『佐倉義民伝』
出演:松本幸四郎 坂東三津五郎 市川染五郎 坂東彌十郎 中村福助 市川段四郎
全ての役者さんたちに
2008年(全2話)
105分
カラー
農民のために、わが身を捨てて立ち上がる正義と慈愛に満ちた宗吾の生き様が心を打つ傑作。三世瀬川如皐の名作を華やかな顔ぶれで。 下総佐倉の名主である木内宗吾(幸四郎)は、厳しい年貢の取立てを止めて貰おうと、領主の江戸屋敷に赴くが、その願いは聞き届けられず、将軍への直訴を決意する。この覚悟を知った渡し守の甚兵衛(段四郎)は、役人たちの命に背いて舟を出し、宗吾が家に戻れるよう計らう。そして宗吾は、妻のおさん(福助)や我が子たちと最後の対面を果たすが、これを見とがめた悪人の幻の長吉(三津五郎)が宗吾を訴人すると脅す。運よく難儀を逃れた宗吾は、降りしきる雪の中、おさんと我が子たちを振り切って江戸へ向かい…。 (2008年/平成20年12月・歌舞伎座)
テレビで『佐倉義民伝』を見た。今月二回目。
松本幸四郎さん、中村福助さんの大熱演
言い回し方表情から、緊張して水荷はおれない緊迫の演技
芝居とはこんなにも素晴らしいものだったのだと改めて感じる。
幸四郎さんが家に入る。すると、家の中には冷気が立ちこめる。
幸四郎さんが家を出て、雪道を歩く。大熱演で役者はさぞ熱かろうに、こちらまで肌寒く感じられる。
見事だ…。
これだけ気を抜かずにはじめから最後まで芝居調の動きや台詞を続けるのは、さぞ大変なことだろう。
わたくしの十代の頃に比べて歌舞伎は観劇料が上がる一方だが、それ以上の芝居をなさっているなと感じた。
劇中の利口な長男の台詞の中に『日本庭訓往来』を土産に頼んだと出てくる。
庭訓往来物は古い文字で本の一部分だけ読んだことがある。
新日本古典文学大系 52を開け、一度読んでみたいと思っていたが、なかなか思うように時間が取れない。
芝居の中で懐かしい人に出会った気がした。