富田高至 編者
恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 8 四丁裏
和泉書院影印業刊 65(第四期)
1998年 初版
1997年 第三
8 五丁裏
右
四丁裏
◯をかし山伏あり、京や住ううかりけん、東のかたに行て
旦那もとむとて、かちにて行けれハ、汗もなかれ
けり、しらかなるあたまのはちに、いげのたちけれは、
しらかなる あたまのはちに たつ煙
不動と人のみやハとかめぬ
四丁裏
◯おかし山伏あり、京や 住まう うかりけん、東の方(かた)に行きて、
旦那 求むとて、徒歩(かち)にて行ければ、汗もなかれ
けり、白髪なる頭の鉢に、湯気(いげ)の立ちけれは、
白髪なる 頭の鉢に 立つ煙
不動と人の 見やは咎めぬ
湯気(いげ)
ゆげに同じ
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
しらかなる あたまのはちに たつ煙
不動と人のみやハとかめぬ
『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す
信濃なる 浅間の嶽にたつ煙 をちこち人の 見やはやがめぬ