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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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66:『(霊媒の話より)題未定』安部公房初期短編集 十九歳の処女作など 2013年

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 (写真は寺の   土 壁 )


 66: 『(霊媒の話より)題未定』安部公房初期短編集
     より、 「題未定(霊媒の話より)」「老村長の死」「天使」「第一の手紙〜第四の手紙」
  
『(霊媒の話より)題未定』(安部公房初期短編集)より、 「題未定(霊媒の話より)」「老村長の死」「天使」「第一の手紙〜第四の手紙」を読む。

「題未定(霊媒の話より)」は芝居仕立てで客観的に読み、情景が鮮明に浮かび上がる。安部公房氏自体身もその位置に置き、大津西武で話した安部公房氏の言葉と重なる部分があり,わたくしとしては非常に興味深いなと感じた。
「題未定(霊媒の話より)」などを呼んでいると、安部公房の民俗学的な部分に対する下調べなどに触れる事が出来る。
 また、この作品から既に安部公房は安部公房なのだと、痛感した。
 それぞれの作品に詩があり,歌がある。安部公房先生の言葉の表現が,感覚的に快感を覚える。
 
 当時安部公房先生が自らに対する熱烈な男性読者のことをおっしゃっていたように、現在も相当な知識を持たれた知的な読者の方々が多い。
 なので,わたくしのような微力なひよっこが公に感想を記録するなどおこがましく感じる。あえて省略。
 
 四作読んだそれぞれに味わいがあったが、途中で後半が切れた作品「第一の手紙〜第四の手紙」の最後に近い部分をここに記録しておきたい。


「第一の手紙〜第四の手紙」
 ………。
 それは即ち,内部と外部とが入れ替わったような世界だった。今迄外部と云っていた、吾々を巡り、吾々を支配し、又されていたものが、何時の間にか自分自身の手振りでもある事に気付き、そしてその度毎に新しくあるが、今迄云って居た様な、心臓の鼓動の様な世界だった。そして動くもの、変化するもの、吾々がその中で生活を営む可き環境だとか運命だとか云うものは、その逆に内部から発し、未知なものとして、今迄は外部と呼んでいた、新しい内部に浸みだして行くのだと云う事を知ったのだ。つまり私の顔は裏返しになっていた。
 ………。
 (P.133-134)


 京大博物館(自然)のおびただしい数の昆虫標本を見ては安部公房氏の多くの作品を思い浮かべ、或は、ふと作家である○○○や○○○○○を思い、ここは似ているここは違うとほくそ笑む。

 今年名古屋で開かれたフランシス・ベーコンの安部公房を重ね、一目見ようと駆けつけた。
 額にはまるガラスの存在迄をも計算したフランシス・ベーコンはまさに私の心をくすぐった。
『(霊媒の話より)題未定』(安部公房初期短編集)前半を読み、ふとそんな事を思い出した。
 

 若き安部公房は、すでに安部公房そのものだった! 没後二十年記念出版――。

 昨年、新たに発見された幻の短編「天使」をはじめ、十九歳の処女作「(霊媒の話より)題未定」など、戦中から戦後にかけて執筆されながら、作家生前は発表されなかった十編に加え、敗戦で混乱する奉天を舞台にした稀少な一編「鴉沼」を収録。やがて世界に名を馳せる安部文学の、まさに生成期の息吹きを鮮烈に伝える短編集。(新潮社公式HPより)


 安部公房
 新潮社
 2013/01/22
 295ページ
 1680円

題未定(霊媒の話より)
老村長の死
天使
第一の手紙〜第四の手紙
白い蛾
悪魔ドゥベモオ
憎悪
タブー
虚妄
鴉沼
キンドル氏とねこ





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