恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 上 読了
富田高至 編者
恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 48 二十二丁表 二十二丁裏と、『伊勢物語』岩波古典文学大系9
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
48 二十二丁表 二十二丁裏
二十二丁表
◯をかし男ありけり、馬の爪きらせんとて、人を待ちけるに
二十二丁裏
こさりけれは、
今そしる 苦しき物と人またん
つめをハしらす きるへかりけり
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
今そしる 苦しき物と人またん
つめをハしらす きるへかりけり
『伊勢物語』岩波古典文学大系9より写す
今ぞ知る くるしき物と人待たむ
里をば離(か)れず とふべかりけり
こさりけれは
来ざりければ
つめをハしらす きるへかりけり
爪をば知らず、切るべかりけり
離(か)れず
離
音リ
訓はなれる・はなす 外かる・つく・ならぶ・かかる
離
①はなれる。はなす。へだてる。わかれる。かる。「離縁」「離散」「距離」
②つく。
③ならぶ。
④かかる。ひっかかる。とりつく。
⑤易の八卦(ハッケ)の一つ。火・南などを表す。
離
形声。
隹と、音符(チ、リ)とから成る。
こうらいうぐいすの意を表す。
借りて「はなれる」意に用いる。