写真は奈良 壺阪寺の「思う壺」
歌舞伎『壺阪霊験記』 4,3★/5 沢市:三津五郎 お里:福助 観世音:中村玉太郎 壺阪寺と周辺の山、磨崖仏の写真(35枚)
歌舞伎『壺阪霊験記』をみる。
今回は、沢市:坂東三津五郎 お里:中村福助の舞台であったがこの舞台も映像で何度も見ている。
私の場合は七代目の中村芝翫丈の甲斐甲斐しいお里が印象深く、表情まで割合に覚えている。
だが、中村福助のお里も良い。
福助が演じると、沢一の目が見えた時の初めて見たお里の顔が一層まばゆく、コミカルさをます。
福助は三津五郎との『壺阪霊験記』をかなり古典的に形を重視して演じられている。
顔の動かし方や栗の形まで、人形浄瑠璃を意識され、見ごたえがある。
福助のお里も見ものである。
今となってはもうみることができない三津五郎。
彼の沢入も彼らしくて良い。
壺阪山の山頂で新いちが見得を切るところがある。
目が開かない盲人で杖をついたあん摩であるが、目を閉めたまま見得を切るのである。
ところが、三津五郎が演じると、その見えは目を開けたように力強い。
最終章、沢一の目が観世音菩薩のおかげで、目は開き見えるようになる。
その時の喜びは短い舞で表すが、この舞踊は故三津五郎の舞である。
身近な時間で彼の舞踊の実力を魅せてくださる。
『壺阪霊験記』といえばラストのお里沢一の花道。
この場面は観客の私は安堵の笑いを何度も発しながらも、目尻がじんわりと滲んでいた。
みなさま、見てくださいましてありがとうございます。
感謝申し上げます。
以下は、壺阪寺と周辺の山、磨崖仏の写真(35枚)