松竹座
映画『愛する』 4,9★/5 1997年 114分 酒井美紀 、 渡部篤郎 、 岸田今日子 、 小林桂樹 、 上條恒彦 、 三條美紀 、 松原智恵子、 宍戸錠 他
ハンセン病を主軸に置いた映画『愛する』を見た。
大病院の医者の態度には、納得が行かず、暗い気持ちになる。
ハンセン病は誤診と判明したの、順を追ってのみつや周辺の人物の表情の変化と心の移り変わりを描く遠藤周作は見事と言わざるを得ない。
ハンセン病は誤診と判明した直後の、同室女性(岸田今日子)の表情は、アパレ!見事!
大変大切な一つしかない宝の指輪を密に渡す時の、複雑な表情も忘れられない。この表情も、見事。
流石の岸田今日子であった。
また、岸田は、2代目中村鴈治郎(故藤十郎の父)と同様に、後ろ姿の方でも演じておられた。
ここでも、私としては、心の中で拍手喝采。
岸田はすごい女優であると再確認した。
心情の変化といえば、宍戸錠の表現も心に残る。
彼の一語一句が思い出される。
ハンセン病は誤診と判明し、みつの心境が変化。
結局、事実上の隔離施設(と言って良いかもしれない)に戻ると言った時の院長や看護婦二人の仕草や距離感や魔の取り方は、上質の舞台を見ているようで、心地が良かった。
特に、松原智恵子の所作は、好感を持てた。
舞台を見に行きたいという気持ちが、さらに強くなったが、オミクロン株が市中に広がっているという。
私の舞台鑑賞への道のりは遠い。
泣いた。泣きに泣いた。
良質の映画を見ることができたという満足感が大きい。
今回も見たという記録だけで失礼致します。
製作年: 1997年
酒井美紀 、 渡部篤郎 、 岸田今日子 、 小林桂樹 、 上條恒彦 、 三條美紀 、 松原智恵子 、 宍戸錠 、 岡田眞澄 、 西田健
監督: 熊井啓
原作者: 遠藤周作 音
遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』を熊井啓監督が酒井美紀、渡部篤郎主演で映画化した新生日活の第1回作品。東京湾を望む臨海副都心、クリスマスの日に遊びに来た森田ミツは、吉岡努という沖縄出身の青年と出会い、二人はその夜、当然のように結ばれる。しかし、その喜びもつかの間、ミツはハンセン病と診断され、北アルプス山麓の療養所へと隔離されてしまう。心細さと不安を抱えるミツだったが、園内の人々に温かく迎えられる。が、やがてミツのハンセン病は誤診と判明する……。