吉田神社 節分の頃(京都)
映画『最初の晩餐』 3,1★〜3,8★/5 森七菜4,7★ 2019年 127分 監督 常盤司郎 染谷将太 戸田恵梨 香窪塚洋介 斉藤由貴 永瀬正敏 森七菜
最初の晩餐
2019年
127分
映画『最初の晩餐』 をみた。
とても良い芸術作品のように思わせる映画です。
ただ惜しいのは、皆が終始一貫したゆっくりとした時間を繰り広げる間の重たさに、疲弊しそうであった。
ことが起こると、間
その間は、視聴者に余韻を残し、その余韻で感じ取るようにと、ある意味威圧感さえ感じる。
間(余韻)の連続で、ゆっくりとした時間の流れが、息苦しい。
これぞ良い作品。
この余韻で全てを感じ取れと、映画は投げかける。
あまりにもわかりやすい出来事の提供は、控えめに押し付けがましい。
わかりやすい出来事の後に余韻を残し、答えを導き出さない。
ただし、その答えは、みている側の三者三様といえども、一点集中ぶりを発揮させ、答えは自ずとわかる。
みている側の番人にわかりやすく、余韻の魔のわりに具象的である。
こういった内容は、前夫の死や、夫の実は苦手であったメニューの再現や、最後のおはぎでも明らかである。
そして人それぞれ、家族それぞれが自分のドラマを他人の人生に乗せ、あたかも自分独自の人生のように満足する。
人は反発し納得し歩み寄るが、しかし自分の人生を生きることしかできない。
自分の人生。 映画の中で次の言葉が印象深かった。
「家族って、なんだ?」
人間の独を描き、歩み寄ることでモザイクをかけ、自分の人生を前に進める。
穏やかな本映画は、実は真髄をついた孤独の怖さを奥底に秘めた映画でもある。
斎藤由貴が義理の娘息子に、大人になったのだからと話す場面がある。
戸田絵里子が逸脱した恐ろしい剣幕で怒り出す。
大人になって子供もでき、他人の人生を全否定する義理の娘の心理状態が理解できない。
人それぞれであるであろうに、この場面の描き方は理解しがたい。
最後に、本映画の内容とは離れるが、子役の森七菜がうまかった。
困ったような表情、拒否した顔、そして一番感心したのは、食卓での彼女の箸の動かし方。
皆が相手の話を聞き、次のセリフを待っていた中、森七菜は周りに俳優を見ながら右手の箸を少し大きめに開き、開けたり閉じたりと、手持ち無沙汰な家族の会話の場面を上手く演じていた。
いわば、直立不動(実は座っている)の俳優群の中で、森七菜一人、自然な所作が行き届いていたことを付け加えておきたい。
ブラボー
今回も簡単な、見たという記録だけで失礼致します。
【STORY】
忘れられない味で僕らはもう一度、家族になった。
カメラマン東麟太郎(染谷将太)は父・日登志(永瀬正敏)の葬儀のために故郷へ帰ってきた。姉の美也子(戸田恵梨香)と準備をする中、母・アキコ(斉藤由貴)が、通夜ぶるまいは自分で作ると言い出した。
やがて運ばれてきたのは、目玉焼き。親戚たちがざわつく中、麟太郎は気がつく。「これ、親父が初めて作ってくれた、料理です」
なつかしい手料理を食べるたび、思い出が麟太郎たちの脳裏によみがえってくる。20年前に父と母が再婚した日、連れ子の兄シュン(窪塚洋介)と5人で暮らした日々のこと…。
止まっていた家族の時が今、ゆっくりと動き出す。
監督 常盤司郎
染谷将太 戸田恵梨香 窪塚洋介 斉藤由 貴永瀬正敏
森七菜 楽駆牧純矢 外川燎 池田成志