世の中、大変寂しい方がいらっしゃるようです。
そういった女性に、ストーカーまがいの言動を取られてしまいました。
昨日、少し遠い隣町をさらに越した図書館に行った。
小説一冊及び井原西鶴(影印)の内一作品を読了したので、図書館んいはかれこれ六,七時間はいたであろう。
おトイレも最高の設備であり、廊下も暖かく、ふかふかのソファーが置かれていた。
わたくしは昼食も含めて、何度か数分の休憩時間をとった。
夕刻、休憩を取り、ソファーで野菜ジュースを飲んでいた。
すると、お顔だけ存じ上げている女性が通りかかられたので、いつものように会釈をした。
女性は袋カバン四個に本を思い切り詰めて、右に左にと揺れながら、重そうに一歩づつ持って前進されていた。
風呂の中身は、すべて絵本であった。
多くの袋を重そうに一つずつ廊下の真ん中に置かれ始めた。
そして、わたくしに本格的に話され始めた。
すべてが絵本であること。いつも、本を大量に借りること。冊数う制限がないこと、云々。
彼女は、ありと新湯つ身の上話を話し始めた。
数分も下であろうか。
西鶴の続きを読みたかった私は丁重に、その旨を伝えた。
悲劇はここから始まった。
わたくしの使用していた机までついてこられ、大声で喚いて話される。
「もっと、話そうや!」
周りの迷惑になるので、私は廊下に出ましょうという。
さらに十分。
彼女「もっと、話そうや!」
彼女「さみしい。」
彼女「明日、会おう。」
彼女「明日は用事です。」
彼女「ええやん、明後日に変えたら、会えるやん。」
彼女「一緒に帰ろう。」
乱鳥「未だ本を読んでる途中なので、未だ帰れない。自転車のところまでお見送りしましょう。」
彼女「え?!そんなん嫌や。一緒に帰ろうや。」
彼女「そんな、本好きなん。」
彼女「借りたらええやん」
彼女「あこの喫茶店に行こう。」
彼女「そんなことでお金を使いたくないので、私は行きません。」
彼女「ほなここでしゃべろ。」
乱鳥「本を読みに戻ります。」
彼女「あかんて、一緒に帰ろうや。」
乱鳥「自転車のところまでお見送りしましょう。」
彼女「さみしいて」
乱鳥「とりあえず本を返却なさって、次の本を借りてこられてはいかがでしょうか?」
彼女「ほなそうするわ。また後でな。」
ここで、二十分程度の安堵感を得られ、読書に没頭。
もうこないであろうとたかをくくっていたが、さらに地獄は続く。
彼女「待たせてごめんな。」
と机のところまで来て大声で叫ぶ。
わたくしは皆の迷惑になるので渋々廊下に出る。
会話の中身は、上に書いたことの繰り返し。
さみしい
会いたい
話したい
一緒に帰りたい
加えて無意識なる彼女の悪質さは、次のようなもの。
千円札を持ち合わせていない
お金がない
貧乏である
これは危険である。
一刻も早く彼女から逃れねばならない。
私はきっぱりと、
「トイレに行き、読書の続きに戻る」
と言い切った。
真ん前にあった障害者用の大型トイレに入ろうとすると、彼女もトイレの中に入ってくる。
私は驚いて、とっさにトイレから逃れた。
そして、時間差で彼女が外に出た瞬間トイレに駆け込み施錠をした。
怖かった。
彼女はトイレの外で
「さみしいから、はよ、出て来てや。」
と、喚いている。
トイレから出た私は、一言、
「席に戻ります。」
と伝え、図書館内をそそくさと歩き、机に向かった。
彼女の声は私の背を追いかけてくる。
「話そうや。」
「喋ろうて。」
「話、しようや。」
仕方がなく、わたくしはカウンターにおられた女性に説明した。
図書館の男性も出て来てくださり、彼女を引き止めてくださった。
彼女は四十、大声で、館内に声が鳴り響いている。
「話そうや。」
「電話番号、教えてや。」
「あっちから、話して来たんや。」(確かに、会釈だけはした)
女性図書館員と私は、驚いて顔を見合わせた。
私は彼女を図書館員にお願いしたまま、机に戻った。
その後ただならぬ波打った動揺を隠しきれないまま、西鶴(下)の続きを一時間読み、読了して図書館を去った。
図書館はその日七時までであり、二冊の本を読了したことの満足感を得たが、同時に、怖い思いをした。
図書館の廊下を出るとき、彼女がいないかと、あたりを見回した。
図書館の駐輪じょに入るとき、物影がないかと、あたりを見回した。
図書館の周りの安全を確認しての行動を取らねばならなかった。
教訓 其の一
会釈すべき相手は選べ。
今後は、家を「売る女」の北川景子風で行動を取るべし。