アラン『定義集』5 「平等 égalité」(平等は一つの法的支配の状況であって、窃盗、権力の濫用、侮辱、そしてそのような常に力の不平等の結果であることを裁かなければならない時、力の比較を排除するもの)
アラン『定義集』 P.71より抜粋
平等 égalité
平等は一つの法的支配の状況であって、窃盗、権力の濫用、侮辱、そしてそのような常に力の不平等の結果であることを裁かなければならない時、力の比較を排除するものである。
たとえば、富者と貧者の間には、人の意見に働きかける手段において、一種の不平等がある。
強者と弱者の間には物をとったり守ったりする手段において一種の不平等がある。
詐欺師と被害者の間においての情報量において一種の不平等がある。
何れにしてももう的支配の状態は、これらの不平等をいっさい顧慮しない判決によって定義される。
例えば、買収されない、脅しに屈しない、決定する前に吟味する配慮によってである。
アラン『定義集』
モーリス・サヴァン刊行
神谷幹夫 翻訳
岩波文庫
青656-4
訳者 神谷幹夫
北星学園大学・文学部・教授
アラン『定義集』1 (フランス国立図書館にある木箱の中に、アランの手稿の264枚のカードがある 訳者覚書より) アラン『定義集』2 (言表の単純な厳密さによって静謐な徳、イデオロギーとは無関係の、論争では得られない徳、即ち全ての真の省察の原型であり、源泉である徳を、獲得している。) アラン『定義集』3 (アランはいう、…哲学者が目指しているものは、自然的で自分に嘘をつかないものだけを感じ取ることである。哲学者の欠点は、避難する傾向が強いこと、そして懐疑を解くことを好むことだ。) アラン『定義集』4 「文明 civilisation」(他のところではよく吟味もされず、特に驚きもなく受け入れられている実践を、不可能にする。例えば、奴隷制、子どもの去勢、拷問、魔法使いの処刑。) アラン『定義集』5 「平等 égalité」(平等は一つの法的支配の状況であって、窃盗、権力の濫用、侮辱などの不平等の結果を裁かなければならない時、力の比較を排除するもの)