Tokyo 6 俳優座 音楽劇『人形の家』
俳優座劇場プロデュースNo.108
2019年9月3日(火)~7日(土)
作 ヘンリック・イプセン
翻訳 原 千代海
演出 西川 信廣
作曲・音楽 上田 亨
作詞 宮原 芽映
出演 土居裕子/大場泰正/畠中 洋/古坂るみ子
進藤 忠/長浜奈津子
川口大地/本田玲央/納田洸太/樋山雄作
仙崎貴子/竹本瞳子/宮田佳奈
俳優座 音楽劇『人形の家』にあたって、あらかじめ岩波文庫『人形の家』を読んでおいた。
子供の頃から考えると今回読んだのは5回目くらいであった。
音楽劇『人形の家』を見るのあたり、原作をいかに編集してあるのか、どこを膨らませてあるのかが楽しみであった。
だが、実際の舞台は、愛を膨らませてあったものの、ほぼ原作の言葉のまま割りが演じ勧められた。
初めから中頃までは三拍子であまりにも長い字余り。
少し歌の部分が少なくされてもいいのかなとも感じた。
不安定な三拍子は、野良の心の揺れ動きや不安定さを表現されているのだろうかと感じた。
主役の歌や言葉に合わせて、数人から八人の俳優女優たちが、内なる心を囁きの技法(?)で演じられる場面が多々あった。
こういった技法(?)は私が大学時代から多く描かれた表現法であり、懐かしくも感じた。
後半のクライマックスの部分では4拍子に変わる。
これの関してははノラの心の決断であったのだろうか?
しかし舞台の野良を見てでさえ、私はノラの生き方自体に釈然とせず、また言い訳にしか聞こえず、腹がたった。
腹がたち、朝までほぼ一睡もできなかった。
そういったことを考えると、俳優座の役者さんたちや演出は大変上質でうまく、また良いお舞台であったと考える。
夫が誘ってくれた俳優座であったが、見てよかったと思える舞台であった。
俳優座劇場は客席から舞台がとても見やすく、良い劇場であった。
周りを見渡すと、関係者や常連の観客の方々がかなり多かった。
おそらく以前は女優さんであったのであろうおしゃれなよそ大いに身を包まれた方々も多くいらっしゃった。
ただ、欲を言うと、仁左衛門丈のお内儀様の装いなどに慣れているため、カラフルなターバンなどを巻いた方々を見て、絵本『ナイルのパリジャンヌ』を思い出してしまったのは、申し訳ない。
俳優座のお舞台では、一幕が終わったあとやガンどうするに値する役者さんの歌い終わりでさえ、拍手は全くなかった。
それもそのはず、周りには、眠っておられる方々が多くいらっしゃる。
ただ、気になったのは一人として拍手がなかったこと。
終わってからスタッフに聞けば、俳優座はいつもこんな状態だと言われた。
東京ではお上品なのかと思い、ノリが悪いのだろうかと思っても見たが、翌日新橋演舞場のミュージカル『ペテン師と詐欺師』を見ると、関西よりもノリが良かった。
私は音楽劇『人形の家』を見て、一夜安部公房先生は関西を馬鹿にされていたのではないかと疑ったのだが、ミュージカル『ペテン師と詐欺師』を見て
『これが安部公房先生のおっしゃっていた、関西はノリが悪いと言うことか。』
と、改めて納得した。
お能のようにお行儀よく見たおられた俳優座のおなじみらしい観客。
私がスタッフと話し終わり、ロビーの夫の元へ戻ると驚いた。
そこには多くの役者が出ておられ、お目当の役者さんたちを取り各務観客で大にぎわいであった。
そこには舞台作品の余韻を楽しみたいと言う感じは受け取れなかった。
私から見て、俳優座は不思議な劇団であった。
宝塚にもファンクラブがあり、親衛隊のような取り巻きがあるが、そういった感じでもない。
舞台中は眠ったりお行儀よく見ている観客は、くらいロビーの中にごった返し、俳優と戯れておられた。
小芝居をする旅役者の送り出しよりも派手な、各役者への取り巻きの渦はロビーいっぱいを占領し、下品な世界もあるものだとその場を去った。
子役者の送り出しなら各観客を落ち列に並ばせ握手や写真程度で一定の秩序があり、私のようにそれがいや苗客は横からのなれる。
だが、俳優座は初手から馴染みの客だけを相手にし、一般客が俳優を見ると睨まれ、そっぽを向かれる。
上にも書いた宝塚は、会場も庭も広く、一般人の邪魔にならないところでファンを楽しませておられ、それは関所にもならず、帰っていい光景であると目を和ませられる状態なのである。
舞台を全うされていらっしゃるのだから、舞台で勝負されるだけでいいのではないか、あるいは、公の場ではご贔屓の方にだけ接すればいいのではないかと思ったのだ。
ちぐはぐで後味の悪い公園を見たものだと、後悔をした。
まぁ、貧乏人のたわごとであると聞き流していただきたい^^
身内は楽しんでおられたんだし
楽しきゃそれでいいんじゃない!!^^ わっはっは
ノルウェーの作家イプセンは社会劇の創始者と言われ、特に1879年に発表された「人形の家」は新しい女性像を世に示し、近代劇の出発点となった作品と評されています。その「人形の家」を演出の西川信廣、作曲・音楽の上田亨、作詞の宮原芽映と共に音楽劇として2017年に上演、高い評価を戴きました。
ノーラを演じるのは、その美しく透きとおる歌声で客席を魅了する土居裕子。夫ヘルメルには大場泰正、運命の鍵を握るクロクスタに畠中洋、親友リンデ夫人に古坂るみ子。進藤忠、長浜奈津子の実力派と、オリジナル戯曲には無いアンサンブルを登場させ劇世界を拡げます。