写真は、興福寺(薪能)
謡曲『田村』 元雅と禅竹 能を読む3
『伊勢物語』77「田村の帝」→ 『仁勢物語』77 能楽『田村』を踏まえて
謡曲『田村』
作者不明
金春禅竹の『五音三曲集』(1460)に取り上げられている。
禅竹は某先生(国文学 能楽)の講座で特集を組まれていたので、親しみを感じる。
講座でも、『田村』は取り上げられたように記憶している。
『五音三曲集』解説 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953829/50?tocOpened=1(国会デジタル図書館)
シテ:坂上田村丸の鬼神退治を通して描く、広大な観音の慈悲、そして、御代の安泰。
満開の桜の花を、観音の慈悲だと言い、褒める。
坂上田村丸が施主となり建設した清水出たの由緒を語り、月下の花景色を絶賛。
後ジテで、平城(へいぜい)天皇の宣旨を受け、勢州鈴鹿の鬼神を観音の慈悲によって退治したと言い、観音の仏力を絶賛する。
『田村』の素材
前場 清水
『今昔物語』『清水寺縁起』『元亨釈書』『源平盛衰記』
『元亨釈書』(日本の歴史書)
後場
『幸若舞曲 未来記』『田村草子』
『田村草子』
御伽草子。
〈とししげ〉将軍の子〈としすけ〉がますだが池の大蛇との間にもうけた利仁将軍は,陸奥国たか山の〈あくる王〉という鬼に妻を奪われたが,鞍馬の多聞天の守護をこうむって〈あくる王〉を滅ぼし,妻をとり返す。
その折,陸奥国はつせの郡田むらの郷の賤(しず)の女との間にもうけた子が長じて田村大将軍俊宗となる。俊宗は17歳のとき,大和国奈良坂山で,かなつぶてをうつ〈りやうせん〉という化生のものを退治し,さらに2年後には,伊勢国鈴鹿山の〈大だけ丸〉という鬼神を滅ぼすべしとの宣旨をこうむり,鈴鹿御前という天女を妻とし,その助けによって〈大だけ丸〉を退治する。
霊験的な少年を前ジテにしている能
『田村』『大江山』『猩々』『小鍛冶』『石橋』『舎利』など