「やおら」と「なまら」
『枕草子』を読んでいると、百八段目で「やおら」という言葉が出てきた。
『枕草子』で「やおら」という言葉が出てきたのは、私が覚えている限りでは、これで二度目である。
「やおら」とは
やおら〔やをら〕 [副]
1 ゆっくりと動作を起こすさま。おもむろに。「やおら立ち上がる」
2 静かに。そっと。 「姫君、御硯すずりを—引き寄せて」〈源・橋姫〉 [補説]1について、文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「彼はやおら立ち上がった」を、「ゆっくりと」と「急に、いきなり」のどちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。 (大辞泉)
〘副〙
① 静かに身を動かすさま、また、徐々に事を行なうさまを表わす語。そろそろと。おもむろに。やわら。現代では悠然としたさまをいうことが多い。 ※宇津保(970‐999頃)蔵開下「御後の方よりやをらすべり入るを」
② 時間の経過とともに変化、進展し、ようやくその状態になるさま、事態が変わるさまを表わす語。 ※読本・春雨物語(1808)宮木が塚「上人の御ふねやをら岸遠くはなるるに立ちむかひて」 [補注]歴史的かなづかいは、従来「やをら」とされており、それに従ったが、「疑問仮名遣」のいうように「やはら(柔)」と同源であったとすれば、「やほら」の可能性もある。 (日本国語大辞典)
12行目
、、、まめひともりをとりてこさうじ(小障子)のうしろ
にてやをらくゐければ。ひきあらはして。
わらはるゝ事こそかぎりなきや
ところで「やおら」と「なまら」は混乱することはないが、どちらも日常には馴染みがない。
こと「なまら」にという言葉に関しては、こうだ。
私の好きな戸次重幸や安田顕の所属するチームナックスの某舞台で、やたら「なまら」をネタのように多用していた。
その舞台で初めて「なまら」という言葉を知った関西人の私は、本源を大切にしたり郷土愛の強い彼らは素晴らしいと感じていた。
彼らは北海道の大学(北海学園)の演劇部出身である。
「なまら」とは
なまら なまら△ [副]
非常に。はなはだしく。〈全〉 ~「なまら」は北海道弁としてはポピュラーであるがまったく使わない人も多く,北海道弁を代表する語とは言い難い。1980年頃の流行語。 (北海道方言辞典)
副詞 (新潟県・北海道の方言)
とても、ものすごく。北海道では1970年代に新潟県出身のラジオDJが使ったことから広まった。
[要出典] なまら美味い(とてもおいしい) (『Wiktionary』)
「とても」を意味する「なまら」 テレビなどでも耳にする言葉。
なまらには「とても」「すごく」などの意味があり、強調したい時に使われる表現。
特に若い人が使う傾向にあり、年配の人の中にはあまり上品ではないという印象を持っている人もいる。
[要出典] なまら美味い(とてもおいしい)
「なまら」の語源
「すごい」や「とても」という意味で使われている「なまら」という方言には、どのような言葉が語源となっているのかご存知でしょうか。
「なまら」の語源は「生半可」を意味していると言われており、もともと北海道でできた言葉ではなく、新潟で漁師をしている人たちの間で使われていた言葉だとされています。
北海道へと伝わっていく間に、本来の「生半可」の意味とは全く違った意味で使われるようになったのでしょう。
本日某旅行者のパンフレットが送付されてきた。
北海道旅行の見出しに「なまらいい街」といった言葉があり、関西に住んでいると馴染みのない言葉「なまら」を調べてみた。
『枕草子』に出て来た「やおら」も今一度調べたのは、ご愛嬌。
どんと はらい