東海道中膝栗毛 三巻 6 九丁裏 十丁表 十返舎一九 通油町(東都) : 栄邑堂, 享和2-文化11
東海道中膝栗毛 三巻
発端,初,後,3-8編 / 十返舎一九 著
十返舎一九 1765-1831
通油町(東都) : 栄邑堂, 享和2-文化11[1802-1814]序
18冊 ; 19cm
滑稽本
書名は発端の巻頭による その他の巻頭書名:浮世道中膝栗毛,東海道中膝栗毛 序題:膝栗毛 題簽書名:浪華見物滑稽膝栗毛 見返し題:東海道中滑稽記膝栗毛,洛中滑稽之記膝栗毛 扉題:中ッ腹五十三次売ッ尻道中之記
序:芍薬亭主人ほか
共同刊行:河内屋太助(大阪心斎橋唐物町)ほか
和装
印記:拾翠艸堂児戯之記
読んでいるのは、早稲田大学 ヘ13 03123 3巻目
九丁裏
(ゑつちうふん)どしであつた、弥二「てめへ、ゆふべ、ふろへはいるとき、
ふんどしをたもとへいれて、それなりに忘れたハ、おか
しい、大かた、けさ、手水(てうづ)をつかつて、顔もそれで
ふいたろふ、きたねへおとこだ、北八「そふよ、どうりこそ
わるぐさい手ぬぐひだとおもつた、弥二「ナニ、ぜんてい
てめへが、あたじけねへから、こんな恥をかくハ、北八「なぜ
弥二「もめんをしめるから、手ぬぐひと取ちがへるハ、コレ
おいらァ、見やれ、いつでも絹のふんどしだ、北八「それだ
十丁表
とつて、やねやがながつぼねのふきかへに行きやァ
しめへし、きぬをしめることもねへす、エヽまゝよ、たびの
はぢハかきすてだ、斯(かう)もあらふる、
手ぬくひと おもふてかふる ふんどしハ
さてこそ恥を さらしなりけり
それより かぶと石をよめる弥次郎兵衛
さがこゝに 脱捨おきし かぶといし
かゝる難所に 降参やして
手水(てうづ)
手水(ちょうず)
手や顔などを洗い清めること。また、そのための水。
出典枕草子 正月に寺にこもりたるは 「半挿(はんざふ)にてうづ入れて」 [訳] 半挿(=湯水を入れて物に注ぐ器)に水を入れて。◆「てみづ」のウ音便。 ながつぼね 大奥 斯(かう) かかる [連体]《「かくある」の音変化》このような。こういう。「斯かる行為は許されない」 かぶと石 神奈川県 湯河原は源頼朝にゆかりがあり、様々な伝説が残っています。頼朝が石橋山の合戦で敗れ、逃れている時に兜を脱いで休息したとされるのが兜石。その形はまさしく頼朝が脱いだ兜にそっくりです。
その近くにあるのが立石で、その姿はまるで地面に立っているかのよう。
頼朝が自らの天下を占うために投げたと言われ、見事に山の中腹に立ったことから運が開け、鎌倉幕府を開くにいたったと言い伝えられています。(湯河原町観光課HP https://www.yugawara.or.jp/sightseeing/753/)
かぶと石
かぶとを脱ぐ
→降参やして
さがこゝに 脱捨おきし かぶといし
かゝる難所に 降参やして