恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 90 四十一丁表と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9
富田高至 編者
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
下 90 四十一丁表
四十一丁表
◯をかし、くもれる鏡を、とがてと思ひわびけれは
「あつはれ」とや、ほめけん、さらは「あすときけん」といへり
けるを、限なくうれしく、又、うたかハしかりけれハ、お
ほきなる柘榴(ザクロ)につけて、
さくろ花 けふのみかたもにほふらめ
あなたのみかた あすのの水銀
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
さくろ花 けふのみかたもにほふらめ
あなたのみかた あすのの水銀
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
桜花 けふこそかくもにほふとも
あなたのみがた 明日の夜のこと
水銀(みづかね)→(後世 みずがね)
《後世は「みずがね」とも》
「すいぎん(水銀)」に同じ。
「節ごとに―の露すゑさせて」〈宇津保・国譲上〉