32: 『謡曲百番』より「阿漕」
『謡曲百番』より「阿漕」(あこぎ)
新日本古典文学全集
岩波書店
四番目
嫉心男物 作者不明
先日こうっ服地の薪御能を楽しまさせて頂きましたので、「阿漕」を読んでみる。
歌の引用や筋書きが趣き深く思う。
「阿漕」の男性の生業は「善知鳥」(うとう)とともに,民俗学関係の本で名を挙げられる研究者が多い。
阿漕の霊はでは伊勢神宮に供え物とする魚を捕る神域の海で、夜に隠れて魚を捕り,海に沈められた男の話をする。
この余ばかりか地獄でも苦しみを重ねている…と言う言葉が,物悲しい。
長岳寺の「極楽地獄図」を思い浮かべる。
男は陰惨な地獄の苦しみを見せ,旅人に助けを乞うて、再び海底に消える。