『年中行事絵巻』日本絵巻大成 8-12 【巻一 扈従(こしょう)、翳(かざし)】四十四〜四十七紙 中央公論社 小松茂実編
日本絵巻大成 8
【巻一 後白川上皇の法住寺殿】四十一〜四十四紙
日本絵巻大成 8 四十三〜四十七紙
鳳輦を囲んで、すでに馬から降りた近衛の次将以下、扈従(こしょう)の面々を描く。
赤衣の仕丁二人が、翳(かざし)を高々と上げる。
扈従(こしょう)
[名](スル)貴人に付き従うこと。また、その人。こじゅう。
「殿上人や上達部 (かんだちめ) がなお相当に―していて」〈谷崎・少将滋幹の母〉
扈(コ、したがう、つきそう、はぶびこる、ひろい)
したがう。つきそう。つきしたがう。
主人のお供をする者。従者。
ひろい。広大。
「跋扈(ばっこ)」は、思うままに振る舞うこと。のさばりはびこること。
仕丁 (しちょう) (日本大百科全書)
「じちょう」ともいう。
古代に行われた徭役(ようえき)制度の一つ。
養老令(ようろうりょう)によると、仕丁は50戸ごとに2人が点ぜられ、中央官衙(かんが)で雑役に従ったが、1人は廝丁(かしわで)として炊事を担当した。
仕丁には官粮(かんろう)が支給され、また労役の代償として租税のうち調・庸・雑徭(ぞうよう)が免除された。
仕丁制の起源は大化前代にまでさかのぼり、30戸を単位として2人が点ぜられていたのが、大化改新の際に50戸を単位として点ぜられることになった。
その際、仕丁を養うために各戸から布と米を徴収し、これを庸とよんだ。
この仕丁の庸は、歳役(さいえき)に従事するかわりに庸を出す制度が成立すると、これに吸収された。
しかし718年(養老2)4月に至って、仕丁を出した戸が銭や綿を出す養物(ようぶつ)の制度として復活した。[長山泰孝]
『彌永貞三著『日本古代社会経済史研究』(1980・岩波書店)』
翳(かざし)
1 頭上に掲げて,覆ったり陰を作ったりすること。また,その物。
2 能で,扇を高くかざす型。
3 (「茀」と書く)外からの視線をさえぎるために設けた塀や外の樹木、土手など。城や武家屋敷、御所などにも見られる。
4 翳し文句の略 絵巻物での翳(かざし)は槍のように長い棒状の先に、わらで丸く編んだ飾りをつけ、高く掲げている。