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『班女』
観世流謡曲百番集、能を読む(世阿弥 神と修羅の恋)の二冊で、『班女』を楽しむ。
『班女』は能楽を楽しんだことがあるのと、天野文雄先生の講座でも楽しませていただいたことがある。
馬場文耕作の『当世江戸百化物 巻一』「品川津の国お綱が方え三田の伯母尋ねゆきし事」で色濃く謡曲『班女』を引いているので、今一度読み返してみた。
「品川津の国お綱が方え三田の伯母尋ねゆきし事」では「つな」と云う名女の名前を引いて、『大江山縁起絵巻』(渡辺綱)共絡め合わせ、『班女』本来の純愛がおかしな方向に描きあげられ、読書を笑わす。
能楽の『班女』は観たいわ、『当世江戸百化物 巻一』は面白いわで、心静かに保たねばならないと念じながら、『当世江戸百化物 巻一』の続きを読みたいと思うたが、同時に、謡曲も読み込んでいきたいと感じた^^
『班女』(はんじょ)
世阿弥作(と考えられている)
紅入り(若い娘)の狂女物だ
クルイ(激し乱れた心を表現する舞のパターン)の部分がなく、ひたすら扇に恋人を偲ぶ姿が舞と謡で表現される。
純粋なあい。
「班女」は「班氏の女(むすめ)」の謂で、具体的には班婕妤を指す。
班婕妤は前漢の成帝の愛人であったが、趙飛燕にその座を奪われ、捨てられた我が身を秋の扇になぞらえて詩『怨歌行』を作った。
この故事に因んでシテが「班女」と渾名されている。 扇物狂いと呼ばれるほど扇が目立つ。
秋の扇は砧と並んで侘びしいものであった。
「趙飛燕にその座を奪われ」とあるが、馬場文耕作の『当世江戸百化物 巻一』「品川津の国お綱が方え三田の伯母尋ねゆきし事」では、『班女』を記し、「舞子うちわ(舞扇)」や「乳を飲む燕たけて」と、「品川津の国お綱が方え三田の伯母尋ねゆきし事」は『班女』と絡ます。