国指定重要無形民俗文化財
春日若宮御祭礼式能楽
後宴之式能
頼政
太刀奪
黒塚(観世流では、安達ヶ原)
2022年12月 おんまつり 後宴能
若宮さまに失礼があってはいけないため、本年度から撮影は禁止でした。
指定者以外の多くの観客が写真を写し、動画をとり、録音さえされていらっしゃる常連がいる中、私はプライドが許さず、当たり前のことですがカメラはカバンの中にしまい込み、じっくりと能楽にのめり込んで楽しむことができ、
本来であればこういった能楽の楽しみ方が良い方法の一つかもとも思えました。
但し、京都の偉大な画家で有る須田国太郎氏が能楽をお描きになられていたのは、画家としての信念と気迫を感じ取ることができます。
私のように安直に記念撮影ごときを撮ってはいけないのではと、これまでの行いを反省し、今回のおんまつりに挑んだ次第でございます。
これ迄「頼政」や「黒塚」は何度と無く楽しんだ演目ではございますが、能楽本来の持つ深さに少し触れられたような気が致しました。
これは、コロナでしばらくの間能楽さえも見ることができなかったジレンマと、その感書物で楽しんでいたために少しだけではございますがこれまでよりも能楽に対する理解力が乱鳥なりに深まったのかもと、阿呆面でアホウの鳥はほくそ笑んでおりましたが、おそらく希望的観測でございまする。
能楽が
見たかった!!!
と言う思いが強く、のめり込んでしまいました。
すると能楽は素晴らしすぎて、真剣な趣のみならず、心は高揚し、顔はデレデレ。歌舞伎と比較するにおは浅はかなのですが、歌舞伎の山場のように興奮し、鳥はとろけ、足はよろけ、千鳥よろしくのヘロヘロで、仁左衛門丈の防汚舞台で腰が抜け、しばらく立てずにいた時のような状態に陥りました。
「頼政」がこれほどまでに素晴らしい演目であったのか!
「黒塚」に糸巻きの部分が、こんなにも切なく感じられる場面であったのか、、、、
私は今回の能楽鑑賞で大きな宝を得たように感じます。
それもこれも、春日大社様が撮影禁止にしてくださいまして、能楽飲みに取り組むことができたと言う幸運に恵まれ、それもこれも若宮様のおかげと感謝に感謝を重ね、関係者の皆様に御礼を申し上げたいと感じております。
みなさま、貴重な体験をありがとうございました。
素晴らしい能楽や狂言をありがとうございました。
カメラの代わりに私がカメラとなり、「頼政」「黒塚」を一番良い高さから双眼鏡及び肉眼を用いて、一番良い状態で拝見させていただきました。
上にも書きましたが、例えばですが「黒塚」に糸巻きの部分においては同じ頭の高さに合わせて見ておりますと、鬼婆の心の内のかすかなつぶやきが聞こえてくるようで、能楽とはこんなに素晴らしいものであったのかと今更ながら頭を叩きつけられたようなショックを感じ、能楽本来の表現の一つをしんみりと味わうことができました。
『観世流百番集』を持っておりましたが、当然のことながら観世流では『安達ヶ原』で載っております。
言葉の言い回しもずいぶん変わって伝えられておます。
流派によって歌いの言葉が違ったり省略したりといった、こういった演目は他にも多くございます。
観世流の「安達ヶ原」が先で、後に「黒塚」ができたといったことが、天野先生のご本に書かれておりました。
今回の「頼政」と「黒塚」は最高でした。
ブラボー!