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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 53 二十三丁裏と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 53 二十三丁裏と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9

 



富田高至 編者

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年




下 53 二十三丁裏

 

二十三丁裏

◯をかし男、浴(アい)かたき入湯に浴て、あかゞりなと摩(する)

ほとに、鳥のなきけれ(バ 抜け)

   いかてかは 鳥のなくらんあかゞりを

   そくふ続飯(そくイ)は また夜ふかきに

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊       

  

   いかてかは 鳥のなくらんあかゞりを

   そくふ続飯(そくイ)は また夜ふかきに

 

『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す

 

   いかでかは 鳥のなく覧(らん)人知れず

   思ふ心は まだ夜(よ)深きかな

 

 

浴(あい 逢う)

 浴(ヨク・あびる・あびせる)

 1.水や湯にからだをひたす。  「浴槽・入浴・浴場・海水浴・日光浴」    2.ふろにはいる。  「混浴・浴客」    浴 (日本国語大辞典)    〘他サ下一〙 あび・す 〘他サ下二〙    ① 湯や水などをからだにかぶらせる。    (イ) 湯水でからだを清めさせる。浴びさせる。  ※京大本宇治拾遺(1221頃)一三「念仏の僧に、湯わかしてあびせたてまつらんとて」    (ロ) 湯水などを他にかける。  ※利休客之次第(1587)「にじりのあがりの上に花などをいけて、水をあびせたる人もありし也」    ② 相手に激しく打撃を与える。    (イ) 目的物に砲撃や銃撃を集中的に加える。「十字砲火を浴びせる」    (ロ) 刀で上から切りつける。  ※歌舞伎・浮世柄比翼稲妻(鞘当)(1823)二幕返し「『うぬ権八』トかかる。立廻り、権八、一太刀浴せる」     ^^v『鞘当』    (ハ) スポーツなどで、相手を激しく攻めたてる。「連続ホームランを浴びせた」    ③ 激しい調子の言葉や態度を相手に投げかける。  ※日本橋(1914)〈泉鏡花〉一七「『何だい、盗人猫のやうに、〈略〉』と摺違ひに毒気を浴びせて」    ④ 責任、悪評、難問などを他に負わせる。  ※歌舞伎・絵本合法衢(1810)五幕「勘定しないは家来筋、どうもしないと高を括って、わたしに浴せる気と見えるワ」    ^^v 『絵本合法衢』(えほんがっぽうがつじ 鶴屋南北)    ⑤ 相撲などで相手に自分の体をのしかける。  [語誌]→「あむす」の語誌     〘他バ上一〙 あ・ぶ 〘他バ上二〙    ① 湯、水などを体にかぶる。浴(あ)む。  ※枕(10C終)二五「寝おきてあぶる湯は、はらだたしうさへぞおぼゆる」  ※俳諧・曠野(1689)六「水あびよ藍干(ほす)上を踏ずとも〈釣雪〉」    ② 湯をかぶる。転じて、風呂に入る。  ※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉夏霜枯「ひと風呂あびるから、支度をしてくれ」    ③ 光、ほこりなどを全身に受ける。また、非難、称賛などをまともに受ける。  ※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉前「女房が夕日を浴びて」  ※茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉雄弁家の親孝行「雷のやうな聴衆の喝采を浴(ア)びながら」    ④ 刀、弾丸などで、全身に攻撃を受ける。比喩的に激しく攻撃を受ける場合にもいう。  ※人情本・明烏後正夢(1821‐24)初「ばッさりあびる一太刀の、深手にウ、ウーンと反返る」    ⑤ 大いに飲む。鯨飲する。  ※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六「『〈略〉なぜかこよひは酒がのみたくねへ。お盃ばかり。ハイそれへあげませう』『あがらんのかな』『ナニあびるくらいさ』」      [1] 〘他サ四〙 湯水などをからだにかける。あむす。  ※愚管抄(1220)五「湯わかしてあぶさんとしけるに」    [2] 〘他サ下二〙 →浴ぶせる  [補注]「色葉字類抄」の「浴 アム音欲又アフス 渥沐 (さんずいへんに弓に耳)已上同 又アフス」の例は四段活用か下二段活用かの 判別のできない例である。→「あぶす」の語誌     〘他サ下一〙 あぶ・す 〘他サ下二〙    ① 湯水などをからだにかける。あむす。あびせる。  ※年中行事歌合(1366)一三番「灌仏は〈略〉仏に水をあぶせ奉る也」    ② 責任を他に負わせる。負担をかける。あびせる。  ※浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)下「善次郎は兄にあぶせてかねぬすみ」     〘自サ四〙 水をあびる。水浴する。    ※二十五絃(1905)〈薄田泣菫〉天馳使の歌「『あみす』族(やから)の裸子(はだかご)は、椰子の木かげに腹這ひて」    [1] 〘他マ上二〙  ① 湯や水などをあびる。あびる。  ※古今(905‐914)離別・三八七・詞書「源のさねが、筑紫へ湯あみむとてまかりける時に」  ※人情本・清談若緑(19C中)四「何とぞ無事になさしめ給へと、密に起て水を浴(ア)み」    ② 光などをいっぱいに受ける。  ※有楽門(1907)〈森鴎外〉「日光を浴(ア)みたる白き掌(たなぞこ)は」    [2] 〘他マ四〙 (一)に同じ。  ※書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「穴穂天皇、沐浴(みゆアマ)むと意(おぼ)して山宮に幸(いでま)す」    [語誌]→「あむす(浴)」の語誌    [1] 〘他サ四〙 湯水などをからだにかける。あびせる。あぶす。  ※万葉(8C後)一六・三八二四「さし鍋に湯沸かせ子ども櫟津(いちひつ)の檜橋より来む狐(きつね)に安牟佐(アムサ)む」    [2] 〘他サ下二〙 (一)に同じ。  ※夜の寝覚(1045‐68頃)二「御湯など召して、姫君にもあむせ奉りて」    [語誌](1)「あむす」から「あぶす」→「あびす」と語形変化したが、第一の変化はmとbとの子音交替によるもので、「あむ」→「あぶ」の変化と軌を一にし、変化の時期は平安時代末期から鎌倉時代と思われる。第二の変化は「あぶ」の上一段化によって、語幹が「あび」で安定したことに伴うもので、室町末期から江戸時代に起こった。    (2)四段活用のほうが古いが、「観智院本名義抄」の「沐浴(アムス)」、「三宝絵‐下」の「大に湯をわかしてあまねく僧にあむす」、「名語記‐八」の「湯水をあむす、如何」などは、(一)か(二)かの判別のできない例である。     〘自マ上二〙 水浴する。    ※東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)二四「人有りて大海に在りて浴(カハム)」     〘名〙    ① 水や湯などにひたること。  ※魚玄機(1915)〈森鴎外〉「眉目端正な顔が、迫り視るべからざる程の気高い美しさを具へて、新に浴(ヨク)を出た時には、琥珀色の光を放ってゐる」    ② 物体をある温度に保つこと。また、その媒体。あるいはその容器を含めていう。液体を用いた水浴、油浴は実験室での間接加熱にしばしば用いられる。     〘自サ変〙 よく・す 〘自サ変〙    ① 入浴する。水や湯をあびる。水や湯につかる。  ※史記抄(1477)一四「言は流水に浴してつよく寒て寒さがやうたれば大に熱してから病出たぞと云たれば」    ② 日光などを身に受ける。  ※土(1910)〈長塚節〉二「おつぎは庭蓋の上に筵を敷いて暖かい日光に浴しながら切干を切りはじめた」    ③ 恩徳などの中に身を置く。恩徳などを、身にうける。ありがたく受ける。  ※吾妻鏡‐治承四年(1180)一〇月二三日「令レ浴二新恩一」  ※シェイクスピア(1952)〈吉田健一〉「次の相手になる幸運に浴するのはカシオの他にないじゃないか」  

 

あかゞり(肉付きに夕に鳥居(形)) (【×皸/×皹】)

 《「あ」は足、「かがり」は、ひびが切れる意の「かかる」の連用形から。元来は足についていったか》あかぎれ。《季 冬》「―をかくして母の夜伽 (よとぎ) かな/一茶」

 胼(肉付きに夕と横市文字のない鳥居(形))胼(ひび)

 

そくふ続飯(そくイ)

 

そくふ

 夜明けを告げる雛

 

続飯(そくイ)→(そくいい)

 続飯飯粒を練って作った粘着力の強いのり

 

 


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