歌舞伎『猿之助四十八撰の内 當世流小栗判官』4,7★/5 177分 昭和58年 歌舞伎座 三代目市川猿之助(現・猿翁) 中村児太郎(現・福助)實川延若 澤村宗十郎
『當世流小栗判官』を見ました。
實川延若が出演のこの舞台、懐かしくて見入理ました。
澤村宗十郎でもウンウンと唸りながら、演じ方に見入ってしまいました。
中村児太郎(現・福助)の立ち振る舞いが浮世絵の美人画のようで、美しかった。
まだ若く細身でした。
美しいだけでなく、所々に中村児太郎(現・福助)さんの個性を醸し出された舞台は、楽しく、会場は沸いておりました。
東蔵、歌六、歌昇が出ておられました^^
中村東蔵さんは少ししか出ておられませんでしたが、実に印象深い場面を展開されていました。
三代目猿之助の所作は足の運びが流暢で、舞を心得た方なのだと感心しました。
あまり猿之助劇団に縁のなかった私ですが、素晴らしい役者さんたちを脇に固め、三代目猿之助の個性を十分に発揮されていました。
馬の存在は大きかったです。
そしてラストの白馬に乗った小栗半官と照手姫の宙吊りは会場の観客の心を虜にしたことでしょう。
大当たり!
この芝居は近松門左衛門原作です。
筋書きはダイナミックですが、途中割合にドロドロとしています。
兄の妹に対する愛の告白や行動は笑わずしてすみません。
お駒の半官に対するねたねた感のある愛情などは切ないとしか言いようがありません。
ラスト忠義でまとめめでたしめでたし感を近松が書き下ろすとこういったお舞台が出来上がるのだと満足しました。
ブラボー
小栗判官、浪七、お駒/三代目市川猿之助(現・猿翁)
照手姫/中村児太郎(現・福助)
横山大膳/實川延若
遊行上人/市村羽左衛門
胴八、横山太郎/市川段四郎
橋蔵、お槇/澤村宗十郎
お藤、上杉憲実/七世市川門之助
東蔵、歌六、歌昇、ほか
◎昭和58年7月 歌舞伎座にて収録