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47: 『色彩がわかれば絵画がわかる』布施英利著 光文社新書 2013年




  47: 『色彩がわかれば絵画がわかる』

色彩がわかれば絵画がわかる
布施英利/著
光文社新書 674
2013年12月
1000円+税

『色彩がわかれば絵画がわかる』を読了。
 かねてから漠然と感覚的にとらえていた白について,科学的に論じられている。
 知っていることも書かれていた。だが、言葉に出して客観的に説明はできない。

 茶室の遠近法を使って狭い一室を広く奥行き深く見せる知恵や工夫等は目からうろこ。
 日本人の美意識の中の「寂」「きれい寂」にいたく感激した。
 そうだ。以前独りで楽しませて頂いた高台寺(京都)のお茶室、あそこに家族と行き、日本の窓口のほんの一部分でを開き見て楽しんでみよう。
 あのとき受けた光のうつろいや木の葉のせせらぎ。庭の片隅に作られた重厚な茶室。日常から離れた異空間のひとときは忘れがたい。

 先日大神神社(三輪神社)で二條流のお茶を頂いた。
 白い器に何ともいえない美しい緑。赤い毛氈、気品がおありでいらっしゃる美しい女性と美しい友禅のお身支度。
 本書には無かった感覚的な色の話になるの茶の味わい深い甘みとまったりとろりとしたお茶の甘さが色彩を一層美しく感じさせる。
 花の香り。後演能前の能舞台に体する心浮き立つ気持ち。うぐいすの鳴き声や桜の花が舞い散る中で頂いた野点の玉露葉甘みととろりとした味わいは、日本の和の心をくすぐる。
 私は今もあの緑を覚えている。

 本書にはシャトル大聖堂のステンドグラスは実に美しいと記されていた。
 おっしゃる通り、ステンドグラスは実に美しい。
 著者は朝一番に行かれたと書かれていたが、時間を変えて季節を変えて同じステンドグラスの一室に立つと、光の具合の変化に気づき、やはり、美しい。

 ステンドグラスは見る側にとって,輝く瞬間がある。
 音楽を奏でると、色は変わる。
 聖書やコーランなどの広義でのお経が加わったり,その国の方が自分の誇りに思う詩人の一説を歌いは自前荒れると,ステンドグラスの光は輝く。
 ステンドグラスの一部に光が差し込み、そのもとに人がひざまずき,祈りを唱えられているという景色に遭遇すると、ステンドグラスは生きる。
 ステンドグラスを庭(外)が和から見るのと、内部から見るのでは全く別の表情と色合いを見せる。
 若干感覚的精神論が入っているといわれればそれまでだが、美しいステンドグラスは人々の生活の中でより鮮やかな色合いを放つ。

『色彩がわかれば絵画がわかる』を読み,ゲーテの話にひかれる。
 ゴッホの絵を白黒にするという取り組みも面白い。

 円について書かれていただ、漫画家である手塚治虫氏の「円」についての話を思いだす。
 そういえば行動美術の画家で、円ばかり描いていらっしゃった方がおられたように思うが、名を覚えていない。

 ルーチョ・フォンタナの絵を四枚ばかり見たことがあるが,イランで見たのか日本で見たのかは思えてない。
 個性的な取り組みだと思う。

『色彩がわかれば絵画がわかる』を読んで、神戸の『ポンピドー展』にいきたくなったが、まだ開催中だろうか…。
 十代にポンピドーセンターを訪れたことがある。
 展示された匂い付きの立体造形。 
 使用したアンネを一ヶ月分並べ多作品、題名「月」といった斬新さに驚いたことがある。
 あれからウン十年。現代美術の発展はいかがなものかとほくそ笑む。

 著者 布施英利氏は構図についても書かれているようだ。
 興味深い記述が多いので、いずれ他の本も読んでみたい。


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 この段は
The Nutcracker Act II - The Dance of the Sugar Plum Fairy, Coda

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The Nutcracker - Waltz of Flowers

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 この段は
Papageno-Papagena Duet

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The Magic Flute (Met-2006, Taymor, Levine) - Papagena! Papagena! Papagena!

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 下の段は
83 3 Tchaikovsky, Swan Lake 10 Entrance of Swans

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http://www.youtube.com/watch?v=e6xhKxDGWqo&feature=related

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 色に囲まれていると,とても幸せな私☆
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データーベースより ▼
光が見える、色彩が見える。それは、美が見えるという感動の瞬間でもあるのです。芸術作品は、私たちの中にある「それ」を見せてくれるのです。
(第1章 「順応」より)
すべての色は、三原色をもとにして作られる。これが、四色でも、二色でもいけないのはなぜか。そもそも「色」とは何なのか――。ニュートンのような物理学者、ゲーテという文学者、それに美術やデザインまで、多様な分野の専門家が取り組んできた色彩学。その理論の基本は、難しそうに見えて、実はとてもシンプルである。北欧デザインがもつ色彩美、遠近法との緊密な関係、印象派の絵画における「光」の見方など、色彩という観点から、美術鑑賞の知性を養う一冊。
目次

序章
第1章 三つの色
1、色彩学の基本
2、色の特性、いろいろ
3、ゲーテの色彩学
≪間奏1≫ 「色と色」で色になる
第2章 四つの色
1、四原色説
2、赤と青
3、白と黒
4、赤と黄と緑と青
≪間奏2≫ 『色彩をもたない多崎つくると、彼の巡礼の年』の色彩
第3章 丸い色
1、調和
2、球体の宇宙
終章
著者紹介

布施英利(ふせひでと)
批評家。1960年、群馬県生まれ。東京藝術大学美術学部卒業。同大学院美術研究科博士課程修了。学術博士(同大学での博士号取得は、論文のみでは第一号だった)。著書に『脳の中の美術館』『体の中の美術館』(以上、筑摩書房)、『美の方程式』(講談社)、『構図がわかれば絵画がわかる』(光文社新書)他多数。芸術と科学の交差する、美術の理論を研究している。
   
       












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