アベノ(大阪)
『ソクラテスの弁明 クリトン』18 (メレトスくん。どういう積りで君はそんなことを主張するのか。日輪も月輪も神であることを、他の人々のように信じないというのか。)
(『ソクラテスの弁明 クリトン』P.31、32 抜萃)
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「さよう、断固として私は、そう主張する」
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私は神々の存在に対する信仰を教えている。
すると、私自ら神々の存在を信じているわけで、全然たる無神論者ではなく、この点において罪あるもんではないが、ただ私の神々は国家の信ずるところではなく、他の神々を主張するというのか、・・・・・・・・。
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「後者を私は主張する。貴君(メレトス)は総じて神を信じないのだ。」
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メレトスくん。どういう積りで君はそんなことを主張するのか。
そんなら君は私が、日輪も月輪も神であることを、他の人々のように信じないというのか。
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と、ソクラテスは彼(ソクラテスを涜神罪で訴えた三人のうちの一人である)詩人のメレトスに力説している。
力説は続く。
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神霊(ダイモニヤ)の働きは信じるが、神霊(ダイモニヤ)は信じないという人があろうか。
「一人も無い」
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おさらい メレトスとは
メレトス(メレートス、希: Μέλητος, 英: Meletus、生没年不詳)
紀元前5世紀から紀元前4世紀にかけての古代ギリシャのアテナイの詩人。
同国の哲学者プラトンが書いた『ソクラテスの弁明』『エウテュプロン』『テアイテトス』によると、政治家のアニュトス(英語版)やリュコン(ギリシア語版)と共に、詩人の代表としてソクラテスを涜神罪(神を冒涜した罪)で公訴した人物とされる。
『エウテュプロン』によると、彼はピットス区出身の無名の若者であり、髪が真っ直ぐで、髭が薄く、鉤(かぎ)鼻といった容姿をしていたという。
『ソクラテスの弁明』では、法廷中のソクラテスの質疑の相手として登場する。
涜神罪(とくしんざい)
〘名〙 神の神聖をけがすこと。〔改訂増補哲学字彙(1884)〕
※私の詩と真実(1953)〈河上徹太郎〉
シェストフ的不安「この一聯の、敬虔から涜神(トクシン)へ直結する生活感情に私が惹かれたことは」
涜神(とくしん)
神をけがすこと。「涜神行為」
冒涜(ぼうとく)
冒瀆、冒涜は、崇高なものや神聖なもの、または大切なものを、貶める行為、または発言をいう。
価値観が異なる人からすると冒涜の基準が異なるため、ある行為や発言を冒涜と感じるかどうかは各個人によるものである。
通常、性的な意味で戒律など神の教えに背く、または社会のルールを破る場合は背徳といい、区別されている。
参考
『ソクラテスの弁明 クリトン』
プラトン 著
久保 勉 翻訳
岩波文庫 青601-1
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