恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 52 二十三丁裏と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9
富田高至 編者
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
下 52 二十三丁裏
二十三丁裏
◯をかし男有けり、人の許より、内理粽(チマキ)をみせたる返しに
ちまきかひ 君ハ残にそまどひける
われは田に出て とるそわひしき
とて、田螺(タニシ)をなん やりける
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
ちまきかひ 君ハ残にそまどひける
われは田に出て とるそわひしき
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
あやめ刈り 君は沼にぞまどひける
我はのに出でて かるぞわびしき
許(もと)
①ゆるす。ききいれる。みとめる。「許可」「許容」
②ほど。ばかり。…くらい。「許多」
③もと。ところ。 [類]処
内理粽(チマキ) (内裏粽)
内裏粽
〘名〙 京都の餠屋川端道喜の製する粽の俗称。 道喜代々は御所の西辺、烏丸(からすま)通上長者町下ルに住み、餠や粽などを禁裏に納めたところからいう。 御所粽。 道喜の粽。 ※咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上 「昔天子粽を御覧じて、一段おもしろきよし、勅諚あれば、それよりして京わらんべども、内りちまきと申しならはし候」