『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門
早稲田大学デジタルライブラリー
4
わらべもうたふをきけバ。行もちんつ、帰るもちんつ。又くる人
もちんつちりつて。チリテツテ。つねをたのみ、のり合船ハ。かり切
よりも、とくあんづゝみ。ともにへさ気をこぎ付て、よそも
ひとつのふねの内。きやくハ是見よ、顔じまん。やゝ共をれバ
ちハこどの。それにまかせた身の上も。人もはづかし、気づまり
と。小ぎくハ「おかへ、一とびに。ひらりぼうしのふか/″\と。まゆハ
かくせどとりなりの。町でなごやのむな高帯ハ。おさゞに。露
のまかれぬ しまつ さんやう せちべんも。人にこそ
よれ、しなにこそよれつ、もつれつ、みちくさに。人
のことくさア、むつかしく。うるさく にくゝ、いやらしく。我
ともぶねを、小ねまき。これの見さんせナ、あたごの山に
ヨエ。ぢんのけふりが。三すじたつけふりがナ。ちんの。ぢんのけふり
が。三筋たつ、四すじにわかれ。玉ほこの。是よりたつみなら
かい道。うしとらすみハはた道。玉つくりへハ、ひつじさる。にしハ
行もちんつ、帰るもちんつ。又くる人もちんつちりつて。
当時の流行歌。
なごや
名護屋
名古屋
むな高帯
胸高帯
〘名〙 高く胸のあたりにしめた帯。
※浄瑠璃・女殺油地獄(1721)上「町で名古屋のむな高帯」
おさゞ
小笹
しまつ さんやう ぜちべん
始末、算用、世知弁
是よりたつみならかい道。
これより辰巳、奈良街道。
『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作
近松門左衛門 1653-1724
高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]
22cm
竹本筑後掾正本
共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
題簽の一部を欠く 虫損あり
和装
印記:文楽蔵,渡邉蔵書
渡辺霞亭旧蔵
早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334
『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門