『年中行事絵巻』日本絵巻大成 8-13 【巻一 (かもん)窠文、窠紋、家紋】四十八〜五十紙 中央公論社 小松茂実編
日本絵巻大成 8 四十八〜五十紙
鳥兜(とりかぶと)をかぶった窠文の襖(あお)をつけた楽人
鳥兜(とりかぶと)
1 舞楽の襲装束 (かさねしょうぞく) に用いるかぶり物。鳳凰 (ほうおう) の頭をかたどり、厚紙に金襴 (きんらん) ・紅絹 (もみ) などをかぶせて作る。曲により形式・色彩などが異なる
2 植物(トリカブト)
窠文(かもん) (日本大百科事典)
窠は、元来動物の穴巣を意味しているが、転じて円形の区画を穴巣に見立てて、そのなかに唐花(からはな)が入っている文様を窠文という。
またその形が瓜(うり)を輪切りにしたときの断面に似ているので、木瓜文(もこうもん)とよぶ場合もある。
元来中国の唐代、朝服に用いられた文様の一つであったが、奈良時代に日本に伝わり、のちに公家(くげ)の有職(ゆうそく)文様となる。
この文様は、単独に使用される場合と、霰(あられ)の地文と結び付いて、窠に霰文様となる場合がある。後者は中世以後の表袴(うえのはかま)や裳(も)に多く使用される。[吉村元雄]
窠
窠紋に同じ。
窠紋 (大辞林)
有職文様の一。円弧を花弁のように四、五個輪につなぎ合わせた形。中に唐花や鳥を配する。
鳥の巣の形とも瓜を輪切りにした形ともいう。御簾みすの帽額もこうの装飾に用いられるので帽額紋ともいい、「木瓜もつこう紋」ともいう。
窠。
家紋
そもそも家紋制度は、戦前は旧民法の下、「家制度」が存在しており、自家の家紋が入った紋付袴が日本の正装とされていた。
家紋付きの着物や羽織、小物など多く見られ、仏壇に家紋が付いている場合がある。
しかし戦後から日本で西洋化が一段と進んだ結果、家紋は古典的なものとして考えられるようになり、今では家紋が入っているものといえば墓石が代表的なものになっている。
さらに昨今ではお墓を持つ方も減ってきているため、自分の家紋が入っているものを一切持たず、自分の家紋がわからない方もいらっしゃるらしい。
家紋とは先祖から代々伝えられてきた家を表す紋章で、今風に言えば「我が家のロゴマーク」とも云える。
一方、同じ名字の皆同じ家紋というわけではない。
同じ名字でも出身地や家系・家業などによって様々な種類の家紋が伝わっており、名字は違っていても同じ家紋が伝わっている家も多く存在する。
家紋は名字と合わせて自分の家系やルーツを実感できる親しみやすいシンボルとも云える。
襖(あお)
1 両方の脇(わき)をあけたままで、縫い合わせず、襴(らん)のない古代の上着。
位階相当の色によるものを位襖(いあお)といい、武官の礼服や朝服に用いた。
わきあけのころも。闕腋(けってき)の袍(ほう)。
2 《「狩襖(かりあお)」の略》狩衣(かりぎぬ)。
3 袷(あわせ)の衣。綿を入れたものもある。襖子(あおし)。