『中国五大小説(下)水滸伝・金瓶梅・紅楼夢』より「金瓶梅」 5,0★/5 井波律子著 2009年 岩波新書 新赤版
私の好きな井波律子先生著の『中国五大小説(下)水滸伝・金瓶梅・紅楼夢』より「金瓶梅」を読む。
先日、中国で製作された方の映画『金瓶梅』を見た。
その中で、男が人妻の超小型纏足された足を両手で掲げ、
「なんと、良い匂い(要約)」
とうっとりする場面があった。
これはなんなのだと思い、井波律子先生を頼ることにした。
『中国五大小説(下)水滸伝・金瓶梅・紅楼夢』を読むと、さすがの先生!
やはり理由が書かれていた。
本書によれば、
当時の女性には纏足の習慣があり、足のサイズが小さいほど重宝されました。「金蓮」はもともとは「纏足した小さな跬」という意味です。・・・・・・・・・・・・・・・・(P.170 引用)
纏足するのは女性のみで、足は小さければ小さいほどかっこいいとされ、このへしまげた足に高底のくつを履いて、ヨチヨチ歩くのが美女の条件だったのです。なにしろ親指以外の指をすべて内側に折りこみ、布で縛りあげるのですから、成長するにつれて甲がポッコリと盛りあがってきて、足じたいがハイヒール状になります。現在からみれば、まったく不自然きわまりない習慣だというほかありません。纏足の過程ではむろん激痛があり、足や跬には異臭のような独特の匂いがします。しかしこの匂いが、またエロチックだと喜ぶ男性がいたのです。(P.174 引用)
他にも、多くの納得した部分が多く書かれていた。
井波律子先生の本は、満足感が大きく参考になる良書が多いと感じた。
今回も読んだという簡単な記録だけで失礼致します。
「金蓮」とは
潘 金蓮(はん きんれん、Pan Jinlian)は、中国の小説で四大奇書の一つ『水滸伝』『金瓶梅』に登場する、通説では架空とされている女性。
「金蓮」とは、当時の美人の基準の一つであった纏足を形容する語である。
『水滸伝』では、陽穀県の炊餅(蒸し饅頭)売り武大の妻として登場。絶世の美女だが性欲・物欲・向上心が強く、夫を殺して情夫との淫蕩にふける典型的な悪女・淫婦である。
『金瓶梅』では副主人公として描かれ、彼女の名の頭文字が作品の題名の一文字目として使われている。
(ウィキペディア引用)
「金瓶梅」 の巻---作者と裏返しの悪夢 123ページ〜230ページ
井波律子著
中国の五大小説〈下〉水滸伝・金瓶梅・紅楼夢
(岩波新書 新赤版 1128)
2009年
338ページ
900円+税
内容(「BOOK」データベースより)
盛り場育ちの「面白い物語」から、作者が彫琢しつくした「精緻な小説」へ。『水滸伝』から『紅楼夢』にいたり、中国古典小説は「完全な小説」へとあざやかに飛翔する。それぞれに読者を魅了してやまない五大小説の愉楽を語りつくすとともに、瞠目すべき「小説」誕生のダイナミズムをときあかした本格派入門書の誕生。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
井波/律子 1944年富山県に生まれる。1966年京都大学文学部卒業。1972年同大学院博士課程修了、金沢大学教授を経て、国際日本文化研究センター教授。専攻は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)