ドラマ『Hannibal ハンニバル シーズン1,2,3』
13話×3 4,8★/5 原作 トマス・ハリス『レッド・ドラゴン』
ヒュー・ダンシー マッツ・ミケルセン
以前に『Hannibal ハンニバル シーズン1』の記録をつけたように思うが、今回『Hannibal ハンニバル シーズン1,2,3』の全てを見終わった。
私の評価としては、4,8★
5★をつけたいところだが、怖すぎて目を背ける場面が多々あった。
怖すぎる残酷シーンを上回るくらいに、素晴らしい作品だったので、4,8★にした。
しかし、美術的に満足のいく美しい作品であった。
まず色彩
簿妙な青緑に、かすかに透明色のオレンジの光を使う場面が多かった。
トーンを落とし、重厚な画面作り。
ほぼモノトーンに見えるよう日本よく仕上げているが、実は色彩豊かだ。
このドラマの製作者は、どう行った色感を持った天才なのだろうか。
おそらく四原色以上の願力を持った作り手なのではないかと感じた。
品よく古典主義が入っているかと思えば、表現主義やシュール・レアリズムや抽象絵画や立体造形。
まるでルーブル美術館と現代美術館を行ったり来たりしている錯覚に陥った。
美術の好きな私には、たまらなく素晴らしく感じつドラマであった。
また、役者がうまい。
知性的で、礼儀をわきまえた静かに残酷なレクター。
知性的で個性的なウイルとレクターのやり取りは、見もの。
レクターの前ではあの素晴らしいウイルが、可愛らしい存在に作られている。
やられてもやられても不死身。
いつしか私には、ウイルとレクターが二面性を持った一個の人間のように感じていた。
エロスでもアガペーでもない二人の間に育まれた愛情に、なんとも言われようのない不可思議なフィリアを感じた。
シーズン3の後半から出てくる「レッド・ドラゴン」は面白みが半減した。
上で出演者がうまいとは言ったが、レッド・ドラゴンの役者は身体が大きく、筋肉りゅうりゅうを見せつけるだけの大味な役者に感じた。
レッド・ドラゴンが出てくるたびに少ししらけ、ウイルとレクターが出てきてくれるとレッド・ドラゴンのやり散らかした穴を埋めてくれた。
実は意外にもレクターの役者も筋肉むきむきだったが、それをカバーするくらいの才能と知性を演じきっていた。
お仕事などで自然についた筋肉の方は美しいと感じるが、私に限ってはせっせと鍛えて体を作り上げておられるキン肉マンは苦手なのである。(あくまでも個人的な感じ方)
このドラマ、戊戌に加えて音楽が大変素晴らしい。
レクターが作詞したりチェンバロを弾くと、ドキッとしてしまう。また、レクターはドラマの中で、絵まで上手い。。
料理は、超一流。て残った料理が優雅で美しく描かれて食卓に上る。
人肉でない料理ならば、さぞ美味しいだろうと思う。
毎度毎度と言っていいほどの料理の場面は、残酷さと人肉を除けば、最高の料理であった。
言葉遊びが多く、いんを踏んでいる場面が多く見られた。
二人で掛け合う場面ともなると、詩やマザーグースなどを思い浮かべた。
また、時にはぐりむ。時には寓話。
筋書きがしっかりとしていて、素晴らしい作品だと感じた。
怖い映画やドラマが苦手な私さえも、残酷さを上回る素晴らしい作品だと思う。
今回も見たという簡単な記録だけで失礼いたします。
2013年〜2015年
原作 トマス・ハリス『レッド・ドラゴン』
脚本 ブライアン・フラー
出演者
ヒュー・ダンシー
マッツ・ミケルセン
カロリン・ダヴァーナス
ヘティエンヌ・パーク
ローレンス・フィッシュバーン
ジリアン・アンダーソン