源氏物語 【『源氏物語』の社会的機構と語り手 3】鈴木日出夫
『源氏物語 一』新日本古典文学大系日本古典文学大系19より
『源氏物語』
今では、三部に区切って理解しよう読み方が一般的。
古くから光源氏という人物に対して、数多くの伝承の人物や、実物の人物との類似が指摘されてきた。
例
源高明
源融^^
在原行平・業平^^
菅原道眞^^
藤原伊周
藤原道長 等
光源氏の超越的な資質が、周囲に対して絶対的共感を呼び起こして行くこと自体が、誇張された作りごとである。
栄華
恋の人間関係
光源氏の意識を超え、栄躍の人生の途うをたどる。
物語の仕組みとして、恋と社会的栄華が関連づけられながらも、物語の表層部にある作中人物や、語り手たちの意識からは、政治や社会に関わる諸要素を排除し、人間感情が前面に押し出される。
恋と社会的見取り図は、作中人物や語り手の陰に隠れる。
『源氏物語』は語り手により、作中人物たちを社会的機構にさりげなく組み込んでおきながら、社会の厳しい網の目の中に生きる他ない人間のありようを顕現させていく。