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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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『国宝 (上) 青春篇』 吉田修一著   朝日新聞出版 2018年9月

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 ソフィテル カルナック ルクソール (ナイル川の見えるホテルの敷地内より写す)



    『国宝 (上) 青春篇』吉田修一著   朝日新聞出版 2018年9月



 極道の家に生まれた立花喜久雄が、歌舞伎役者になり三代目半次郎を襲名するまでが綴られる。

 はじめ、極道の世界が足掻かれ、あまり馴染めないでいたが、途中から一転。

 一昔二昔前の歌舞伎の文化、歴史に興味を覚えながら読み進める。

 歌舞伎界の中で生き抜く厳しさや力強さを読みながら、時代は異なるが、多少芝居『夢の仲蔵千本桜』で歌舞伎世界の厳しさなどを思い浮かべていた。


 本書は人気があり、貸出中の図書館が多かった。

 一館のみ蔵書があったので、隣町をさらに超えて、図書館ん愛で一気に読み上げた。


 吉田修一著の『国宝 (上) 青春篇』にはこれでもかこれでもかと、馴染みの演目が書かれており、歌舞伎好きの私は心がときめく。

 読み進めるうちにいつしか、喜久雄役はどの役者、また他はどの役者と自分で思い描きながら読み進め、舞台を展開させていた。

 こういった読み進めは想像以上に楽しいもので、自分が舞台監修しているような錯覚に陥る。

 舞台好きの醍醐味の一つかもしれない。


 本書に興味深い記述がいくつかあったので、目も鍵をしておいた。

 その中の一部だけでも記録しておきたい。


 

 1「貧乏は品がある。しかし、貧乏臭さには、品がない。」(或る女流作家)126

 2 酒臭い娘道成寺の白拍子などは興醒めですが、化粧をしてしまえばなんとかそう見えてくるから不思議なもので 云々 148

 3 生田左衛門(関西)
  「せっかくやさかいエレキギターでも持たせて、舞台に立ちはったら 云々」 174
  (現在、歌舞(傾)いて見せようと見せようと言うばかりの古典歌舞伎のできない役者(笑)が見受けられるが、新しくもなんともなく、一昔前から茶化されていた。)
 
 4 花井東一郎と花井半弥
   女形コンビ(ロックンロールコンサートのよう)

 5『歌舞妓事始(じし)』
   江戸の人気役者初代市川團十郎(でさえも)
   藤十郎存生(ぞんじょう)の内は京へ役者をのぼすまじと言へりし。  198

 6『二人道成寺』
  「そんな水っぽい芝居で舞台に立てるかいな!いっこも生きてへんわ。ええか?あと一つ鐘がなったら、アンタ、死ぬんやで。死ななならん悲しみと、大好きな男と死ねる喜びがないまぜや。それがいっこも伝わってきいひんねん。舞台で生きてへんから、死ねへんねん。」 204
   (これって、重要。是非読んでいただきたいと思う役者さんのお顔が思い浮かぶ。)

 7 清田城映画監督
  「歌舞伎役者って、何やらせても演技が臭いんだよね。」 302



 今回も簡単な記録のみにて失礼申し上げます。
 

 
 

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