富田高至 編者
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
下 91 四十一丁表
四十一丁表
◯をかし、つり髭をぬくをさへなけく男、三月の晦日方に
をしいかる 鼻のあたりの【毛抜】をハ
ゆるしてたまへ 南無阿弥陀仏
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
をしいかる 鼻のあたりの【毛抜】をハ
ゆるしてたまへ 南無阿弥陀仏
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
おしめども 春の限りのけふの日の
夕暮れにさへ なりにける哉
【毛抜】
実際には、
「金偏に【摂】摂の手偏を抜いたもの」 に 「子」でケヌキ
と読ませている。
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)とは、名号のひとつで「六字名号」のこと。
阿弥陀仏への帰依を表明する定型句である。
「南無」はナモー(namo)の音写語で「礼拝、おじぎ、あいさつ」を意味するナマス(namas)の連声による変化形。
「礼拝」から転じて帰依(śaraṇagamana)を表明する意味に用いられ、「わたくしは帰依します」と解釈される。
「阿弥陀」は、その二つの仏名である「アミターバ(無量の光明, amitābha)」と「アミターユス(無量の寿命, amitāyus)」に共通するアミタ(無量[注釈 2]、amita-)のみを音写したもの。
すなわち「南無阿弥陀仏」とは「わたくしは(はかりしれない光明、はかりしれない寿命の)阿弥陀仏に帰依いたします」という意味となる。
帰依
[名](スル) 神仏や高僧を信じてその力にすがること。
「三宝 (さんぼう) に帰依する」
六字名号
名号(みょうごう)とは、仏・菩薩の称号をさしていう。
名をもって号(さけ)ぶという意味を持つ。
「六字名号」・「九字名号」・「十字名号」などがある。
六字名号
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の六文字をいう。
九字名号「南無不可思議光如来(なむふかしぎこうにょらい)」、十字名号「帰命尽十方無礙光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」に対する。
南無は礼する意で、阿弥陀仏への帰依(きえ)を表す術語。
『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』などに説かれ、この六字名号を唱えることによって、浄土往生(じょうどおうじょう)への目的が達せられるとされる。
真宗ではもっぱら六字名号を本尊としていた。
また転じて死ぬことをもいう。 [佐々木章格]