『七十歳死亡法案、可決 』3,9★/5 (幻冬舎文庫) 著者 垣谷 美雨
久々に『七十歳死亡法案、可決 』というタイトルの小背右折を読む。
出だし30ページほどは多少斬新でもあり古典的でもある奇妙さがあり、面白いと感じる。
その後ややもすると奇抜さは半減し、普通の大衆小説と身をかわす。
途中、家族がやきもきし、
「最後、どうなった?」
と訪ねてくる。
それもすのはず、小説のタイトルが相当ショックであったらしい。
家族が尋ねてきたのは、余すとこと20ページといったところ。
起承転結の結を迎えるところであった。
そして待望の結はといえば、オヨヨ。
思った通りの平和的解決。
年寄りは寄付し、年金を変換し、世の為に奉仕。
若きは、年寄りのありがたさを解き始める。
政治家は、『七十歳死亡法案、可決 』を実施前に撤回する。
実社会ならば胸をなでおろすとことであるが、これでは小説としては面白みに欠ける。
しかし著者はめでたしめでたしで問題をうまく押さえ込み、起承転結をうまく描いたと感じているのであろう。
とんだ茶番で、説教の効いた小芝居仕立ての小説であった。
この小説を脚色脚本し、小劇場か芝居小屋で演じたなら、そこそこに笑いあり最後はお涙頂戴で、多くの方は感動しはるのとちゃいますか?
、、、そんな小説であった。
幻冬舎文庫
著者 垣谷 美雨
191ページ
1400円+税
高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!【「BOOK」データベースの商品解説】
2020年、高齢者が国民の3割を超え、日本政府は「70歳死亡法」を強制採決する。2年後に施行を控え、55歳の東洋子は義母の介護から解放される喜びを感じながらも、自らの人生の残り時間に焦燥感を隠せずにいた…。【「TRC MARC」の商品解説】