『疱瘡心得草』7 06裏:挿絵 07表:本文 志水軒朱蘭 述
『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
一冊
出版 蓍屋善助
寛政10 [1798]
国立国会図書館デジタルコレクション
請求番号 852-26
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『疱瘡心得草』
国立国会図書館所蔵
06裏 右
ハ干肴(ひざかな)にても乳(ち)のみ子(ご)なれバ、母(はゝ)子(こ)ともに無用(むよう)なり、
其外(そのほか)くさきもの、かしき物(もの)、果実(このみ)、生冷(なまひへ)のもの、何(いづ)れも
いみきろふべし、世間(せけん)疱瘡神(ほうさうがみ)の すきのものふど言ふて
くわせ、おゝきにしぞこのふ事(こと)まて多(おゝ)し
疱さう人(にん)の居間(いま)へ 忌(いむ)心得(こゝろへ)の事
痘人(とうにん)の居(い)る間(ま)へつゐに見(み)なれぬ人(ひと)、出入(でいり)し声高(こゑだか)に
ものを、言(ゆ)ひて痘人(とうにん)を驚(おどろ)かすべからず、又 にほいの気(き)
をいむべし、懐中(くわいちう)のにほひ袋(ふくろ)、梅花香油(ばいくわ かうのあぶら)成人(おとな)の
痘人(とうにん)なしば、房事(ほうじ)をかたく慎(つつしむ)べし、脇気(わきが)ある人(ひと)出入(でいり)を忌(む)
出家(しゆけ)、比丘尼(びくに)出入をいむ、雪隠(せつゐん)のにほひ、又 女の月(つき)のさ
かしき物 (学研 古語辞典)
かしづ・く 【傅く】
①大事に育てる。
出典堤中納言 虫めづる姫君
「親たちかしづきたまふことかぎりなし」[訳] 親たちが大事に育てなさることは、ひととおりではない。
②大事に面倒を見る。後見する。大切に扱う。
出典源氏物語 東屋
「我は命を譲りてかしづきて」[訳] 自分は命を捨てるつもりで大切に扱って。
すきのものふど言ふて
好きのもの程言うて
しぞこのふ
しぞこなう(やり損なう)
国立国会図書館所蔵
07表 左
(女の月(つき)のさ)
わりをいむ、髪(かみ)の毛(け)、火に入やけぬやうに、心得(こゝろへ)べし 病(や)み
始(はじめ)より一間より外へ連れ出づべからず、小児(せうに)などハよく
くせに成る物ゆへ、其心得(そのこゝろへ)、第一なり、痘(いも)ハものにあやかり
やすきものゆへに、紅絹(あかきぬ)を屏風(びょうぶ)にかけ置(お)くべし、又 時節(じせつ)の
寒暖(かんだん)に随(したが)ひ、衣裳程(いしやうほど)よくあたゝめすごして、汗(あせ)を出す
べからず
序病(ほとおり・じよやみ) 三日の間(あいだ)吉悪(よしあし)の心得の事
外感(さむけ)によつておこれば、水ばな、せき、出るものなり、或(あるひ)は
食(しよく)もときの熱(ねつ)よりおこり、又ハ、驚(おどろ)く事ありて、序熱(ほとおり)と
なる、然(しか)るに序病(ほとおり)の熱、激(はげ)しきもの かへつて痘(いも)多く
序病(ほとおり) (大辞林)
ほとおり ほとほり 【熱▽り】〔動詞「熱(ほとお)る」の連用形から〕
①熱気。また,体の熱。 「火を放(つ)けて室を焚(や)く。…次に-を避る時に/日本書紀 神代下訓」
②「 ほとぼり① 」に同じ。 「早玉の緒も切れ果てて…-ばかりにて/浄瑠璃・御所桜」
③「 ほとぼり② 」に同じ。 「泰衡退治の奥州御陣,-さめぬ武士共馬印旗印/浄瑠璃・扇八景」
いきり 【熱▽り】
「 いきれ(熱) 」に同じ。 「光秀は太刀の-を冷(さま)さんと/浄瑠璃・太功記」
ほ てり [3] 【火照り・熱▽り】
①熱気や怒り・恥ずかしさで顔が赤くなること。 「顔の-」
②夕焼けで空が赤く色づくこと。 「山の端に-せぬ夜は/新撰六帖 3」
ほとぼり [0] 【熱▽り】
①まだ残っている熱。余熱。ほとおり。 「山々も,日中の-を返してゐるのであらう/偸盗 竜之介」
②高まった感情が尾を引いて残っていること。ほとおり。 「感激の-が未ださめやらぬ」
③事件などに対する世人の関心。 「 -がさめるまで姿を隠す」
ほとり [3] 【熱▽り】 〔動詞「熱(ほと)る」の連用形から〕
熱くなること。熱気をおびること。熱さ。 「 -ヲサマス/ヘボン」
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『疱瘡心得草』7 06裏:挿絵 07表:本文 志水軒朱蘭 述
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