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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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2013年 七月大歌舞伎 夜の部 「曽我物語」「一條大蔵譚」「杜若艶色紫」松竹座

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 関西・歌舞伎を愛する会 第二十二回
 七月大歌舞伎  夜の部



 七月某日
 家族と二人、七月大歌舞伎 夜の部を楽しむ。

 お目当ては言うまでもなく  仁左衛門演ずるつくり阿呆の「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」
 これはすごかった。
 つくり阿呆の間にもキラリと見せる ほんの一瞬の鋭い目
 いやぁ!仁左衛門さんやわぁ〜
 近くで見ているとドキドキする。
 仁左衛門丈の「一條大蔵譚」は定評が有るが、実際に舞台を見ると成るとこちらの心構えも新鮮で、背筋がのびる。
 息つく暇もなく、本の僅かの表情も見逃すまいと、眼を開き凝視。
 横に座る夫も同様のようであった。

 仁左衛門の「夏祭浪花鑑」を見た時も幸せ感が大きく、芝居に多少たりとも興味を持っていて良かったと痛感したものであった。
 今回も「夏祭浪花鑑」と同じことが言える。
「夏祭浪花鑑」の時には三度足を運んだ。 
「一條大蔵譚」も複数回見たかったが、結局一度の感激に終わる。

 今年の七月大歌舞伎夜の部は演目配役がそれなりに豊かであった。
 しかし期待していた我當さんの「曽我物語」がいただけなかった。
 我當さんは好きな役者さんの一人だが、わたくしが感激したその日の舞台に関しては、台詞忘れがひどかった。
 歌舞伎では役者さんが台詞を忘れられた時などは後ろに隠れて待機されている黒子(くろご)が密かに教えておられると行った機会に多く出くわしたことがある。
 しかし、この夜は、舞台の上手から大声で台詞を怒鳴られ、我當さんがなぞって言い回された。
 数年前に某神社で能楽師が台詞を忘れられた時、謡いの詞を下手から大声で怒鳴られたことがあった時と同じだ。
 これは見苦しい。
 役者や能楽師の非と言うよりも 舞台造りを考えるまわりの人間の心遣いに首を傾げる。
 まして、一階前方で見ている観客にとっては役者が痛々しく気の毒に感じ、うつむいてしまう。
 
 そのあとの「一條大蔵譚」「杜若艶色紫(かきつばたいろもえどぞめ)」で救われた気はが、後味の悪いの二は変わりはない。
 舞その為、「一條大蔵譚」を興行に出したとて、二度三度と足を運ぶにはいたらなかった。

「杜若艶色紫(かきつばたいろもえどぞめ)」は相当面白かった。
 こんなに面白いとは知らず、気楽に挑んだ演目であった。
 まず、役者さんたち皆さんが見事に良い。
 橋之助さんの見得が格好よく、心がときめく。
 また、扇雀さんの巻紙に書かれた文字の美しいこと。
 扇雀さんは以前「「芦屋道満大内鑑 葛の葉 (あしやどうまんおおうち かがみ)」(松竹座)で子あやしや 後ろ向きや向きや 口で筆を加えて美しい文字を流れるように描かれたことがある。
 今回も立ったまま巻き髪のまま見事に書を見せて下さった。
 もう一度二度三度見たいと思う「杜若艶色紫(かきつばたいろもえどぞめ)」だった。

 最近、歌舞伎から足が遠のいている。
 今回も夜の部のみ。
 昨年七月にも気が抜けた「棒しばり」を見せられ、苦々しい思いがしたことを思い出す。
 今年の顔見世(南座)も某理由(某役者)で行くことは無いだろう。
 歌舞伎の形見たさに通う歌舞伎であったが、時代が変わったのか、歌舞伎を見たという実感に欠けそうな舞台が多い。
 わたくしは芝居知らずの人間だが、最近テレビ(○星劇場)でさえ時間がむだだという演目役者の多さに閉口しうなだれる。
 げんに八月、テレビで歌舞伎を見る機会もほとんどなかった。
 
 そんなこんなで、七月の記録が今になってしまった。

   
   今日は八月最終日
   辛口御免の記録也







データーは全て 歌舞伎美人 公式HPより引用 ▼

一、曽我物語(そがものがたり)
   
京小次郎 我 當
曽我五郎 進之介
越後の禅司坊 薪 車
大磯の虎 吉 弥
曽我十郎 翫 雀
二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
檜垣
奥殿
   
一條大蔵長成 仁左衛門
吉岡鬼次郎 橋之助
八剣勘解由 亀 蔵
勘解由女房鳴瀬 吉 弥
鬼次郎女房お京 孝太郎
常盤御前 秀太郎

三、杜若艶色紫(かきつばたいろもえどぞめ)
序 幕 向両国の場より
大 詰 日本堤の場まで
   
土手のお六 福 助
八ツ橋 扇 雀
お守り伝兵衛 亀 鶴
玉本小三 児太郎
金屋金五郎 薪 車
萬寿屋亭主太平次 桂 三
釣鐘弥左衛門 亀 蔵
修行者願哲 橋之助
佐野次郎左衛門 翫 雀


夜の部

一、曽我物語(そがものがたり)
 父の墓参で久しぶりに再会した四人の兄弟。父が討たれてから、長兄の小次郎(我當)は自立し、十郎(翫雀)と五郎(進之介)は母の再婚とともに曽我家の養子になっていました。父の仇討ちの助力を頼む十郎、五郎に対し、一人、異父である小次郎は、誠の父と義理の父への思いを抱える苦悩を打ち明けます。

 曽我兄弟の仇討ちを題材にした作品で、本作は、仇討ちをためらい苦悩する長兄・小次郎を通して、信念を貫き通す人間の姿が描かれています。

二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
 平家全盛の世、源義朝の愛妾であった常盤御前(秀太郎)を妻に迎えた一條大蔵長成(仁左衛門)は、曲舞にうつつをぬかし阿呆と噂されています。

 源氏の旧臣吉岡鬼次郎(橋之助)、お京(孝太郎)夫婦が、常盤御前の本心を探ろうと館へ忍び込み、意見をすると、常盤御前は平家調伏を願う本心を明かします。するとそこへ常とは変わった様子の大蔵卿が現れ…。

 大蔵卿の阿呆と颯爽とした貴公子の二面性を演じ分けるのが見どころの一つで、包み隠した本心を語る「物語」は義太夫狂言独特の見せ場となります。

三、杜若艶色紫(かきつばたいろもえどぞめ)
 蛇使いのお六(福助)は、金儲けのために坊主の願哲(橋之助)と組んで一計を企てます。それは吉原の傾城八ッ橋(扇雀)に姉と偽り、恋人の佐野次郎左衛門(翫雀)と別れさせ、金持ちに取り持つことでした。心ならずも次郎左衛門に愛想尽かしをした八ッ橋は、激怒した次郎左衛門に惨殺されてしまいます。一方、八ッ橋を騙したお六でしたが、実は本当の姉妹であることがわかり…。

 主人公のお六は女だてらに悪事をしてのける悪婆の典型です。縁切り、殺し、強請場と随所に見せ場を配し、江戸の風俗などの娯楽性にも富んだ南北らしい生世話ものです。





関西・歌舞伎を愛する会 第二十二回
七月大歌舞伎
平成25年7月4日(木)〜28日(日)

昼の部  午前11時〜
夜の部  午後4時30分〜

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