化物和本草 10 七丁裏 八丁表「金(かね)のなる木(き)」
山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門
化物和本草 3巻
山東京伝作 1761-1816
葛飾北斎画 1760-1849
版元 山口屋忠右衛門
寛政十 (1798)
18cm
黄表紙
読んでいるのは、早稲田大学デジタルライブラリー
化物和本草 七丁裏
「金(かね)のなる木(き)」
かねのなるきハよのなかに
たへてなきものゝやうにおもへども、
さにあらず、みな にん/\の
いへ/\にありて、そのたねをしょぢ
すれどもかぎやうにおこたりつとむる
ととおろそかなるがゆへにしんざい
のぢめん、あれちとなり、
もとでのはたけ こやし、
すけなくたねをまきても
はなさき、みのることなし、
おゝいなるふうきハ
てんにあれとも
小なるふうきハつとむるに
あり、それ/\のすぎわひに
おこたらざるときハ、
あに、かねのなるき、なからんや、
かねのなるきハ、いかなる
ものぞといふに、まづ
あきびとのいゑの
かねのなるきハ、
はなハしんのぞうの
かたちのごとくはハ
ふて かゞみのごとくみハ
そうだんのさまのごとし
化物和本草 八丁表
しよくにんのかねのなるきハ
はなハかんなくずのごとく
はハこてににたり
のみのごときみをむすぶ、
ひやくせうのかねのなるきハ
はなハさうのかねのかさのごとく、
はハすきくハにて
ごゝくのみのりあり、
さむらいのかねの
なるきハ、はなハまとの
ごとく、やのごとし、てつぽう
だまのやうなるみをむすぶ、
士農工商(しのうこうせう)、みな
それ/\にかぎやうの
田畠(たはた)をたがやして
かねのなるきをたくハへ、
たまへかてんかし
これほどの
どうりハ三ツごも
しるととなれども
いわれてみねバ
おとたりあり、
わがからじやくを
わらふひとあらバ
わらい
給へ
化物和本草 八丁表
金のなる木の鉢に書かれた言葉
在
幣
(幣ニ在り)
化物和本草 八丁表 下
ごどもしづかに
してごろう
しやくを
きけ
化物和本草 八丁表 下
なるほど
ごもつとも
なごかう
しゆ
かねのある
きハわれ
しが
いゑに
ござる、
幣
(ぬさ)神前に供える、きぬ。しで。にぎて。ぬさ。