一汁一菜 2
一汁一菜とは、
主食(白米や玄米や雑穀米)
汁もの(味噌汁 等)一品
菜(おかず、惣菜)一品
を添えた日本における献立の構成の一つ。粗食を指す。
「一汁一菜」と言っても、汁と菜にさらに「香の物」(=漬物類)を少量添えることはしばしばある。
「一汁一菜」はもともとは、おかずが一品のみしかない「質素な食事(粗食)」の意味で用いられた言葉であった。
食生活の欧米化や食べすぎ(栄養過多)、肥満傾向、生活習慣病、「飽食」が日本人の健康を害しているという事実が明らかになってきた近年は、むしろ良い意味の言葉とされ、(食べ過ぎを防ぎ)健康に良い食事・献立、として着目されるようになった。
一汁一菜もちょっとした配慮・工夫で栄養バランスも良くなり、この一汁一菜で健康で長寿になれるという。
例えば、禅寺の食事が一汁一菜の食事を守っており、禅僧たちは一汁一菜の質素な食事でも、寺の仕事と修行をたっぷりこなし、さらに病気にかかりにくく長寿をまっとうするという。
一汁一菜を守っていれば、食べ過ぎになるということもなく、標準的な大きさの器に常識的な盛り方をすれば、特にややこしいカロリー計算などしなくても食べ過ぎを防止することができる。
かつて一汁一菜を守っていた日本人には、肥満や高脂血症などはほとんどなかった。
医療費の増大に困っていたアメリカは、マクガバンレポートで、肉・乳製品・卵などの動物性食品を減らし、穀物や野菜・果物を多く摂るようにと勧告、日本の食習慣を見習うべきであるとし、玄米を主食にしていた元禄時代以前の日本の食事を理想的な食事としている。
しかし、日本でも食生活が欧米化するにしたがい生活習慣病が増加しはじめたため、農林水産省が一汁一菜を現代風にアレンジした一汁三菜の日本型食生活を提唱。「バランスの良い食事」として紹介している。
また、量の不足を脱した1970年(昭和45年)頃の日本人の食事は、フランスの農学者、ジョセフ・クラッツマン(fr)をして理想的と言わしめたもの。
栄養学的見地からすれば理想的なものだった。
だが、最近の日本人は次第に忙しくなって、食事の用意や器を洗うことも面倒だと感じる人が多くなり、「一汁三菜」だったものが菜の数が減って「一汁一菜」を通り越し、副食・主食・スープものがすべて合体化し、たったひとつの器に盛って出す「ワンディッシュ化」が起きていることが懸念される。
他に、「○汁○菜」という表現には、本膳料理や懐石での「一汁三菜」という別概念がある。
汁物1品とおかずを3品(主菜1品+副菜2品)にした構成である。
客の身分・役職により菜の数が変化する本膳料理の中では、もっとも簡素な形式である。
懐石では向付(刺身や昆布締め、膾など)、煮物、焼物で三菜となる。
かならずしも質素な食事とはいえないが、口腹を満足させることではなく、器を愛で色彩を楽しむことが重んじられ、西洋料理のガストロノミーとは価値観が異なる。
以上、ウィキペディア