恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 86 三十八丁裏 三十九丁表 と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9
富田高至 編者
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
下 86 三十八丁裏 三十九丁表
三十八丁裏
◯をかし、いとわるき男、わるき女を相いへりけり、をの/\
親ありけれハ、つらみていひさして、やみにけり、とし
此へて、女のもとに猶心さし晴さんとやおもひけん、
三十九丁表
男歌をよみて、やれりける、
今まてハ わすれぬ人よにもあらし
をのか君さま としのへぬれは
とて、やみにけり、男も女も相はなれぬみやつかへ
になん、出にけり
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
今まてハ わすれぬ人よにもあらし
をのか君さま としのへぬれは
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
今までに わすれる人は世にもあらじ
をのがさま/″\ 年のへぬれば
今まてハ わすれぬ人よにもあらし
をのか君さま としのへぬれは
今までは 忘れぬ人 世にも有らじ
己が君様 年の経ぬれば