『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 14 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門
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して、どろをつかみ合。はね馬に乗た侍に。その泥がゝつて、それで
下かうに切らゝはづ。頼ます/\と、立さらず。エゝ、あきれはてた親御
達の病に成りが愛しほいむかひどしの けん/\共ならず。茶屋の内、かつて
ふりすゝいでしんぜましよ。顔もあらひ、とつとゝ大坂へ帰つて。以後をたし
まなしやんせ。又、爰かります。おきよゝ。とゝさまが見へたら、かゝにしらしや
やと。ふたりよしずのおくながき、日かげもひるにかたふけり、さぞや妻子
が待らんとの 弁当かたげかた/\よ。あねを手を引てしまやの七左衛門。のど
がかハけとのむまもいそぐ。ちや屋のまへにて中娘。アレ、との様かとすがり
寄。ヲゝ、待かねたか かゝハどこにと尋ねれバ。かゝ様ハ爰のちや屋のうちに。河内屋
の与兵衛様とふたり、帯といて。べゝもぬいでゝござんする。ヤア、河内与兵衛め
と。帯といて、はだかになつてじや。口をしいめをぬかれた。そうして跡ハどうじや
く。そうして、はな紙でのこぶたりめら、ふたりと聞より、せき立、七左衛門。がんしよく
かハり、眼もすハり、門口に立んたかり。お吉も与兵衛も是へ出よ。但、出ずバ、そこへ
ふんこむと。呼ハる勢にこちの人か子供がおひるのじぶんもわすれ。どこに何して
どろをつかみ合。はね馬に乗た侍に。
泥を掴み合い。跳ね馬に乗った侍に。
七左衛門
出演 役柄
花車お杉
芸者小菊
小姓頭小栗八弥
与兵衛叔父山本森右衛門
河内屋与兵衛
七左衛門女房お吉
娘お光
がんしよく
顔色
『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作
近松門左衛門 1653-1724
高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]
22cm
竹本筑後掾正本
共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
題簽の一部を欠く 虫損あり
和装
印記:文楽蔵,渡邉蔵書
渡辺霞亭旧蔵
早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334
『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 13 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 14 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門