わざと
書(かき)つゞけて、「もはや鳥(とり)の子も、ない」と、申されけれは
「然(しか)らは、なお/\書(かき)を」と、のぞみける、又重而(かさねて)たよりも
有べし、先是(これ)にて、やりやれと、大形(かた)の事(こと)ならねバ

わらハれもせず、外にいろはを書て、是をならハせ
ける、夕陽(セきやう)端山(はやま)に、影くらく、むかひの人来(きた)りて
里にかへれば、秋(「禾に亀」(あき))の初風(はつかぜ)はげしく、しめ木(き)に、あらそひ
衣(ころも)うつ、槌(つち)の音(をと)。物(もの)かしましう、はしたの女(おんな)
まじりに、絹(きぬ)ばり、しいしを、放(はづ)して、恋(こひ)の染(そめ)ぎぬ
是ハ、御りやうにんさまの、不断着(ふだんき)、此(この)なでしこの
腰形(こしかた)、口なし色(いろ)の、ぬしや誰(たれ)と、たづねけるに
「それハ、世之介の、お寝巻(ねまき)」と、答(こた)ふ、一季(ひとき)おりの
女、そこ/\に、たくみ懸(かけ)、「さもあらば、京(きやう)の水(ミづ)てハ、あら
はいで」と、のゝしるを聞て、「あか馴(なれ)しを、手に懸(かけ)さすも
たびハ人の情(なさけ)」と、いふ事あり」と、申されければ

下女(げじょ)、面目(めんぼく)なく、かへすべき、言葉(ことは)もなく、只(たゞ)御ゆるりと
申捨(すて)て、逃(にげ)入(いる)袖(そで)を、ひかえて、「此(この)文(ふミ)ひそかに
おさか殿(との)かたへ」と、頼(たの)まれけるほとに、何心(なにこゝろ)もなう、たて
まつれば、娘(むすめ)更(さら)に、覚(おぼえ)もなく、赤面(せきめん)して、いかなる
御方より、とりてちかはしけると、言葉(ことは)、あらけなきを
、しつめて後(のち)、母親(はゝおや)、かの玉章(たまづさ)を見れば、隠(かく)れもなく
かの、御出家(しゆつけ)の、筆(ふで)とハしれて、「しどもなく、さハあり
なから」と、罪(つミ)なき事に、疑(うたか)ハれて、その事
こまかに、云(いゝ)わけも、なをおかしく、よしなき事に
人の口とて、あらざらむ、沙汰(さた)し侍る、世之介姨(おば)に
むかつて、こゝろの程(ほど)を申せば、何ともなく、今待てハ

おもひしに、あすハ妹(いもと)へ、申遣し、京ても大笑ひ
せさせんと、おもふ外へハ、あらハせす、我(わ)か娘(むすめ)なから貌(かたち)も
世(よ)の人並(ひとなミ)とて、去(さる)方(かた)に申合(あハせ)て、つかハし侍る、年たに
大形(かた)ならば、世之介とらすべき、ものをと、心と
こゝろに、何事もすまして、其後(そのゝち)ハ、気付(きつけ)てみるほと
黠(こざか)しき、事にそありける、惣(そう)じて、物毎(ものこと)に、外なる
事ハ、頼(たの)まれても、かく事な彼と、めいわく
せられたる、法師(ほうし)の申されける

「好色一代男 解説」   「好色一代男」、西鶴の「好色一代男」における特徴、世之介とは

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 「好色一代男 解説」
 『西鶴集 上』「好色一代男 解説」 (日本古典文学大系と合わせ読む 47  井原西鶴)

「好色一代男」
 西鶴の最初の作品
 光源氏を参考にした 
 源氏物語や浮世草紙参考
 筋書きは短編を集めたもの *
 伊勢物語や徒然草や謡曲が投影されている

 全編を一貫した主人公として描かれてない *
 各地の遊里における様々な好色生活を描くことに、重点が置かれている。
 長編と考えるよりも、緻密な短編的構成でつくられている。
 言い換えれば、長編という形式を借りた短編。
 
西鶴の「好色一代男」における特徴
 西鶴は生活の裏表に渡って、遊里や遊女の生活の生活を補足し、出入りする一般庶民の感動と意欲を率直大胆に描いて見せた。
 しかもその文体は古語を新鮮な俗語によって色どり、長年俳諧によって鍛えられたリズミカルな独特な美しさを持っている。
 
 
世之介とは
「好色一代男」の主人公
 大富豪と名高い遊女の間にできた子
 多くの遊び(^^)により親から感動され、放浪の旅
 人生の裏表に精通
 34歳で莫大な遺産を受け、富豪となる
 色道の達人
 女護島目指して出帆し、行方知らずとなる


 
 
  

『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 三 人には見せぬ所 【1】  井原西鶴

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 絵入  好色一代男   八前之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板


『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 三 人には見せぬ所 【1】  井原西鶴




皷(つゞみ)もすぐれて、興(けう)なれども、「跡(あと)より恋(こひ)の責(セめ)くれば」
と、そこ計(ばかり)を、明(あけ)くれうつ程(ほと)に、後(のち)にハ親(おや)の
耳(ミヽ)にも、かしかましく、俄(にわか)にやめさせて、世を
わたる男芸(おとこげい)とて、両替町(りょうかへまち)に春日屋(かすがや)とて、母(はゝ)かた
の所縁(ゆかり)あり、此もとへ銀(ぎん)見習(なら)ふためとて、つかハし
置(をき)けるに、はやしに一ばい三百目の借(か)り手形(てがた)
いかに、欲(よく)の世の中なれは迚(とて)、かす人もおとなげ
なし、其頃(そのころ)九才の、五月四日の事ぞかし、あやめ
葺(ふき)かさぬ流、軒(のき)のつま見越(こし)の柳(やなぎ)しげりて、木下(このした)
闇(やミ)の夕暮(くれ)みぎりに しのべ竹の人除(よけ)に




『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 三 人には見せぬ所 【2】  井原西鶴

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 絵入  好色一代男   八前之内 巻一  井原西鶴
 天和二壬戌年陽月中旬 
 大阪思案橋 孫兵衞可心板



  『絵入 好色一代男』八全之内 巻一 三 人には見せぬ所 【2】  井原西鶴



笹屋敷(さゝやしき)の帷子(かたびら)、女の隠(かく)し道具(たうぐ)を、かけ捨(すて)ながら
菖蒲湯(しやうぶゆ)を、かゝるよしして、中居(なかゐ)ぐらいの女房(にうばう)、
我(われ)より外(ほか)にハ、松(まつ)の声(こゑ)、若(もし)帰化ば、壁(かべ)に耳(ミヽ)みる
人ハあらしと、ながれはずねの、あとをもはぢぬ
臍(へそ)のあたりの、垢(あか)かき流(なが)し、なをそれよりそこらも
糠袋(ぬかぶくろ)にみだれて、かきみたる湯玉(ゆたま)、油(あぶら)ぎりて
なん、世之介四阿屋(あつまや)の、棟(むね)にさし懸(かゝり)、亭(ちん)の遠眼鏡(とをめかね)
を取持(とりもち)て、かの女を偸間(あからさま)に見やりて、わけなき事
どもを、見とがめ、ゐるこそおかし、興風(ふと)女の目に
かゝれば、いとはづかしく、声(こゑ)をもたてず、手を合せ
拝(おか)めども、顔(かほ)しかめ、指(ゆび)さして笑(わら)へば、たまり


偸間(あからさま)
興風(ふと)



 絵図にも世之介が屋根に登り、女が湯に浸かる様子を遠眼鏡を使って見ている様子が描かれている^^

      人には見せぬ所
皷(つゞみ)もすぐれて、興(けう)なれども、「跡(あと)より恋(こひ)の責(セめ)くれば」
と、そこ計(ばかり)を、明(あけ)くれうつ程(ほと)に、後(のち)にハ親(おや)の
耳(ミヽ)にも、かしかましく、俄(にわか)にやめさせて、世を
わたる男芸(おとこげい)とて、両替町(りょうかへまち)に春日屋(かすがや)とて、母(はゝ)かた
の所縁(ゆかり)あり、此もとへ銀(ぎん)見習(なら)ふためとて、つかハし
置(をき)けるに、はやしに一ばい三百目の借(か)り手形(てがた)
いかに、欲(よく)の世の中なれは迚(とて)、かす人もおとなげ
なし、其頃(そのころ)九才の、五月四日の事ぞかし、あやめ
葺(ふき)かさぬ流、軒(のき)のつま見越(こし)の柳(やなぎ)しげりて、木下(このした)
闇(やミ)の夕暮(くれ)みぎりに しのべ竹の人除(よけ)に

笹屋敷(さゝやしき)の帷子(かたびら)、女の隠(かく)し道具(たうぐ)を、かけ捨(すて)ながら
菖蒲湯(しやうぶゆ)を、かゝるよしして、中居(なかゐ)ぐらいの女房(にうばう)、
我(われ)より外(ほか)にハ、松(まつ)の声(こゑ)、若(もし)帰化ば、壁(かべ)に耳(ミヽ)みる
人ハあらしと、ながれはずねの、あとをもはぢぬ
臍(へそ)のあたりの、垢(あか)かき流(なが)し、なをそれよりそこらも
糠袋(ぬかぶくろ)にみだれて、かきみたる湯玉(ゆたま)、油(あぶら)ぎりて
なん、世之介四阿屋(あつまや)の、棟(むね)にさし懸(かゝり)、亭(ちん)の遠眼鏡(とをめかね)
を取持(とりもち)て、かの女を偸間(あからさま)に見やりて、わけなき事
どもを、見とがめ、ゐるこそおかし、興風(ふと)女の目に
かゝれば、いとはづかしく、声(こゑ)をもたてず、手を合せ
拝(おか)めども、顔(かほ)しかめ、指(ゆび)さして笑(わら)へば、たまり



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