恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 71 三十一丁裏 三十二丁表と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9
富田高至 編者
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
下 71 三十一丁裏 三十二丁表
三十一丁裏
◯をかし、男、伊勢の斎宮に、みやつかへしけり、かの宮
の杉といひける女と、わたくし妻夫にて、紙子ぬ
ハせて、よめる、
縫やふる 紙子ハせハくなりぬへし
大宮絹の うらのひろさに
母
こハくとも きてもみよかし紙子をハ
風のみをせる 物ならなくに
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
縫やふる 紙子ハせハくなりぬへし
大宮絹の うらのひろさに
母
こハくとも きてもみよかし紙子をハ
風のみをせる 物ならなくに
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
ちはやぶる 神の斎垣(いがき)も超えぬべし
大宮人の 見まくほしさに
おとこ、
恋しくは 来ても見よかしちはやぶる
神のいさむる 道ならなくに
紙子(かみご)
歌舞伎『川床』と『助六由縁江戸桜』を思い浮かべる^^
こハくとも
強くとも
ごわごわしていても
斎垣(いがき)
《「いかき」とも》神社など、神聖な場所に巡らした垣。
瑞垣 (みずがき) 。玉垣 (たまがき) 。
「ちはやぶる神の―も越えぬべし今は我が名の惜しけくもなし」〈万・二六六三〉