今昔狐夜噺 9 (いまハむかし きつねのよばなし) 七丁裏 八丁表 上、中、下 十返舎一九 画・作
早稲田大学図書館 (Waseda University Library)所蔵
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01216/he13_01216.html
今昔狐夜噺 上,中,下 (合本)
十返舎一九 画・作 1765-1831
1冊(合3冊) ; 18cm
[江戸] : [榎本屋吉兵衛], [寛政9(1797)]
黄表紙
今昔狐夜噺七丁裏
だんじのかたより
このおやの四郎と
そのつていでたりハ
ゆつ□□(欠け)きつね
にて、これまで
かいてうばの
つくりもの
見るやふな
おもいつき
ばかりして
いてもおも
しろく
もない
とみへ
てめい
/\に
やゝわり
をなし、
それ/″\に
けんげんを
するつもり
にて きて
こそ、お
せう
じきの
くわん
けと
今昔狐夜噺八丁表
やらかし
たるなり、
あくも
びやうへ
かげきよも
むしろ、おど
しのよろひに、
ねりまだいこんの
なぎなたをよこたへ
みをのがやきたる
しやれかうべの
かぶとのしころ
をとらへ、「ゑいや」とハ
いわず、うしろへ
そつとひきける
みをの やも、みを
のがれんと、そつと
ひく、たがいに そつと
ひくちからに ふつつりと
きれたるも、どうり、いけの
もをかぶりいたるなり
くびのほね もうででの
ほ□□(欠け)つよくもなん
ともないと わらつて
さゆふへ、ひきしりぞ
今昔狐夜噺七丁裏 中央
こん八の武者が、左手には先が大根の薙刀を持ち、
右手で髑髏の武者を鷲掴みにしてたつ。
「とをからんものハ
おとにもきけ
ちかくハよつて
みをのやが
しころを
つかんで、ぐつ
とひき、「どふだ
はなぢハ」と
まつやしたる
今昔狐夜噺七丁裏 下
「なぎなたも
ふるく
なる
と
けが
はへる
そうだ
今昔狐夜噺八丁表 下
「なむさん、かたなを
へしおつて、とげを
たてたかげきよ、
けぬきがあらバ
かさりやへ
今昔狐夜噺七丁裏
男児の偏り
この親の四郎と
その伝手(つて)出でたる(り)は
ゆつ□□(欠け)狐
にて、是迄
開帳場の
作り物
見る様な
思い付き
ばかりして
いても面白く
も無い、
富へ
てめい
てめいに
ややわり
をなし、
それぞれに
権限を
するつもり
にて、来て
こそ、和尚
次期の
関係と
今昔狐夜噺八丁表
やらかし
たる也、
悪も
びょうへ
景清も
むしろ、脅し
の鎧に、
練馬大根の
薙刀を横たえ
身を逃や 来たる
髑髏の
兜のしころ
を捉え、「えいや!」とは
言わず、後ろへ
そっと引きける
みおの やも、身を
逃れんと、そっと
引く、互いに そっと
引く力に ふっつりと
切れたるも 道理、池の
藻を被り至る也、
首の骨詣での
ほ□□(欠け)強くも
何とも無いと 笑って
作用へ、退きぞ
今昔狐夜噺七丁裏 中央
こん八の武者が、左手には先が大根の薙刀を持ち、
右手で髑髏の武者を鷲掴みにしてたつ。
「遠からんものは
音にも聞け
近くは寄って
身をのやが
し頃を
掴んで、ぐっ!
と引き、「どふだ、
鼻血は」と
待つや、したる
今昔狐夜噺七丁裏 下
「薙刀も
古く
なる
と、
怪我
は減る
そうだ
今昔狐夜噺八丁表 下
「南無三、刀を
圧し折って、棘を
たてた景清、
毛抜きが有らば
飾り屋へ
かげきよ(景清) 宝生流謡曲
●あらすじ
平家没落の後、日向に流された悪七部衛景清を慕って、幼い頃別れた娘の人丸が訪ねてくる。景清は盲目となり老残の身、それを恥じて娘を立ち去らせるが、里人の計らいで対面することになる。 景清は武将としての栄光の日々を追懐し、娘の所望により屋島の錣引きの武勇譚を語る。 父娘の情愛に心惹かれつつも、それを断ち切り、わが跡を弔うようにと言い含めて、永遠の決別をする。
●宝生流謡本 (参考) 内九巻の二 四番目 (太鼓なし)
季節=不定 場所=日向国宮崎 稽古順=奥伝 素謡時間65分(松門節が有名)
素謡座席順 ツレ=従者
ツレ=人丸
シテ=景清
ワキ=里人
『景清』は歌舞伎十八番では馴染みがあるが、残念なことに能楽では見た事が無い。又、『出世景清』もまだ読んでない。
南座では市川海老蔵の『寿三升景清』を見た事があるが、歌舞伎の形式美に則った歌舞伎の醍醐味が感じられる、台詞が少なめの芝居であった。
練馬大根
大根役者
演技力のない役者、芸のまずい役者をあざけっていう語。大根。
[補説]語源については、大根の根の白いことを素人 (しろうと) に寄せていったもの、へたな役者を意味する「馬の脚」の脚から連想していったもの。 大根はどのように食べても腹を壊さないので、へたなことと掛けて「当たらない」の意でいったもの、など諸説がある。 練馬大根おぉお〜、まさしく(江戸時代から)
大根役者か(^^)
けぬき 『毛抜』の歌舞伎十八番。
「なむさん、かたなを
へしおつて、とげを
たてたかげきよ、
けぬきがあらバ
かさりやへ
『毛抜』と云う芝居も何度見た事でしょう。
テレビも含めて十代から考えると少なくとも30回以上は見たと思うが、故市川團十郎の『毛抜』の台詞のアクセントが、今も耳に残って離れない。
江戸時代からこういったコメディ色の強いしゃれた舞台があったのかと思うと、日本の芝居も捨てたものじゃ無いなと感じる。
って云うか!!!
歌舞伎が見たいワイ!