絵図は二巻
『年中行事絵巻』35 【巻四 射遣(いのこし)に集う人々】七紙〜九紙 中央公論社 小松茂実編
日本絵巻大成 8 巻四 七紙〜九紙
射遣(いのこし)に集う人々
丹塗りの壁
東雅院に並ぶ、西雅院の壁、築垣
烏帽子、狩衣の二人
かずき姿の女が、蝙蝠(かわほり)扇の間から、前の様子を伺っている。
老僧、稚児のカップル
子供三人が、小弓を奪い合う。
水干姿の男が、手をかざし、その様子を見ている。
丹(タン あか・に)
1 硫化水銀鉱、すなわち辰砂(しんしゃ)の色。あか色。に。 「丹砂・丹朱・丹頂・丹青」 2. 鉛丹。鉛粉を焼いて作った顔料。「黄丹」
築垣
《「つきがき」の音変化。古くは「ついかき」》「築地(ついじ)
築地とは
土で造った塀(へい)。多く屋根をふき,木骨で1間(けん)ごとに柱(須柱)を立て,壁面に横筋をつける。
古くは御所のほかは有職(ゆうそく)の者にのみ許され,格式により筋の数が異なった(5本が最上)。
→関連項目犬走り
蝙蝠(かわほり)扇
《開くとコウモリが羽を広げた形に似るところから》薄い骨の片面または両面に紙を張った扇。
紙には詩歌や絵を描く。扇子。
水干姿
水干とは
水干狩衣 (かりぎぬ) の略。
平安時代後期から江戸時代まで用いられた男子用和服の一種。
初めは庶民のものであったが,のちに公家,さらに鎌倉時代頃からは武家にも用いられるようになった。
着装は盤領 (あげくび) でありながら垂領 (たりくび) にするのが特色。
地は麻布,葛布が多かったが,時代が下るとともに華麗になって平絹,紗,綾を用いた。
また狩衣でありながら,上衣を下袴に着込めるのもこの服装の特色といえよう。