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『坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ』4.4★/5  坂東三津五郎 長谷部浩  岩波文庫 岩波書店

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写真は三番叟   天神祭 帝国ホテル前 船能

 

 

 『坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ』4.4★/5  坂東三津五郎 長谷部浩  岩波文庫 岩波書店

 

坂東三津五郎 

長谷部浩  

岩波文庫 岩波書店

284ページ

1340円+Tax

 

 

『坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ』を読了。

 他の歌舞伎役者がかくタレント本ではなく、本書はしっかりとした歌舞伎の解説書。 

 自分の周りの歌舞伎役者の言動を取り交えながら歌舞伎に対する彼の考え方や姿勢を明確に記しておられるとことが潔い。

 また能楽でいうなら世阿弥の『風姿花伝』の香りが若干漂う。

 坂東三津五郎という役者は踊りが上手い、人当たりが良いばかりではなく、伝統芸能本来の軸、あるいは彼の考える伝統芸能のあるべき姿を把握するべく努力をし、多くの書物に挑まれていたことがうかがえる。

 

  こういった本を隙間時間に読むのは楽しいものだ。 

 

 

 みなさま

 拙ブログにお越しくださいまして、ありがとうございます^^

 感謝いたします。

 

 

 

 

 以下は、岩波書店 データーベースより  ▼

世話物・時代物をどう観るか,踊りの魅力とは,荒事・和事をどう愉しむか,新作の可能性とは──など,俳優の視点から,歌舞伎鑑賞の「ツボ」を伝授します.演題に即して観かたを具体的に解説.さらに舞台の想い出や演じる心意気にも触れ,三津五郎丈ならではの知的で洗練された語り口で,芸の真髄を解き明かします.(カラー口絵1丁)

■著者からのメッセージ

初舞台を踏んで46年,ほぼ毎月のように舞台に立ち,いろいろな芝居に出て,さまざまな役に取り組んできました.それでもまだ,出演したことのない作品もあれば,演じたことのない役もたくさんあります.それだけ歌舞伎という芝居は幅が広いのです.
 歌舞伎は約400年,特定のパトロンを持つことなく,毎月興行を打ち続けて,お客さまをいかに満足させ,いかに喜んでいただくか,ということを大命題に,今日まで闘ってまいりました.
 その時代時代によって,お客さまの求めているものは変わりますし,同じようなものばかりでは飽きられてしまいます.
 その結果,歌舞伎という芝居は,じつにたくさんの要素を含み,さまざまな顔を持つ,得体の知れない総合演劇に成長したのです.
 それはとりもなおさず,歌舞伎がお客さまの「目」によって磨かれ,お客さまの「心」によって鍛えられてきたことに他なりません.
 こののちも歌舞伎が発展していくには,演じる我々側の努力と共に,このようなお客さまの,優しくも厳しいまなざしが,絶対に必要なのです.
 今回岩波書店さんから,歌舞伎の入門書や専門書は数多くあるけれども,歌舞伎を観始めてひと通り知った上でさらに奥深い世界へと導ける,中級者を対象とした本を出したい,とのご要望を賜りました.
 そのような趣旨に副ったものに出来上がったかどうか,いささか心配ではありますが,この役者はこんなことを考えて舞台に上がっているのか,ということだけでも知っていただき,それを皆さまの歌舞伎への新たな興味につなげて下さるなら,この上ない幸せです.
十代目 坂東三津五郎(「まえがき」より)



■編者からのメッセージ

監事室という小部屋がある.
 歌舞伎座では,舞台上手,後方にあり,ガラスで客席と区切られている.本来は,松竹の社員が,舞台の進行を見守るために設けられている場所だが,満員御礼で切符の手配がつかない場合,関係者を入れることもある.
 平成17年7月のある日,どうしてももう一度観たい芝居があり,お願いして監事室に入れてもらったところ,ほどなくして「評判だから,観にきたんですよ」と,笑顔で三津五郎さんが現れた.
 監事室は,密閉された空間である.舞台の音は,スピーカーから流れるかわり,室内で話しても外に漏れる気遣いはない.この日,私は,三津五郎さんの解説付きで,歌舞伎を観るという幸運に恵まれた.役者としての実体験に裏打ちされ,しかも論理的.なるほどと膝を打つようなお話であった.
 そんな体験があって,この本が生まれた.歌舞伎を観始めて2年くらい経った中級者に,ぜひ三津五郎さんの話を読んでいただきたいと願った.
 幸い岩波書店がこの企画に賛成してくださり,三津五郎さんの快諾を得たので,隔月に一度のペースで取材が始まった.平成19年の3月から,平成20年の5月まで,追加取材を含めると8回にわたって行われたが,三津五郎さんの話しぶりは,企画の意図を踏まえたもので,乱れがなかった.役者の芸談ではなく,歌舞伎の愉しみを読者に伝えようとする姿勢が鮮明で,その明晰さに打たれた.
 私はこの一年あまりのあいだ,坂東三津五郎という家庭教師について,歌舞伎を勉強させていただいたと思っている.読者のみなさんとその喜びを分かち合えるのがうれしくてならない.
長谷部 浩(「あとがき」より) 書評情報 sakura 2009年2月号
日本経済新聞(夕刊) 2008年11月19日
週刊朝日 2008年10月24日号
毎日新聞(朝刊) 2008年9月14日
日本経済新聞(朝刊) 2008年8月31日
朝日新聞(夕刊) 2008年8月25日

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