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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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化物和本草 11 八丁裏 九丁表「利欲(りよく)の鳥(とり)」  山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

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 化物和本草 11 八丁裏 九丁表「利欲(りよく)の鳥(とり)」

 山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

 

 

 化物和本草 3巻

 山東京伝作 1761-1816

 葛飾北斎画 1760-1849

 版元 山口屋忠右衛門

 寛政十 (1798)

 18cm

 黄表紙

 読んでいるのは、早稲田大学デジタルライブラリー

 

 

化物和本草 八丁裏

「利欲(りよく)の鳥(とり)」

りよくのとりハふぎの

とみをねがひ、いつもに

うかべるくものうへに

まひあそび、

かしらふたつあつて

ふたごゝろあり、

いつわりのみ おゝく

ひとをまごわす  

   とり

    なり

 

このとりハ

あのしやばにあつて

じひぜんごんの

こたるいたみも

なくわがみに

なくわがみに

とくのつくこと

あれバ、ひとの

なんぎにおよぶ

ことをわきまへず

不義不仁(ふぎふしん)の

きんじを

いさぶりため

いつしやううを

うざい がきのくハたくに

くるしみ

たる事をしらぬ

がうよくのひと

しらて、のち そのこんぱく

 

化物和本草 九丁表

高利(こ売り)のぢごくへおち

このとりとけして

ちううに

まよひくるしむ

なりひとたる

もの、おそれ

つゝしむべし

このとりに

ならぬやうに

こゝろがけ

  たまへ

 

化物和本草 八丁裏

   「はてめづらしい

    とりがとふぞへ

 

化物和本草 九丁表

   「はてめづらしいとりじや

    つかまへてみせものに

    だしたら、十二文の

    ちゃざいハおさへた

    ものじや

      といふが

      これが

      すなハち

      りよくの

      とんなつ

      た

 

挿絵の鳥の背中には次の文字が書かれている。

      不仁

      不義

 

 

じひぜんごん (慈悲善根)

 これも日頃から慈悲善根ら慈じひぜんこんを施して心掛をよくしたお蔭だらうと、精々神信心をいたして居ります。 銭形平次捕物控303

慈悲

 1 《「慈」は、梵maitrī「悲」は、梵karuṇāの訳》仏語。仏・菩薩(ぼさつ)が人々をあわれみ、楽しみを与え、苦しみを取り除くこと。
 2 いつくしみ、あわれむこと。なさけ。

善根 (仏)

 よい報いを生み出す原因としての善行。諸善のもとになるもの。

 

不義不仁(ふぎふしん)

不義 

 1 人として守るべき道にはずれること。また、その行い。
 2 道に背いた関係を結ぶこと。特に、既婚者が配偶者以外と肉体関係をもつこと。密通。「不義をはたらく」
 3 律の八虐の一。師や長官などを殺すこと。

不仁

 仁の道に背くこと。慈愛の心のないこと。また、その人。

「惨酷―の極と云うも過言に非ざる可し」〈福沢諭吉〉

不仁不義 (中国語辞典)

 

きんじ (禁止 きんし)[名](スル)

《古くは「きんじ」とも》

 ある行為を行わないように命令すること。「通行を禁止する」「外出禁止」

 

いさぶり(いさぶる)《品詞》動詞
《標準語》揺すぶる。揺すりうごかす。
《用例》「おい、ハシゴいさぶんないや。きょうていがな」(おい、はしごを揺すぶらないでくれよ。こわいじゃないか)。

 いさぶり(いさぶる)は、鳥取弁。

 

がうよく

 強欲

しらて

 知らで

こんぱく

 困迫

 

このとりとけして

 この鳥と化して

 

鳥と鳥取弁の「いさぶり」

 

 

 

 


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